公爵様は幼馴染に夢中のようですので別れましょう

カミツドリ

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31話 大告白 2

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「……」

「あ、あれ……?」


 無言……静寂が大食堂内を駆け巡っていた。マグロ様はようやく気付いたようだ、なぜ静寂が走っているのか。


「ね、ネルファ王女殿下……? レミーラは……?」


 マグロ様の目の前に居るのは紛れもなくネルファ王女殿下だった。マグロ様もそれを確認し、私の立ち位置を再度確認している。

「私はこちらになります……マグロ様」

「あ、レミーラ……! よかった、そっちに居たんだね!」

 ネルファ王女殿下のすぐ隣にはなるけれど、明らかに先ほどの大告白は彼女に行ったものだった。周囲の人達から見ても、そのようにしか見えないだろう。ネルファ王女殿下がどのように切り返すのか……とても興味があった。

「とても面白いわ、マグロ・フォルクス公爵……」

「あ、いや……その、あの……」


 静かな口調のネルファ王女殿下……その言い知れぬ雰囲気にマグロ様はすっかり呑まれてしまったようだ。言葉が出ていない。


「以前のパーティーでの大失態を反省しているのかと思いきや……今度は私への大告白を決行するなんて。しかも、自らの婚約者や元婚約者が近くに居る時に。大した役者だわ、フォルクス公爵」

「ネルファ王女殿下にそう言っていただけるのは、とても光栄なのですが……あの、今のはほんの手違いでして」

「手違いですって? シグレお兄様、確かに彼は私に告白していましたわよね?」

「そうだな……確かにネルファ相手にしていたようだ。この目でしっかりと見ていたからな」


 シグレ様がノリノリのような気がする……マグロ様はもう別の生き物になってしまったかのように、口を大きく開けて固まっているけれど。いまさら、私に対しての告白だったとは言えない状況のようね……。シエナ令嬢もフォローする様子を見せていないし、関わりたくないんでしょうね。

「それでは、お兄様。私はマグロ・フォルクス公爵への情熱のこもった告白に対して、誠意ある返答をしなければなりませんわね」

「うむ、そうだな。でなければ、マグロ殿に対して失礼になってしまうだろう。この国を支えている公爵家の1つの当主だ。しっかりと返事をしなさい」

「畏まりましたわ、シグレお兄様」

「あ、あの……ええと……その……」


 最早、マグロ様の言葉などあってないようなものだった。勝手に王族間で話が進んでいるのだから。ルック兄さまも、これは予想外とばかりに興味津々で見守っている。

 そして……ネルファ王女殿下からの回答はそのすぐ後に出された。


「謹んでお受けいたしますわ、マグロ・フォルクス公爵」

「……はい?」


 あまりにも予想外の回答が出て来た……私自身、開いた口が塞がらない状態だ。まさか、ネルファ王女殿下がOKを出すなんて……。

「でも、そちらにいらっしゃる婚約者のシエナ嬢には、とても悪いことのような気がしますけれど。私、浮気には大変うるさくてよ?」

 どうなってしまうのだろうか……事態は予期せぬ方向に向かっている。
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