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44話 ネルファ王女殿下とルック兄さま 2

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「ええと……」

「ルック様その……」


 二人はいい雰囲気になっているようだ。水を差すのも気が引けるけれど……とりあえず私は、マグロ様の件を伺ってみることにした。

「あのネルファ様……お伺いしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

「え、ええ……構わないわよ。どうかしたの?」

「はい、マグロ様の件なのですが、あれからどうなったのでしょうか?」

「マグロ殿……? ああ、それね」


 ネルファ王女殿下は、今の今までマグロ様のことを忘れていたようだった。思い出すにも時間を要していたし……。

 マグロ様の大告白を受けて、即答でOKの返事をしていたのはそんなに前の話ではない……あの時は、浮気がどうのとか話をしていて、二人は結婚するものだと思っていたけれど……ちょっとだけ、マグロ様が哀れに思えた。

 まあ、マグロ様と本当に婚約をしたいと思う人なんて、今後は現れないだろうから仕方ないことだけれどね。

「ドレーク殿やルック様から聞いていないの?」

「もちろん聞いてはおりますが……マグロ様のことですから、王家の管理下に置かれるのを嫌がって、なにか行動に移したりしていないのかな……とか」

「あら、よく分かっているじゃないレミーラ。大正解よ……やっぱり、一時期はマグロ殿と婚約関係にあっただけはあるわね」


 しまった……当たってしまったのか。でもこれは偶然のはず……私がマグロ様と知らず知らず通じ合っているとかは絶対にないわ。そんなのあるわけないし……。


「全然嬉しくないので、ネルファ様もそういうこと言うのは止めていただけませんか?」

「あら、ごめんなさい。冗談のつもりだったんだけれど……」

「それはわ分かっていますけど……」


 冗談でもやはり、マグロ様と婚約関係にあったことは思い出したくない過去だ。だって、思い出しただけで、蕁麻疹が出そうになるんだもの。

「それで……マグロ様はどういう行動に出ているですか? 宜しければ、教えていただけませんでしょうか?」

「マグロ殿はあれでも、フォルクス公爵家の当主を務めているからね……王家と直接話をして、管理下に置かれるのを取り消しにしたい様子なのよ。私との婚約は消えたのに、管理下の話が消えないのはおかしいってね」

「なるほど……そんなことが……」


 滅茶苦茶な話ではあるけれど、王家と直接の話をする気は満々のようね。ちょっと信じられないけれど……また、根拠のない自信が脳内を駆け巡っているのかしら? 私の時みたいに……。
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