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第1章
第23話 警告
しおりを挟むーー 神奈川県 横浜市 大衆食堂 『大和』 とある会社員 ーー
《 では次の話題にいきます。昨晩発生した青森県にある米軍三沢基地と、横須賀米軍基地で起こりました落雷による大規模火災につきまして防衛省は現在調査中とのことですが、加藤さんどう思われますか? 》
《 いや~これはねぇ。僕は何者かの攻撃だと思うんだよね。だって一晩のうちに隣接する自衛隊基地は無傷で、米軍基地だけが被害を受けている。しかもこの二つの基地は在日米軍にとってとても重要な基地でしょ? 米国海兵隊のG-11 イーグル部隊も三沢基地に配備されてましたからね~ 》
《 そうですよね。同じ時期に米軍基地だけというのは不自然ですよね。ところで現場では火災の原因となった、落雷が多く確認されている件につきましてはいかがでしょうか? 昨夜は青森県も神奈川県にも雨雲は確認されてなかっにも関わらずです。まるであの時の……グレイマスクの救世主の放った、救済の雷のようだったという方たちもいらっしゃいます 》
《 それね……僕ももしかしたらとは思ったんですが、もしもあの時のグレイマスクの2人がやったとしててですよ? なぜその救世主が名目上は日本を守ってくれる事になっている米軍基地をと思ってね? まさかとは思うけど……あのグレイマスクの救世主に対して、日本と米国は敵対したなんてことは無いと思いたいですね 》
《 彼らは日本の救世主ですから、政府が敵対する理由はありませんが米国は…… 》
《 そうですね。米国ですからね……政府も圧力に屈してないか心配ですそれに…… 》
「なあなあ、やっぱ米軍基地が二ヶ所も一晩で炎上するなんておかしいよな」
俺が食堂のテレビをぼうっと見ていると、一緒に昼飯を食べにきた同僚が話しかけてきた。
「ああ、確かにおかしい」
「うーん……やっぱ三沢米軍基地にはイーグルもいたしな。やっぱり襲撃されたとみた方が自然だよな。見てみろよこのツイッタラーの投稿動画。テレビでも言ってたけどさ、この雲ひとつないところに突然現れた何百本にも及ぶ稲妻……似てるよな? 」
同僚がスマホに映る投稿動画を俺に見せてそう言った。
「確かに雲ひとつないのに雷が発生してるとこなんてそっくりだな」
「俺さ、テレビのコメンテーターが言うように、多分米国がグレイマスクの2人にちょっかいを出したんじゃないかって思うんだよな。インセクトイドを一瞬で全滅させたあの力を欲しがったんじゃないかって。んで、米国らしい強引な勧誘をして2人を怒らせた。あり得そうだろ? 」
「まあな。米国ならやりかねないな……日本が加担してなきゃいいけどな」
どう考えてもあの米軍基地が一晩で二ヶ所も壊滅させられるなんて、普通のテロ組織では無理だ。まるで魔法のような雷により米軍基地を壊滅させたのは、あのグレイマスク以外には考えられない。ツイッタラーの投稿動画には、他にも複数のUFOが横須賀基地の上空を飛んでいるのを撮った物もあった。これもあの時と同じだ。
同僚の言うように、北海道に潜んでいると噂されていたグレイマスクの救世主たちを、米国が強引に連れて行こうとしたんじゃないかと疑ってしまう。確かに米国ならやりかねない。
心配なのは日本政府が関わっていないかということだ。いくらなんでも日本を救ってくれた恩人に、危害を加えようとする日本人はいないと思うが……
「自衛隊基地が無事だったんたから大丈夫じゃないか? 大丈夫だよな? 」
「さあな。現政権はまともだけど、米国には頭が上がらない奴らは日本の政治家や官僚には多いからな」
10年前までこの国は、外国の工作員とそれに取り込まれた政治家や官僚で溢れていた。その結果が第一次インセクトイド侵攻時に、国民より中国人や韓国人を守ることに繋がった。あの時は100万人近いデモが各地で起き、衆議院を解散へと追い込んだ。
さすがに大物政治家の地元の人間たちも奴らを見捨てた。当然だ。誰だって虫に殺されたくなんて無い。あのグロい動画を見れば誰だってそうなる。
そしてM-tubeで絶大な人気を誇っていた桜の木党が大量に議席を確保し、その他の保守寄りの党と連立を組み与党となった。前政権の奴らは当然ほとんどの者が落選し、その中のある議員が北海道の被害者の遺族に殺されてからは表に出てこなくなった。恐らく海外に逃げたんだろう。
それからは憲法改正に高等警察の設立とトントン拍子に進み、今では米国に次ぐ軍事力を持つまでになった。ロシアや中国なんてもう脅威ではない。それもこれも地下世界の支援のおかげだ。地下世界のエルサリオンと名乗る国の者たちは、どういうわけか新しい技術に資源まで日本と米国にもたらしてくれている。当時米国がその技術を独り占めしようとしたらしいが、日本は米国の圧力を跳ね除け世界にその技術を公開した。
その時に何人か与党議員が何者かに襲撃を受けたのに、それに屈せず世界のために公開したのは大したもんだと桜の木党の支持率がさらに上昇したのを覚えている。そしてその技術の一つである、核融合技術のおかげで世界のエネルギー問題は解決した。石油価格が下落して中東やロシアに米国はかなりの経済的な被害を受けたが、それまで貧しかった国へ日本が支援したことにより、世界全体の経済はインセクトイドが侵攻してくる前以上に良くなった。
宗教戦争も部族間の争いも減った。そんなことをしている場合じゃないし、紛争中の国には日本が地下世界より得ている資源の供給を止めると宣言していることも影響していると思う。
インセクトイドが侵攻してくる前は隣国にさんざん馬鹿にされ、因縁を付けられてもヘコヘコしている政府に対して屈辱と怒りの日々だったが、こんなに日本人であることを誇らしく思える日が来るとは思わなかった。
しかし先月、インセクトイドが再び日本に上陸した。当初は第一次侵攻時とは違い、俺たちにはサクがあるから大丈夫だと思っていた。ところがやってきたのは、初めて見る飛行タイプのインセクトイドだった。奴らに対して日本の対空装備はまだ貧弱で、奴らの上陸を許してしまった。これは日本だけではなく世界中が似たようなものだった。
避難所で確認したSNSには、奈良と函館の住民からの絶望の書き込みと、バッタ型のインセクトイドに喰われるグロい動画が次々とアップされた。
もう駄目だと思った。サクだけじゃあの数のインセクトイドには対処しきれないと。いずれこの神奈川にも奴らはやってくると俺は妻と娘を抱いて震えていた。
しかしその時。どこからともなく宇宙人のグレイのマスクを被った2人が現れた。
人型の彼らは空を飛び、雷を呼び起こし炎でインセクトイドたちを一瞬で焼き払った。そしてその後はUFOも加勢に入り、あっという間に日本からインセクトイドはいなくなった。
その後、彼らはUFOと別れ北海道で姿を消したらしいが、メディアでは地下世界からやってきた救世主だと大騒ぎだった。マスコミはこぞって北海道へと行ったが、彼らを発見することはできなかった。そのうえ地元民から彼らが日本からいなくなったらどうするんだと、総攻撃を受けて撤退していた。それはそうだ。彼らが日本にいてくれれば、またインセクトイドの侵攻があった時に助けに来てくれるかもしれないからな。マスコミは外国の支援が無くなり数が減ってもマスゴミのままだな。
しかしそのタイミングで北海道に近い青森県の三沢米軍基地と、その数時間後の横須賀米軍基地の大火災が起こった。そして雲ひとつない所に現れた雷とUFOの存在。やっぱりあのグレイマスクの2人がやったと思えて仕方ない。
「ん? お、おい! これ! M-tube! 見てみろ! イーグルが大量に! 」
「なんだよどうしたんだ……よ……これって……」
「昨夜の三沢米軍基地の映像らしい。SNSで拡散されてる。30分前にアップされたみたいだ。それよりこの空から撮っているのと、イーグルに向けて銃みたいなのを撃ってるこの黒いコートと白い帽子の女の子の後ろ姿……」
「まさか……グレイマスクがアップしたのか!? 」
俺は同僚が血相を変えて見せてきたスマホの動画に映る、女性らしき後ろ姿の人物から目が離せなかった。その女性は真下に向けて銃のような物を撃っていた。俺が食い入るように動画を見ていると、周囲で飯を食っていたほかのサラリーマンたちも、自分のスマホを近くの人に見せているのが視界の端に映った。どうやらもの凄い勢いで拡散しているようだ。
「うおっ! 雷! 」
「なっ!? 一撃!? まさかイーグルが!? 米国最強のパワードスーツ部隊がたった一撃!? 」
俺は動画に映る光景が信じられなかった。動画に映っていた女性が銃を撃つのをやめたかと思ったその瞬間、何百もの稲妻がイーグルに襲い掛かったからだ。そしてそれにより300機近くはいたイーグルが一瞬で黒焦げになり、50両はあった戦車が爆発炎上した。戦車の炎によって照らされたイーグルからは白い煙が内部から吹き出し、パイロットたちの生存は絶望的であることを思わせた。
「うえっ……飯時にこれはキツイ……」
「うっ……イーグルの中が見えないのが救いだな……ん? 撮影者が掴んでいるこのスーツを着たグッタリした男は誰だ? 黒髪で日本人に見えるが顔が見えないな」
俺は撮影者らしき男が一瞬映した、襟を掴まれてぶら下がっている男が気になった。
「さあな。もしかしたら米軍に拉致された日本人とかか? ってそれよりUFOが米軍の戦闘機を攻撃してるぞ! やっぱ米軍は地下世界の住人を怒らせたんだ! 」
「本当だ……圧倒的過ぎる……おいおい……まだやるのか? 」
動画ではUFOが米軍の戦闘機を次々と緑色のビームで撃ち落としていっている姿と、その後撮影者が米軍基地の施設を雷撃とも言えるもので破壊炎上させていくのが映し出された。
「対空砲もなにも全て弾いてる……圧倒的過ぎるだろ……雷といいやっぱり救世主なのは間違いない」
「遠くであの女の人も施設を燃やしてるな。なんて力だ……米国はこんな2人と地下世界を敵に回したってことか」
駄目だな。米国はもう駄目だ。滅ぶな。インセクトイドから救ってくれた救世主と、地下世界を敵に回したんだ。米国に未来はない。
個人的には幼い頃から横須賀米軍基地には親しみがあったが、それは平和な時代だったからだ。日本との同盟を2度も裏切り尚も日本に居座り続け、インセクトイドという敵性異星人から救ってくれた存在を敵に回したんだ。しかもこの日本で彼らを挑発した。
米国は滅ぶ。滅ぶのは勝手だが日本にとばっちりが来ないか心配だ。
「ん? 画面が変わった……移動中か? かなりの高度だよな……あっ! UFOが3機に増えた! やっぱり米軍の戦闘機を撃ち落としてる! それに下に見えるのはもしかして横須賀基地じゃないか? 」
「ああ、あの特徴的な港の形は恐らく……多分横須賀基地を守ろうとやってきた戦闘機なんだろ。まるで蚊トンボみたいにあっさり落とされてるな。それに海からか……おいおい……空母も一撃かよ……」
三沢米軍基地の映像から突然変わったと思ったらUFOがいつの間にか増えており、側面からやってくる戦闘機を次々と撃ち落としていた。そして撮影者の眼下には、見覚えのある港が映し出された。
そこは横須賀米軍基地で、港には現在寄港中の空母と巡洋艦に潜水艦が停泊しており、それらも撮影者によると思われる雷により一瞬で撃沈されていった。
米軍は三沢米軍基地より激しい抵抗を行うが、グレイマスクは全ての攻撃を見えないバリアのようなもので弾き施設を次々と破壊していった。
横須賀米軍基地には米軍の海兵隊員が多く駐留している。イーグルは三沢米軍基地に派遣していたからか数十機程度しかいなかった。当然そのイーグルも随行していた装甲車や戦車に歩兵も全て、撮影者といつの間にかピンクのグレイマスクを装着した同行する女性によりその命を絶たれていった。そして居住区以外全ての施設を破壊し終えた後、撮影者は地上へと降りカメラをピンクのグレイマスクの女性に渡し自らを映させていた。
「黒髪? このグレイマスクの男は黒髪だったのか……前回はフードを被ってた上にかなり遠くから撮った映像だったからわからなかったけど、まさか黒髪だったとはな」
「肌の色からしてアジア人にしか見えないけどな。地下世界の住人は俺たちとそう変わらない容姿らしいから黒髪もいるんじゃないか? 」
俺たちがその初めて間近で見る救世主の姿に驚いていると、今まで無音だった動画から音が聞こえてきた。そしてグレイマスクの背後で炎上する基地の爆発音と共に、グレイマスクの声と思われるものが聞こえてきた。
『日本の皆さん、お騒がせしてすみません。俺は先日の第三次インセクトイドの侵攻時に奈良と盛岡で戦った者です。名前はそうですね……皆さんが言っているグレイマスクでいいかな。ああ、俺は皆さんと同じ日本人です』
「「ええーー!? 」」
「に、日本語! 日本人!? マジかよ! 」
「信じられない……でもこの流暢な日本語……」
俺と同僚はグレイマスクの言葉にめちゃくちゃ驚いた。食堂にいるほかの客も動画が追い付いたのか、あちこちで遅れて驚く声が聞こえてきた。
まさかあの圧倒的力を持った者が日本人だったなんて。だから日本を救ってくれたのか。これは日本にとってなんて幸運な……
『俺と恋人のこのグレイピンクは、ある所で10年掛けてこの力を手に入れました。それはもう何度死にかけたかわからないほどの苦難を乗り越えてです。そして10年振りに日本へ戻ってきたら、インセクトイドに街が襲われていました。俺は家族と居場所を守るために戦うことを決意しました。だけど戦ったことで俺が誰なのか、日本政府と米国に特定されてしまいました。日本政府は俺の家族と友人に護衛を付けてくれたようですが、警視庁が裏切り米国に友人を差し出しました。そして米国は友人を傷つけたくなければ、おとなしく付いてくるように俺を脅してきました』
「10年掛けて手に入れた力? いや、それより人質を取って日本から米国に連れ出そうとしやがったのかあのヤンキーども! 」
「ふざけてる! 日本を救ってくれた恩人を、人質を取って日本から連れ出そうなんて! 」
俺たちは憤慨した。グレイマスクの言葉を疑う気持ちは湧かなかった。米国ならやるだろうなと思えたからだ。食堂のあちこちからも米国に対しての怒声が聞こえてくる。
しかし、ならさっきのスーツの男性はその友人か。友人を救ってその怒りで基地を攻撃したってことか。
『結果がこれです。俺は友人を救い出し、2度と俺の身内に手を出させないために、三沢米軍基地と横須賀米軍基地を襲撃しました。日本の政治家や官僚には米国寄りの人間が多いですからね。自分の身を守るためです。皆さんにはこの動画の拡散をお願いします』
「そういうことか。そりゃ身内に手を出されたらやるよな。個人VS国じゃこれくらいやらないと伝わらないだろうしな」
「ああ、日本政府が信じられないのもわかる。警視庁が友人を米国に差し出したわけだしな」
俺だって力があれば同じ選択をしたと思う。だって相手が米国じゃ、日本政府を通した話し合いじゃ無理だろうし。二度と手を出させないために徹底的にやるしかないと思う。
『拡散の後に米国の者が見ていると信じて警告をします……いいかアメリカのクソども。次にまた俺の身内に手を出せば今度はアメリカに行く。そして対インセクトイド用の軍施設を全て破壊してやる。そうなればまたインセクトイドが侵攻してきた時にお前たちは滅ぶ。地下世界の住人に期待するなよ? 見てただろ? UFOがお前たちの戦闘機を撃墜するのを。そういうことだ。お前たちは俺の敵だ。俺の身内に手を出したんだ。謝って済むなんて思うんじゃねえぞ? 二度と俺の周りをうろちょろするな。俺の素性も公開するな。次は確実に滅ぼす! 』
「こ、怖え……マジで怒ってる」
「べ、米国に乗り込んで軍施設を全て破壊なんてしたら……確実に滅ぶ……」
俺たちはこれまで丁寧な口調で話していたグレイマスクが、突然殺気とも呼べるような物を発したのが画面越しでもわかった。そして本気で怒っていると、本当にやるつもりだということが嫌でも伝わってきた。
『そして警視庁の奴ら。よくも俺の友人を売ってくれたな。今すぐ殺してやりたいがそれはもう1人の公務員の友人に免じて猶予してやる。だが高等警察だったか? そこが動いて重罪にしないなら俺は家族を連れて日本を出る。日本人だが日本が敵に回るなら俺は恋人と家族を優先する。日本の皆は悪く思わないで欲しい。俺は普通に生活したいだけなんだ 』
「ちょ、請願《せいがん》! 政府に請願を送れ! これはインセクトイドを使って日本を滅ぼそうとしたに等しいぞ! 警視庁の米国に加担した奴ら全員を外患罪、国家反逆罪で訴えよう! 」
「これはやばい……すぐに高等警察を動かさなきゃ、グレイマスクが日本から出て行く」
マズイマズイマズイ! すぐにSNSで拡散して皆でネットを通して政府に請願をしなきゃ! そして1週間で20万人集めなきゃ! それからなんとか拡大解釈で外患罪を適用させよう!そうしたら死刑になる。そこまでやればグレイマスクも納得してくれるはずだ。
『そしてマスコミ。俺の素性を暴こうとしたり周りをうろちょろするなら日本を出て行く。普通に生活ができないなら、普通に生活をさせてくれる国に行く。どの国も快く受け入れてくれそうだしな。その後に日本国民に殺されないようせいぜい気をつけるんだな』
グレイマスクは続けてマスコミにも釘を刺した。確かに日本人だとわかればあらゆる手段を駆使して特定しそうだ。マスコミに付け回されて日本中に素性が知られれば、彼の求める普通の生活はできなくなるだろう。
俺たちにできるのは、グレイマスクの素性を探ろうとする奴らが出てきたら徹底的に叩くことだけだ。マスコミだって日本人だし家族もいる。さすがにやらないとは思うけど、どこの世界にも馬鹿はいるからな。目を光らせておかないと……特にタブーに平気で首を突っ込むM-tuberなんて要注意だ。
『最後に皆さんに言っておきます。日本は故郷ですが、俺は俺の大切な人たちを優先します。そして俺は世界のために戦うつもりはありません。大切な人だけを守るために戦います。間違っても助けてもらって当たり前だとか思わないでください。あくまでも俺は自分の居場所を守るために戦います。つまりそこが日本でなくても別にいいと思っています。いつでも家族を連れて日本から出る覚悟があるということだけ知っておいてください。以上です』
グレイマスクがそう言うと動画は終わった。再生回数を見たらすでに300万再生を超えていた。恐らく世界中に既に拡散されていることだろう。
「これはあれか? 英雄として持ち上げられて、国民の戦闘奴隷にはならないって宣言か? 」
「助けられて当たり前だと、助けられなかったからって文句を言う奴を牽制してるんだろう。あくまでも日本を救うのはついでだと言いたいんだろうな」
確かに最初は感謝されども、もしもインセクトイドが前回より多くの地域に一斉に襲い掛かってきたら救えない場合もある。たった2人しかいないんだしな。その時に家族を失ったことで恨むやつが出てくるのを牽制しているんだと思う。
命懸けで戦って文句を言われたらそりゃやってられないよな。英雄とか救世主とか持ち上げられたらそうなる可能性は高い。だからいつでも日本を出て行くと、自分のために戦うんだと言っているんだろう。
こりゃマスコミを徹底的に見張って英雄視させないようにしないとな。日本人全体がグレイマスクが生活しやすいよう、日本にいたいと思える環境を作らないと難しい。まずはSNSを通じて意思の統一をしないとマズイな。俺たちの命と家族の命がかかってるだ。やるさ、やってやるさ。
「こりゃ大変だけど、つまりはマスコミを黙らせてグレイマスクの素性を知っても知らないフリさえしておけば日本を守ってもらえるってことだよな? 」
「ああそう受け止めていいと思う。でもまずは警視庁のクソ野郎どもに鉄槌をくだして、この日本から米国人を追い出すことからだな」
「そうだな。中国と韓国を追い出した時のようにまたやるか」
「徹底的にやろう。家族の命がかかってるんだ」
俺はそう言って同僚と食堂を出て行動を開始した。
警視庁の奴らふざけたことしやがって。危なくグレイマスクが日本から出て行くとこだった。そうなればまたインセクトイドがまた来た時に、俺たちは死んでいたかもしれなかった。妻も娘も……ただじゃ済まさねえぞ!
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