公爵様は幼馴染に夢中のようですので別れましょう

カミツドリ

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38話 二人の時間 2

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 私はその後、シグレ様と自らの誕生日パーティーを楽しんでいくことになった。


「まあ、シグレ様にも意外なご趣味があったのですね!?」

「そうかな……? よければ今度、一緒に教会巡りと行かないか?」

「は、はい……! 是非、ご一緒させてください……!」


 私は貴族令嬢だけに、世界を回ることは出来なかった……それだけに、書物に記載されている事柄、主に宗教に関する勉強を趣味として持っていた。各国の主要な宗教はどういうものかを確認するだけでも、令嬢としてのスキルになるから。


「しかし、レミーラ嬢……各街のある教会に興味があるとは、君も意外な趣味を持っているんだな?」

「宗教に関する勉強をしていく内に、各教会の方針や建築様式まで気になるようになってきましたので……」

「なるほど……俗に言う凝り性というやつか」

「どうなんでしょうね……」


 凝り性と言われると、思わず首を傾げてしまう……そもそも、貴族令嬢に凝り性という言葉は合っていないように感じられたからだ。そう言えば、この間は馬術訓練を一緒に見に行くという約束もしていたっけ? 色々あって、すっかり忘れていたわ。この際だし、そちらの約束についても言っておこう。

「そういえば、この前は馬術訓練を一緒に見に行くお約束もしていましたよね?」

「ああ……確かにそんな話もあったか。よし、この際だし全てまとめて行うとしようか。二人でな」

「はいっ! シグレ様!」

「ははははっ」

「うふふふふっ」


 会話内容だけを聞いていると、完全に恋人同士に見えてしまうだろう。まあ、それも悪い気はまったくしない……私とシグレ様は実際にそれだけの関係性になっていると言えるだろうから──。



-------------------------



【マグロ視点】


「な、なんてことだ……レミーラ……」


 シグレ王子殿下と楽しそうに会話をしているレミーラの姿……僕は彼女の兄達にそれを見せられ、精神がおかしくなりそうだった。


「わかったでしょうか、マグロ様? あなたの居場所はここにはないのです、いい加減に諦めていただけますか?」

「そうですよ、マグロ殿。代わりに私があなたのお嫁さんになってあげるんですから、いいじゃない」


 ネルファ王女殿下も冷たく僕を見ている……口調は優しい感じなのに、冷たさしか感じないのはどういうわけだ?


「マグロ……」

「シエナ嬢も居て、両手に花状態ね。こんな美人を二人もはべらせることが出来るなんて……マグロ殿は色男だわ」


 ネルファ王女殿下の冷たい言葉はなおも続いている。確かに外見だけを見るならそうかもしれないけど……両手に花? とんでもない……僕にとって見れば、両手に火薬と何ら変わりはなかった。
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