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第3章 ニートと帝国動乱

第55話 明るい未来計画

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 《うおぉぉ! ボスたちが帰ってきたぞ! 》

 《スゲー! アクツさんと男爵軍が帝国の内戦を終結させたんだ! 》

 《カァ~ッ! 俺も行きたかったぜ。トレジャーハンター辞めて軍に入ればよかったぜ! 》

 《レオン! 後で話を聞かせろよな! 》

  《荒川大佐! 元自衛隊の皆が帝国の本丸に攻め入ったなんて感激です! あの時散っていった仲間たちも、きっとあの世で喜んでますよ! 》  
                                                                                
                                                                                      
 ゲートでニート連隊を除く第一師団と共に桜島の飛空艦発着場に現れると、留守を頼んでいた第二師団の地上部隊と多くのギルド員たちが出迎えてくれた。

 皆あの魔導放送を見たのだろう。深夜だというのに集まった者たちの表情は、ここを出発する時に見せていた硬い表情と違い満面の笑みに変わっていた。

「領地の防衛ご苦労さん! オズボードのとこから金目の物をたんまり頂いてきたからな! 報酬は期待していてくれ! 」


 《《《 》》》

 《やった! 借金を返せる! 》

 《麗子ちゃんの店に行って豪遊するぞ! 》

 《俺はレンタル彼女店で綾音ちゃんを貸し切る! そしていずれ本当の彼女にするんだ! 》


 こいつら……また貢いで一瞬で金が無くなりそうだな。

「ったく、コイツらこんなんだから同じ獣人の女にモテねんだよ」

「ですです。人族の女性に騙されてることに気づいてないお馬鹿さんばかりですぅ」

「こればっかりは痛い目にあわないとな」

 いや、痛い目にあってるのに気づかないんだよな……日本の夜の女性たちからしたらカモにしか見えないもんな。なんとか被害を最小限にしないと。

「シーナ、ギルドの者たちの積立を頼むよ。軍はティナにやってもらうから」

「はいです。借金の前歴がある人には半分しか渡さないです」

「そうしてくれ……お? ティナたちが来たな。荒川さん、今日はとりあえずみんなを休ませてください。ここにある輸送艦は好きに使ってもらってかまわないです」

 警戒エリアから戻ってきたのだろう。こちらに向かってくる飛空宮殿に気づき、俺は荒川さんに部隊を休ませるように指示をした。

「はっ! 部隊を一時解散させます」

「お願いします。さて、それじゃあ家に戻ろうか」

 俺はそう言ってからリズとシーナとオリビアにホークを取り出すように言い、飛空艦宮殿へと向かった。



 ※※※※※※※※※※



「光! 」

「光殿! 」

「コウ、お帰りなさい。会いたかったわ」

「みんなただいま。領の防衛ありがとうな」

 飛空宮殿に乗り込み悪魔城に入ると、入口にはフォースターとメレスと雪華騎士。そしてティナが出迎えてくれた。

 俺は駆け寄ってくるメレスとリリアを受け止め、二人の髪を撫でながら皆に感謝の気持ちを伝えた。

「光……お父様を助けてくれてありがとう。もう駄目かと思っていたのに」

「光殿。高祖父様をお救いいただきありがとうございました。まさか生きておいでになられていたなんて……」

「だから言っただろ? 魔帝は殺しても死なないってさ。宰相もピンピンしてたよ」

 死んだ後に生き返ったんだから嘘じゃない。

「ええ……光の言ったとおりだったわ。お父様から連絡があったの。とても元気で、心配掛けてすまなかったって……光のおかげよ……本当にありがとう」

「約束したからね。あ~ほら、泣くなって。話はまた明日な? オルマ、メレスを休ませてやってくれ」

「はい。メレス様。アクツさんもお疲れになってますので、西塔にまいりましょう」

「……ええ。光、また明日……その……これはお礼よ」

 メレスはそう言って俺の首に両腕を回し、キスをしてきた。それはとても濃厚なキスで、俺はメレスの舌を味わいながら尻を両手で揉みしだき堪能した。

「わ、私もお礼です! 」

 そしてメレスの唇が離れるとすかさずリリアが割って入り、メレスと同じようにキスをしてきた。俺は押しつけられるリリアの大きな胸と、かわいい小尻を揉みながらリリアの舌を堪能した。

 これはもう次のデートで二人と深い仲になれるだろう。魔帝と宰相を助けることかできて良かった~。早く戦後処理を終わらせて二人をデートに誘わなきゃ!

「……ありがとう。十分すぎるお礼だよ。もう一回くらい帝都を攻め落とせそうだ」

「あらあら、メレスったらいつの間にそんなに大胆になったの? ふふっ、コウはモテモテね」

「リリアはわかりやすかったですけど、メレスロス様もやっぱりコウさんが好きなのですね」

「ニヒヒヒ! お高くとまってたメレスも女の顔をするようになったじゃねえか」

「そ、そんなことはないわ。これはお礼よ」

「メレスさん顔が真っ赤ですぅ」

「あはは……疲れたしもう休もうか。フォースタ-、軍の統制ご苦労さん。おかげで最小限の被害で済んだ。悪いがクラウスだけしばらく貸してくれ」

 俺は恋人たちにイジられているメレスの後ろで、相変わらずポーカーフェイスで立っているフォースターへと労いの言葉を掛けた。

「ハッ! お褒めいただき光栄です。まだまだ未熟者ではございますが、クラウスでよければお使いください。しかし陛下が生きていてくださって助かりました。これでこの混乱は収束いたしましょう」」

「まあな。詳しいことは明日話す。とりあえずオズボードの艦隊は帝都に向かわせてくれ。うちの艦隊と地上軍には、戦時態勢を解いて休むように伝えて欲しい。ただ、反乱者たちが討伐されるまで精霊連隊だけは引き続き警戒をさせてくれ。万が一があるからな」

「ハッ! 承知いたしました」

 無いとは思うが、ロンドメルの一族が血迷って光学迷彩艦でやってくる可能性もある。エルフたちの負担は大きいが、念には念をだ。


 それから俺はティナたちを連れて悪魔城の5階のリビングへと移動した。

 そしてリズに死者蘇生のスキルをどこで覚えたのか聞かれたので説明をすることになった。

 お風呂に入る前に加護のことも話さないといけないしな。

「リズとオリビアから聞いてはいたけど……本当に死んだ人が生き返るスキルを覚えたのね」

 ティナは紅茶を片手に驚くというよりは、もうなんでもありねと呆れている感じでそう言った。

「条件はあるけどね。死にたてのホヤホヤなら高確率で蘇生できると思う」

「魂還と再生とラージヒールが統合して死者蘇生のスキルに……確か滅魔も統合してできたスキルだとおっしゃってましたね」

「そうなんだ。ただ、滅魔と違って覚えたらすぐに統合したんだよね」

 俺は魔導人形からコーヒーを受け取りながらオリビアに答えた。

「統合かあ~、なるほどなぁ。ん? でもよ? それなら一度スキルを覚えなきゃなんねえよな? あんなに還魂のスキルを覚えるの嫌がってたのに何で覚えたんだ? 覚えるまで死者蘇生のスキルに統合するかどうかなんてわかんなかったんだろ? 」

「ですです。ダンジョンでは絶対に覚えないって言ってましたです」

「うっ……そうなんだけどさ。実は魔帝は死んでたんだ。それでメレスが悲しむと思って、ゾンビでもいいから生き返らせようかなと……」

 俺は我が身かわいさに悪魔に魂を売ったとはいえず、メレスのためだと説明した。

 嘘じゃないし。メレスのためにと思ったのは本当だし。

「皇帝はやっぱり……そう、メレスのためなら仕方ないわね。ちょっとボケが進行したと言えば、わからなかったかもしれないし」

「あ~、やっぱり皇帝は死んでたのかよ。まあそういうことならメレスが悲しむ顔は見たくねえしな。気持ちはわかるぜ」

「ですです。きっと神様にその想いが通じてスキルが統合したんです」

「陛下が……コウさん。そうなりますと加護は……」

「そ、そうなんだ……その……魔帝を蘇生したあとなんだけど、やっぱり魔帝は加護を失っていてさ。そしたら俺の背中が突然光ってほら、こんなものが……」

 俺はオリビアの疑問の言葉に立ち上がり、シャツをまくって皆に腰にある加護の紋章を見せた。

「そ、それはデルミナ神様のご加護!? 」

「ええ!? コウが魔神の加護を!? 」

「なんだって!? マジか! コウが加護を得たのかよ! 」

「ふえぇぇ! コウさんが皇帝になってしまうですぅ! 」

「いやいやいや、ならないよ。魔帝と交渉してさ、2等級の停滞の指輪と時戻りの秘薬で引き続き皇帝をやってもらうことになったから」

 俺はこれ以上ないってほどに驚いている恋人たちに、魔帝との交渉の事を説明した。

「そう、マルス公爵とハマール公爵が協力するなら加護の秘密は守られるんでしょうけど……」

「幻身のネックレスがあるなら大丈夫だとは思いますが、陛下がうっかり忘れないか心配ですね」

「それもあるけど、あの皇帝のことだから脅してこないか不安だぜ」

「それは大丈夫だと思う。俺が皇帝になったら、そんなのは認めないという貴族や庶民によってまた混乱するだろうしね。魔帝もそれは望んでないと思う。そもそも人族が加護を受けたなんて信じる者もいないだろうしね。もしも魔帝がバラしたらトボけ続ければいいさ」

 この加護さえ見られなければ大丈夫だ。魔帝が脅してきても、ボケが進行して妄言を吐いてると言えば帝国人は信じるだろう。見た目がもう70過ぎの爺さんだしな。普段の言動といい説得力バツグンだ。

 それに俺も黙って加護を得たままでいるつもりはない。なんとかこの加護を、せめて突然光り出すこの紋章だけでも見えないようにしないと。

「そうね。ぜったいバレないようにしないと。帝国を盾に繁栄する私たちの明るい未来計画が台無しになるわ」

「ですです。皇帝に祭り上げられたり、また内戦を起こされたりでもしたら台無しになりますです」

「陛下が首を縦に振れば、一気に土台が完成しますね」

「振るさ。それだけの功績を積んだんだしな」

 勇者以外攻略者のいない古代ダンジョンを2つも攻略し、帝国を救ったんだ。そのうえ魔帝の宿敵も倒した。全部呑ませるさ。

「ふふふ、これでコウの故郷を全て領地にできるわね。そしてエルフの森も独立できるわ」

「オズボードの領地も手に入れたし、今後は帝国本土で睨みを効かせられるしな」

「ああ、もう二度と帝国の貴族に俺と敵対しようだなんて気を起こさせないさ」

 まさかこんなに早く計画が進むなんてな。予定より早すぎて人材不足だけどまあなんとかなるだろう。

 そう、俺は日本列島の全てを領地にする。正確には台湾もだ。これは今回大陸からの侵攻の橋頭堡にされたので、防衛部隊を配置するために手に入れる。

 望めば地球のほかの土地も手に入れられるんだろうけど、俺が統治すると色々面倒が起きそうだからいらない。同じ地球人ということで甘えや温情を期待した奴らに逆恨みされ、暴動が起こるのが目に見えているしな。欲にまみれた元地球国家の奴らのことだ。独立を勝ち取るためという大義名分を掲げて、テロでもなんでもしてくるだろう。そうなれば俺も強硬手段を取らざるを得なくなる。いくら統治のためとはいえ、地球人相手にそんなことをするような状況になるのはなるべくなら避けたい。

 俺が統治するのは、日本人や台湾人みたいにおとなしい民族じゃないと難しいだろう。現在帝国相手に絶賛反乱中のアメリカや南米や欧州なんて最悪だ。

 同じ理由で帝国からは独立はしない。独立した途端に旧国家が近づいてくるのは目に見えてるし、正直今の日本の自給率では食糧難とエネルギー不足に陥る。それを解消するためにほかの土地を手に入れれば、結局は面倒を抱えることになる。なにより一番痛いのは帝国の魔導兵器や技術を手に入れにくくなることだ。魔導技術をモノにするまでは、領地を守るためにもそうなることは避けなければならない。

 計画した当初は貴族になる気は無かったし、まさかこんなに早く計画が進むとは思っていなかったから日本を独立させるつもりだったんだけどな。我ながら考えが浅かったな。

 今となってはあの時、貴族になるよう俺を説得してくれたティナには感謝だな。美人で巨乳で頭が良くてとことん尽くしてくれるしで、ほんと俺にはもったいないくらいのいい女だよ。

 そういう理由で俺は独立はしないが、帝国にエルフの独立は認めさせる。エルフの森には、精霊界から精霊が運んでくる魔素以外は帝国が欲する資源はない。だからずっと皇家の保護地区で、誰の領地でもなかったし税もなかった。唯一の人的資源であるエルフは奴隷から解放されているし、魔素に関しては地球は多いらしいからエルフの森はそこまで重要ではなくなっているはずだ。なら独立させることはそう難しくないだろう。

 もちろんエルフの森は俺が守る。近くに軍を駐屯させて、エルフにちょっかいを出そうとする貴族が現れれば徹底的に叩く。

 途中修正を何度かしたけど、ここまでが桜島総督になった時にティナたちと立てたその名も『明るい未来計画』だ。

 ティナの故郷のエルフの森の独立を勝ち取り、日本全土を領地にする。そして魔導技術の研究をして、帝国を利用し日本を強化する。強化したら統治は配下の者たちにまかせ、俺と恋人たちはたくさんの子供に囲まれながら安全で悠々自適な生活を送る。そう、毎日ティナやメレスたちとヤリまくりの最高に幸せな日々を俺は送るんだ。まさに明るい未来計画だな。家族計画とも言う。

 そうそう、今回帝都奪還に協力したグリードたちには、俺の領地内で自治をさせてやる。エルフの森の近くに獣人だけの土地を用意するつもりだ。さすがに獣人の独立はまださせられない。絶対に代替わりしたら馬鹿な指導者が反乱するだろうしな。うちの監視下に置いておかないと危なっかしくてしょうがない。

 自治区所属の獣人たちには農業や漁業。そしてうちの軍やギルドで働いてもらってそれを収入源にしてもらう。そうやって獣人の故郷を少しずつ作っていってもらいたい。もちろん最初は惜しみない援助をする。有償だけどな。借金漬けにして財政面を監視しておかないと、すぐに資金不足で統治に行き詰まるのが目に見えている。

 帝国には爵位も要求するつもりだ。これは高ければ高いほどいい。オズボードの元寄子たちに舐められないようにな。上位貴族はいろいろ特権もあるし、もらっておいて損はない。


 そんな話をティナたちと小一時間ほどしたあと、寝る前に露天風呂に入りみんなで仲良く汗を流した。

 三日ぶりの露天風呂で一気に疲れが取れたよ。ティナたち4人によるおっぱいと舌による俺の悪魔棒へのマッサージも最高だった。最後なんて4人で口移しで俺のを分けあったりしてさ。それを見てまた興奮して襲い掛かっちゃったよ。

 まあ尻まで達している加護は笑われたけど……やっぱりこの加護はなんとかしないとな。だいたい背中でいいじゃんかよ! なんで中途半端に尻に掛かってんだよクソ魔神め!

 そして湯船でイチャイチャしたあと、風呂から出てラウンジで少し休んでから久々に全員で俺の部屋のベッドで寝ることになった。

 大きなTシャツ一枚のティナとオリビア。スケスケの黒と白のネグリジェ姿のリズとシーナを前に発情期DXを飲んだ俺は、ティナから順番にひとりづつ愛していった。

 特にずっと留守番していてくれたティナとは念入りに愛し合った。ティナもいつも以上にキスをせがんできて可愛かったよ。次にオリビアの大きな尻を後ろから激しく責めたて、揺れるおっぱいを眺めながら愛し合った。それが終わった後はリズを上に乗せ、恥ずかしがる彼女に動いてもらった。

 最後はずっと縛って目隠しをさせていたシーナの尻を激しく叩きながら、おもちゃも使って愛した。まあ叩いていたのはリズだけど、シーナは見えてなかったからもっと激しく叩いてくださいって言って悦んでたよ。

 そして全員を愛した後は、4人のお尻を並べたり重ねたりして朝までハッスルしまくるのだった。

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