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20話 解体ショーからの発展 1
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「れ、レミーラ……! 冗談だよね? 僕の第二夫人になるのがそんなに不満なのか……?」
マグロ様は急に取り乱し始めた。そもそもの話として、以前、宮殿前でも断ったはずだけれど、覚えてないのかしら?
「前にも言いましたが、私達は婚約解消をして2カ月以上経過しています。あなた様はその間、私がずっと悲しんでいた、若しくは思い焦がれていたと思っていたのかもしれませんが、そんなことは一切ないです。私とマグロ様の関係は既に無関係……シグレ様のことも確かにありますが、それを抜きにしてもマグロ様の第二夫人になるつもりは毛頭ございません」
「ま、まさか……嘘だ、そんなこと……! だって、シエナは君が私のことをまだ好いているとハッキリ言っていたのだし……!」
マグロ様はそう言いながら、睨むようにシエナ令嬢に視線を向けていた。シエナ令嬢は心底、嫌そうな顔になっていた。まるで汚物を見るような視線と言えば良いのか……少なくとも、婚約相手にする視線ではないことは確かだ。
「ちょ、ちょっとマグロ! 私のせいにしないでよっ! 私はあなたにレミーラ嬢がまだ好きかもしれないから、多少強引に求婚してみれば? って言っただけよ? それをまるで命令して強制的に行かせたみたいな……印象操作も大概にしてよね!」
「何を言ってるんだ、シエナ! 君はもっと決めつけていたじゃないか! 僕のことを操り人形だとでも考えていたのか……? そうか、だからあんな噂が流れていたんだな?」
「あんな噂……?」
何のこと? とばかりにシエナ令嬢の動きが止まった。どうやら、その噂については何も知らないようだ。私とマグロ様が別れた時に流れた、私に対して不利になる噂とは別のものみたいだし……一体、なんだろうか。
「マグロ何よ……? 噂って……」
「とぼけても無駄だよ、シエナ。君は……僕に別荘地の建設依頼をしていたじゃないか。いや、正確には僕を通さずに進めようとしていたみたいだけれどね」
「そ、それが何か……? 別に別荘の1つや2つ、持っているのが公爵家というものでしょう?」
「いや、執事などから聞いた情報では、君はそこを私物化しようとしていると噂されているんだよ」
「な、なんですって……!? そんなことあるわけないでしょう!?」
非常に焦っているシエナ令嬢。その視線は右往左往しており、焦点は明らかに定まっていない。火のないところに煙は立たない……痛いところを突かれたのかもしれないわね。
「なるほど……第二夫人にレミーラ嬢を招くのは、彼女に跡取りを産ませ、自分は別荘地で悠々自適な生活……とでも考えていたのかな?」
「なっ……! シグレ王子殿下、そんなわけはありませんわ!」
「いえ、残念ですが、それを裏付ける根拠は幾つか存在しております。赤の他人の私の元にもそんな情報が入っているのですから、今後、調査を進めて行った場合、しっかりとした証拠が出て来るでしょうね」
「そ、そんな……!?」
「ほら、やっぱり! 何か怪しいと思っていたんだ君は! 僕との子供を儲けないつもりなのか!?」
「そ、それは……!」
シグレ様もルック兄さまも、シエナ令嬢にここぞとばかりに追い打ちを掛けていた。つい先ほどはマグロ様の断罪? だったはずなのに、それがシエナ様にも波及して……マグロ様とシエナ令嬢の喧嘩にまで発展している。
予断の許さない展開になってきたのは間違いないわね……。
マグロ様は急に取り乱し始めた。そもそもの話として、以前、宮殿前でも断ったはずだけれど、覚えてないのかしら?
「前にも言いましたが、私達は婚約解消をして2カ月以上経過しています。あなた様はその間、私がずっと悲しんでいた、若しくは思い焦がれていたと思っていたのかもしれませんが、そんなことは一切ないです。私とマグロ様の関係は既に無関係……シグレ様のことも確かにありますが、それを抜きにしてもマグロ様の第二夫人になるつもりは毛頭ございません」
「ま、まさか……嘘だ、そんなこと……! だって、シエナは君が私のことをまだ好いているとハッキリ言っていたのだし……!」
マグロ様はそう言いながら、睨むようにシエナ令嬢に視線を向けていた。シエナ令嬢は心底、嫌そうな顔になっていた。まるで汚物を見るような視線と言えば良いのか……少なくとも、婚約相手にする視線ではないことは確かだ。
「ちょ、ちょっとマグロ! 私のせいにしないでよっ! 私はあなたにレミーラ嬢がまだ好きかもしれないから、多少強引に求婚してみれば? って言っただけよ? それをまるで命令して強制的に行かせたみたいな……印象操作も大概にしてよね!」
「何を言ってるんだ、シエナ! 君はもっと決めつけていたじゃないか! 僕のことを操り人形だとでも考えていたのか……? そうか、だからあんな噂が流れていたんだな?」
「あんな噂……?」
何のこと? とばかりにシエナ令嬢の動きが止まった。どうやら、その噂については何も知らないようだ。私とマグロ様が別れた時に流れた、私に対して不利になる噂とは別のものみたいだし……一体、なんだろうか。
「マグロ何よ……? 噂って……」
「とぼけても無駄だよ、シエナ。君は……僕に別荘地の建設依頼をしていたじゃないか。いや、正確には僕を通さずに進めようとしていたみたいだけれどね」
「そ、それが何か……? 別に別荘の1つや2つ、持っているのが公爵家というものでしょう?」
「いや、執事などから聞いた情報では、君はそこを私物化しようとしていると噂されているんだよ」
「な、なんですって……!? そんなことあるわけないでしょう!?」
非常に焦っているシエナ令嬢。その視線は右往左往しており、焦点は明らかに定まっていない。火のないところに煙は立たない……痛いところを突かれたのかもしれないわね。
「なるほど……第二夫人にレミーラ嬢を招くのは、彼女に跡取りを産ませ、自分は別荘地で悠々自適な生活……とでも考えていたのかな?」
「なっ……! シグレ王子殿下、そんなわけはありませんわ!」
「いえ、残念ですが、それを裏付ける根拠は幾つか存在しております。赤の他人の私の元にもそんな情報が入っているのですから、今後、調査を進めて行った場合、しっかりとした証拠が出て来るでしょうね」
「そ、そんな……!?」
「ほら、やっぱり! 何か怪しいと思っていたんだ君は! 僕との子供を儲けないつもりなのか!?」
「そ、それは……!」
シグレ様もルック兄さまも、シエナ令嬢にここぞとばかりに追い打ちを掛けていた。つい先ほどはマグロ様の断罪? だったはずなのに、それがシエナ様にも波及して……マグロ様とシエナ令嬢の喧嘩にまで発展している。
予断の許さない展開になってきたのは間違いないわね……。
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