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21話 解体ショーからの発展 2
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【シエナ公爵令嬢視点】
「なるほど……自分は第一夫人という立場を守りつつ、子供自体は作らないというわけか。高い地位だけはしっかりと確保出来、面倒な子育ては第二夫人に押し付ける。大した策士だよ、シエナ令嬢」
「ほ、本当なのか……シエナ? やはり君は……!」
シグレ王子殿下とマグロからの強烈な視線を感じる……どうしてこんなことになっているの? ルック伯爵令息が私の心の中を読み取ったかのような推理をしたのにも驚きだけれど。どれだけ探したところで、私が別荘地に移り住んで子供を作る気がない証拠なんて出るわけはないはずだけど……でも、油断は出来なかった。
あの「賢人」と称されているルック殿がそんなことを言うんだから……もしかしたら、見落としている何かがあるのかもしれない。いや、でもまさかそんなことは……。
というよりも今は、シグレ王子殿下達の言葉を振り切る方が重要なミッションになっていた。
ていうか、マグロが悪いのにどうして私が責められているのかしら? 本当に納得がいかないわ! マグロなんかと婚約したのがそもそもの間違いだったのかしら……私は公爵令嬢なんだし、他に婚約する男性なんていくらでも居るんだから。
私目当てじゃなくても、公爵家という立場に惹かれる殿方はそれこそ全てと言って良いくらいだからね。まったく……忌々しいわ。
「シグレ王子殿下……根拠のない発言は、いくら王子殿下といえども、止めていただきたいのですが。私が自分の子供を儲けないなんて証拠あるのですか?」
「ふむ……その辺りはどうなのだ、ルック殿?」
シグレ王子殿下は私の質問には答えようとしていない。いきなりルック殿に話を振った。これはどう考えれば良いのかしら……私なんかと話す必要性を感じないっていうこと? もしかして……既に外堀を埋められているのでは……いや、まさか……。ルック殿の鋭い視線がそれを物語っているようだった。
くっ……確かに屋敷の何人かの使用人には話した事実がある。そこまで彼らが調べを進めているとは思えなかったけれど……まさか……嘘でしょう?
-----------------------------
【レミーラ視点】
「シエナ令嬢、本当によろしいのですね?」
「な、何がでしょうか……? ルック殿……?」
「そのようにシラを切り通して……真実は早めに話しておいた方が、罪も軽くなります。ましてや王子殿下の御前で堂々と嘘を吐いたということになりますと……色々とマズいことになるのでは?」
「う……そ、それは……!」
完全にルック兄さまが押しているようだった。これが「賢人」と呼ばれている所以だ。まだ根拠がハッキリしていない事柄でも、ポーカーフェイスとその場に合わせた言い回しで相手の本音を探る能力……もしかしたら、長男のドレーク兄さまよりも当主に向いているのかもしれない。
私の思うところ、ルック兄さまはシエナ令嬢の身辺調査までは出来ていないはずだ。そんな時間はとてもなかったはずだから。それでも彼女の本音を引き出すのは時間の問題となっていた。
ああ……これが頼もしく、恐ろしくもある私のお兄様……。いや、本当に恐ろしい……味方で良かったわ。
「わ、分かりました……全てお話しいたします……」
「ええ、その方が今後のあなたの為にもなるでしょう」
「……」
シグレ様もルック兄さまの言葉回しには驚いているようだった。信じられない……といった感情が出ているのだと思う。シエナ令嬢は陥落した、と言っても良いのかもしれないわね。さてさて、彼女からどんな話が聞けるのかしら? ちょっと楽しみだわ。
「なるほど……自分は第一夫人という立場を守りつつ、子供自体は作らないというわけか。高い地位だけはしっかりと確保出来、面倒な子育ては第二夫人に押し付ける。大した策士だよ、シエナ令嬢」
「ほ、本当なのか……シエナ? やはり君は……!」
シグレ王子殿下とマグロからの強烈な視線を感じる……どうしてこんなことになっているの? ルック伯爵令息が私の心の中を読み取ったかのような推理をしたのにも驚きだけれど。どれだけ探したところで、私が別荘地に移り住んで子供を作る気がない証拠なんて出るわけはないはずだけど……でも、油断は出来なかった。
あの「賢人」と称されているルック殿がそんなことを言うんだから……もしかしたら、見落としている何かがあるのかもしれない。いや、でもまさかそんなことは……。
というよりも今は、シグレ王子殿下達の言葉を振り切る方が重要なミッションになっていた。
ていうか、マグロが悪いのにどうして私が責められているのかしら? 本当に納得がいかないわ! マグロなんかと婚約したのがそもそもの間違いだったのかしら……私は公爵令嬢なんだし、他に婚約する男性なんていくらでも居るんだから。
私目当てじゃなくても、公爵家という立場に惹かれる殿方はそれこそ全てと言って良いくらいだからね。まったく……忌々しいわ。
「シグレ王子殿下……根拠のない発言は、いくら王子殿下といえども、止めていただきたいのですが。私が自分の子供を儲けないなんて証拠あるのですか?」
「ふむ……その辺りはどうなのだ、ルック殿?」
シグレ王子殿下は私の質問には答えようとしていない。いきなりルック殿に話を振った。これはどう考えれば良いのかしら……私なんかと話す必要性を感じないっていうこと? もしかして……既に外堀を埋められているのでは……いや、まさか……。ルック殿の鋭い視線がそれを物語っているようだった。
くっ……確かに屋敷の何人かの使用人には話した事実がある。そこまで彼らが調べを進めているとは思えなかったけれど……まさか……嘘でしょう?
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【レミーラ視点】
「シエナ令嬢、本当によろしいのですね?」
「な、何がでしょうか……? ルック殿……?」
「そのようにシラを切り通して……真実は早めに話しておいた方が、罪も軽くなります。ましてや王子殿下の御前で堂々と嘘を吐いたということになりますと……色々とマズいことになるのでは?」
「う……そ、それは……!」
完全にルック兄さまが押しているようだった。これが「賢人」と呼ばれている所以だ。まだ根拠がハッキリしていない事柄でも、ポーカーフェイスとその場に合わせた言い回しで相手の本音を探る能力……もしかしたら、長男のドレーク兄さまよりも当主に向いているのかもしれない。
私の思うところ、ルック兄さまはシエナ令嬢の身辺調査までは出来ていないはずだ。そんな時間はとてもなかったはずだから。それでも彼女の本音を引き出すのは時間の問題となっていた。
ああ……これが頼もしく、恐ろしくもある私のお兄様……。いや、本当に恐ろしい……味方で良かったわ。
「わ、分かりました……全てお話しいたします……」
「ええ、その方が今後のあなたの為にもなるでしょう」
「……」
シグレ様もルック兄さまの言葉回しには驚いているようだった。信じられない……といった感情が出ているのだと思う。シエナ令嬢は陥落した、と言っても良いのかもしれないわね。さてさて、彼女からどんな話が聞けるのかしら? ちょっと楽しみだわ。
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