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第九章 漠然とした不安
第四十五話 蝕むモノ
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南雲宅で作戦会議をしている途中、風夜は体に違和感を覚え、咄嗟に洗面所へ向かった。
「ハァ……ハァ……」
蛇口の水を出しっぱなしにした洗面台で、風夜は苦しそうに両手をついていた。
肩で息をしていると、急に喉から熱いものが込み上げ、風夜は激しく咳き込んだ。
「うっ……ゲホッ、ゲホッ……‼︎」
風夜の口から溢れたのは自分の真っ赤な血だった。
飛び散った血が白い洗面台に斑模様を作る。
口内に鉄の味がして、風夜は水を入れたコップで口の中を何度も漱いだ。
「…………」
しばらくすると体に襲った衝撃が治まり、ホッと息を吐いた風夜は、ふと洗面台の鏡を見る。
そこには、死人のような自分が風夜をジッと見つめていた。
元々白かった顔が更に青白くなり、苦痛のせいか目の下に薄っすらと隈ができていた。
「っ……」
左胸からチクリと針で刺されたような鋭い痛みが走り、風夜は羽織っていたパーカーを脱ぐ。
「……‼︎」
露わになった上半身を見て、風夜は愕然とした。
痛みを感じた場所に刺青がある。
しかし、鎖骨の下まで留まっていたそれが、肩に掛けて広がっていたのだ。
「また……広がってる」
呆然と呟いた。
最初は薄い赤紫の痣だと思い込んでいたが、日に日に黒く根付き形成していったのだ。
風夜は原因がわかっていた。
毎日現れる夢の中を無意識に歩いていると、それが刺青に結びつくように成長していったのだ。
初めは広がる程度だったのが、時折縄で強く締め上げられるような激痛に襲われることがあった。
「…………」
内側に潜む『何か』に蝕まれているような気がして、風夜は背筋に悪寒が走る。
(……何なんだよ)
自分の体に何が起こっているのかわからず、風夜は込み上げた血をごくりと飲み込む。
意味のわからないこの現象に、自分に一体何を関係しているのだろう。
「風夜、大丈夫?」
隣から沙希の声と扉を叩く音に、風夜は今にも途絶えようとしていた意識を取り戻した。
「ぁ……ぅ……」
口内に溜まっている血のせいで、風夜はか細い声しか出せず、すぐに返事をすることができなかった。
風夜は急いで口を漱ぎ、血で汚れた洗面台を水で洗い流した。
まだ意識がぼんやりとしていて、動きがぎこちなく、脱いだパーカーを着るのに時間が掛かってしまう。
扉の向こうに沙希の心配する声とノックの音が聞こえる中、風夜は何とかパーカーに袖を通すと、鍵を掛けた扉を開けた。
✿ ✿ ✿
風夜の中で幾つもの疑問が生まれる。
――どうして、俺は記憶喪失になってしまったのか。
――俺の体に一体何が起きているのか。
――俺は何を忘れているのか。
考えても、その答えを返す者はいなく、原因不明の症状に風夜は苛立ちが募るばかりだった。
曇っていた視界が正常に戻ると、下に昨夜の雨でできた水溜まりに自分の顔が映っていた。
水溜まりに映る瞳が一瞬紅に染まった気がしたが、すぐに治まる。
「……忘れていいようなものじゃなかった気がする」
「――思い出したいの?」
背後から聞こえた声に、風夜は驚いて振り向く。
先ほど風夜が腰掛けていた拝殿前の石段に、黒の和服を着た幼い男の子――クロが姿を現した。
「何だよ……」
「そんなに知りたい? 自分の記憶」
「当たり前だろ……! もう意味わかんねぇことに振り回されたくねぇよ……!」
風夜がこの症状に苦しめられているのは、昔何かあったのは確かなようだ。
真実は欠落した記憶が鍵となっているのだから。
「ふーん。ねぇ、本当に思い出したいの?」
苛立たしげに発する風夜を見て、クロは不思議そうに首を傾げる。
「何が言いたいんだよ……」
「知らなかった方が良かったって、よくあるじゃん。仮に思い出したとして、君はその『後』はどうするの? その未来を受け入れられる覚悟はあるの?」
「っ……!」
風夜は驚きの表情で固まる。
クロは話を続ける。
「怖いんでしょう。君の失った『過去』、見たくもない『未来』。知ってしまったら、『今』の自分を殺すことになるよ。それでも思い出したい?」
「俺は……」
思い出したい、とは言い切れなかった。
自分がどうしてこうなってしまったのか、もちろん知りたい。
でも、思い出してしまったら、自分には耐え切れない恐怖が襲ってくる気がした。
矛盾思考が風夜を苛む。
「俺は……どうしたらいいんだよ。もう何も考えたくねぇ……」
未だに治まらない頭痛に風夜は耐えられなくなり、思考を放棄してしまう。
「そう。それでいいんだよ……」
クロは石段から立ち上がり、四つん這いになっている風夜に歩み寄る。
向かい合うようにクロは正座すると、苦痛な表情を浮かべる風夜の首に小さくて細い両腕を回す。
「君はそのまま、『今』を生きるんだ。その方がずっと幸せだよ」
そう言うと、クロは風夜の額に片手を添えた。
「――!?」
すると、風夜の体が淡く光った。
「……何を。あれ……?」
瞬いた瞬間、目の前にいたクロが消えると、頭痛がピタリと治まった。
同時に、この神社に足を踏み入れた辺りから、風夜は『それまで』の記憶が消えていた。
「……俺、何で神社なんかに?」
忘却した風夜はどうして自分が神社にいるのか考え込んでいると、不意にガコンと鈍い音がして意識がそちらに向く。
「帰るか……」
風夜は立ち上がると、両膝についた土を払い落とす。
そして、何事もなかったかのように鳥居に向かうのだった。
✿ ✿ ✿
出入り口の赤い鳥居を潜り、短い石段を下りる。
すると、右方から異様な気配を感じて、風夜は足を止める。
「……!」
そちらに向くと、思わぬ人物が視界に飛び込み、風夜は驚いて目を見開く。
そこには自動販売機があり、その前に紫雨がいた。
彼は購入したであろう飲み物を手に立ち尽くしている。
(あ……)
風夜は紫雨の手に持つ飲み物を見て、合点がいった。
記憶を探っている最中に聞こえた鈍い音は、自動販売機から購入した飲み物が落ちた音だったのだ。
しばらく見入っていると、紫雨がこちらを向いた。
「あ……」
飲み物から視線を上げた紫雨は、風夜と目が合い、思わず間の抜けた声を漏らした。
二人の間に、重い沈黙が下りる。
あまりにも思いがけない出会いに、お互い顔を見合わせたまま動かない。
「…………」
どれくらいの間を置いただろうか。
流石の風夜もこの沈黙に耐えられなくなった。
(……?)
相手が来ないなら、風夜はこちらから終止符を打とうと思ったところ、紫雨が思わぬ行動に出た。
紫雨は風夜から顔を逸らし、突然ボトムスから小銭を出したかと思えば、淡々と自動販売機から飲み物を購入した。
取り出し口から購入した飲み物を手に取ると、有無なく風夜に投げ渡す。
「……っと!」
呆然と見ていた風夜はハッと我に返り、自分に向かって飛んでくる飲み物を見事にキャッチした。
手の中で冷たい感触がする。
(コーラ……)
缶のラベルから視線を上げると、紫雨がきょとんとした顔をする。
「あ、もしかしてコーラ嫌いだった?」
「え、いや……」
突然の状況についていけず、風夜は戸惑いの表情を見せる。
そんな表情を浮かべる風夜にお構いなしで、紫雨は屈託のない笑顔を見せる。
「ねぇ。時間あるなら、少し面貸してよ」
「は?」
「君に話したいことがあるんだ。来てくれるよね?」
紫雨はそう言って、神社の隣にある小さな児童公園へ指差す。
「…………」
紫雨がどういうつもりなのかわからないが、彼からは敵意や殺意など風夜は全く感じなかった。
「……わかった」
風夜は不本意だが、ここで関わってしまった以上、引き下がるのも後味の悪い気がした。
「ハァ……ハァ……」
蛇口の水を出しっぱなしにした洗面台で、風夜は苦しそうに両手をついていた。
肩で息をしていると、急に喉から熱いものが込み上げ、風夜は激しく咳き込んだ。
「うっ……ゲホッ、ゲホッ……‼︎」
風夜の口から溢れたのは自分の真っ赤な血だった。
飛び散った血が白い洗面台に斑模様を作る。
口内に鉄の味がして、風夜は水を入れたコップで口の中を何度も漱いだ。
「…………」
しばらくすると体に襲った衝撃が治まり、ホッと息を吐いた風夜は、ふと洗面台の鏡を見る。
そこには、死人のような自分が風夜をジッと見つめていた。
元々白かった顔が更に青白くなり、苦痛のせいか目の下に薄っすらと隈ができていた。
「っ……」
左胸からチクリと針で刺されたような鋭い痛みが走り、風夜は羽織っていたパーカーを脱ぐ。
「……‼︎」
露わになった上半身を見て、風夜は愕然とした。
痛みを感じた場所に刺青がある。
しかし、鎖骨の下まで留まっていたそれが、肩に掛けて広がっていたのだ。
「また……広がってる」
呆然と呟いた。
最初は薄い赤紫の痣だと思い込んでいたが、日に日に黒く根付き形成していったのだ。
風夜は原因がわかっていた。
毎日現れる夢の中を無意識に歩いていると、それが刺青に結びつくように成長していったのだ。
初めは広がる程度だったのが、時折縄で強く締め上げられるような激痛に襲われることがあった。
「…………」
内側に潜む『何か』に蝕まれているような気がして、風夜は背筋に悪寒が走る。
(……何なんだよ)
自分の体に何が起こっているのかわからず、風夜は込み上げた血をごくりと飲み込む。
意味のわからないこの現象に、自分に一体何を関係しているのだろう。
「風夜、大丈夫?」
隣から沙希の声と扉を叩く音に、風夜は今にも途絶えようとしていた意識を取り戻した。
「ぁ……ぅ……」
口内に溜まっている血のせいで、風夜はか細い声しか出せず、すぐに返事をすることができなかった。
風夜は急いで口を漱ぎ、血で汚れた洗面台を水で洗い流した。
まだ意識がぼんやりとしていて、動きがぎこちなく、脱いだパーカーを着るのに時間が掛かってしまう。
扉の向こうに沙希の心配する声とノックの音が聞こえる中、風夜は何とかパーカーに袖を通すと、鍵を掛けた扉を開けた。
✿ ✿ ✿
風夜の中で幾つもの疑問が生まれる。
――どうして、俺は記憶喪失になってしまったのか。
――俺の体に一体何が起きているのか。
――俺は何を忘れているのか。
考えても、その答えを返す者はいなく、原因不明の症状に風夜は苛立ちが募るばかりだった。
曇っていた視界が正常に戻ると、下に昨夜の雨でできた水溜まりに自分の顔が映っていた。
水溜まりに映る瞳が一瞬紅に染まった気がしたが、すぐに治まる。
「……忘れていいようなものじゃなかった気がする」
「――思い出したいの?」
背後から聞こえた声に、風夜は驚いて振り向く。
先ほど風夜が腰掛けていた拝殿前の石段に、黒の和服を着た幼い男の子――クロが姿を現した。
「何だよ……」
「そんなに知りたい? 自分の記憶」
「当たり前だろ……! もう意味わかんねぇことに振り回されたくねぇよ……!」
風夜がこの症状に苦しめられているのは、昔何かあったのは確かなようだ。
真実は欠落した記憶が鍵となっているのだから。
「ふーん。ねぇ、本当に思い出したいの?」
苛立たしげに発する風夜を見て、クロは不思議そうに首を傾げる。
「何が言いたいんだよ……」
「知らなかった方が良かったって、よくあるじゃん。仮に思い出したとして、君はその『後』はどうするの? その未来を受け入れられる覚悟はあるの?」
「っ……!」
風夜は驚きの表情で固まる。
クロは話を続ける。
「怖いんでしょう。君の失った『過去』、見たくもない『未来』。知ってしまったら、『今』の自分を殺すことになるよ。それでも思い出したい?」
「俺は……」
思い出したい、とは言い切れなかった。
自分がどうしてこうなってしまったのか、もちろん知りたい。
でも、思い出してしまったら、自分には耐え切れない恐怖が襲ってくる気がした。
矛盾思考が風夜を苛む。
「俺は……どうしたらいいんだよ。もう何も考えたくねぇ……」
未だに治まらない頭痛に風夜は耐えられなくなり、思考を放棄してしまう。
「そう。それでいいんだよ……」
クロは石段から立ち上がり、四つん這いになっている風夜に歩み寄る。
向かい合うようにクロは正座すると、苦痛な表情を浮かべる風夜の首に小さくて細い両腕を回す。
「君はそのまま、『今』を生きるんだ。その方がずっと幸せだよ」
そう言うと、クロは風夜の額に片手を添えた。
「――!?」
すると、風夜の体が淡く光った。
「……何を。あれ……?」
瞬いた瞬間、目の前にいたクロが消えると、頭痛がピタリと治まった。
同時に、この神社に足を踏み入れた辺りから、風夜は『それまで』の記憶が消えていた。
「……俺、何で神社なんかに?」
忘却した風夜はどうして自分が神社にいるのか考え込んでいると、不意にガコンと鈍い音がして意識がそちらに向く。
「帰るか……」
風夜は立ち上がると、両膝についた土を払い落とす。
そして、何事もなかったかのように鳥居に向かうのだった。
✿ ✿ ✿
出入り口の赤い鳥居を潜り、短い石段を下りる。
すると、右方から異様な気配を感じて、風夜は足を止める。
「……!」
そちらに向くと、思わぬ人物が視界に飛び込み、風夜は驚いて目を見開く。
そこには自動販売機があり、その前に紫雨がいた。
彼は購入したであろう飲み物を手に立ち尽くしている。
(あ……)
風夜は紫雨の手に持つ飲み物を見て、合点がいった。
記憶を探っている最中に聞こえた鈍い音は、自動販売機から購入した飲み物が落ちた音だったのだ。
しばらく見入っていると、紫雨がこちらを向いた。
「あ……」
飲み物から視線を上げた紫雨は、風夜と目が合い、思わず間の抜けた声を漏らした。
二人の間に、重い沈黙が下りる。
あまりにも思いがけない出会いに、お互い顔を見合わせたまま動かない。
「…………」
どれくらいの間を置いただろうか。
流石の風夜もこの沈黙に耐えられなくなった。
(……?)
相手が来ないなら、風夜はこちらから終止符を打とうと思ったところ、紫雨が思わぬ行動に出た。
紫雨は風夜から顔を逸らし、突然ボトムスから小銭を出したかと思えば、淡々と自動販売機から飲み物を購入した。
取り出し口から購入した飲み物を手に取ると、有無なく風夜に投げ渡す。
「……っと!」
呆然と見ていた風夜はハッと我に返り、自分に向かって飛んでくる飲み物を見事にキャッチした。
手の中で冷たい感触がする。
(コーラ……)
缶のラベルから視線を上げると、紫雨がきょとんとした顔をする。
「あ、もしかしてコーラ嫌いだった?」
「え、いや……」
突然の状況についていけず、風夜は戸惑いの表情を見せる。
そんな表情を浮かべる風夜にお構いなしで、紫雨は屈託のない笑顔を見せる。
「ねぇ。時間あるなら、少し面貸してよ」
「は?」
「君に話したいことがあるんだ。来てくれるよね?」
紫雨はそう言って、神社の隣にある小さな児童公園へ指差す。
「…………」
紫雨がどういうつもりなのかわからないが、彼からは敵意や殺意など風夜は全く感じなかった。
「……わかった」
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