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24話 レミーラの誕生日 1
しおりを挟む「私はどうしてあんなことを……!」
「あんなこと? マグロ様にキッパリと否定の言葉を口にしたことか? それともシエナ令嬢を否定したことか?」
私はパーティーが終了し、シグレ様とはその場で別れることになった。それから貴族街にある屋敷へと帰還し……悶えている最中だ。その理由は……。
「違いますよ、ルック兄さま。シグレ様とダンスをしてしまったことです」
「そっちのことか」
「はい……」
「ふははは、流石は私の妹だと感心したぞ。周囲の貴族の関心を一気に集めたのだからな!」
ドレーク兄さまは豪快に笑っているけれど、私は火を吹きそうな程に顔が真っ赤になっていた。なぜあんなことをしたのだろうか? 確かにシグレ様とのダンスは楽しかったし非常に光栄だったけれど……。
「ドレーク兄さま、そんなに笑わないでください!」
「ははは、済まないレミーラ。しかし、恥ずかしがるのは分かるが良かったんじゃないのか? シグレ王子殿下も楽しそうにされていたしな」
「それはそうかもしれませんけど……」
先ほどのことだけど、はっきりと覚えている。
「本日は楽しかったよ、レミーラ。また一緒に催し物に参加したいものだな」
と、おっしゃってくれたから……。
「レミーラもダンスはノリノリだったじゃないか。あの様子では、周りの貴族達はレミーラとシグレ王子殿下は婚約するのではないかと考えると思うぞ」
「そ、そこまで目立ってましたか……?」
「うむ、バッチリ目立っていた。これでヒュンケル伯爵家の地位はより盤石になりそうだな」
「こ、婚約……シグレ様と……」
もちろん嫌な気は一切しないけど、恐れ多いという気持ちが強かった。王家の方と婚約だなんて……マグロ・フォルクス公爵と婚約するだけでも、相当に緊張したというのに。
「婚約については……その、お互いの気持ちもありますので、胸の中に閉まっておきます」
「と、いうことは、シグレ王子殿下がOKを出せば、すぐにでも……ということか」
「それは……分からないですが……」
婚約に関して前向きな発言をすると、ルック兄さまとドレーク兄さまの二人は含み笑いを見せた。今日だけで何回見ただろう、その笑顔だ。怪しい……。
「そういえば……レミーラの誕生日はもうすぐじゃなかったか?」
「あ、そういえば……」
婚約解消やマグロ様との一件があったのですっかり忘れていたわ。去年は大きなパーティーの実施はせずに、身内だけでの簡素なものにしたんだっけ。今年はどうなるのかしら?
「去年のレミーラの誕生会はなかったも同然だったからな。今年はすこし盛大に執り行うか」
「兄さま、お気持ちは嬉しいですが……」
「ふふふ、マグロ様やシエナ令嬢も呼んでな」
あ、これは絶対に良からぬことを考えているわ……何をするつもりなのだろうか? 私の誕生日会となると、今日のパーティーのようにとはいかない。周囲は敵だらけということになる。なんだか、その辺りも含んでいそうね……。
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