『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

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06章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈結〉

06章-19

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***06-19-09

 と、その時だった。



 リーンゴーンリーンゴーン……



 いつもの時計塔の鐘の音。20:00を知らせる音だ。

 そして、



 夜空の彼方を、ドーンという低い炸裂音と共に次々と打ち上げ花火が大輪の花を咲かせ、散っていく。



「折角のお祭りなんだもの、アッシュと回れなかったけど、せめて花火くらいは、一緒に、ね。ここならよく見れるし」

 レイチェルの部屋はこの辺りでは珍しい3階で高いから花火が良く見える。

 そうか、それで俺とレイチェルはここでお茶をして待っていたわけか。



「レイチェル」
「ん、どうしたの? アッシュ」



 俺は彼女に、

「俺を、信じてくれてありがとう」

 礼を伝えた。



 レイチェルは“何を急に。どうしたのよ!?”とあたふたしていたが、今の彼女には多分、何もわからないとは思う。

 それでも、俺は。

 無条件で俺を信頼してくれたレイチェルの想いに俺は礼を言いたかった。

 もう、本当の意味としては伝えられないのかもしれなくても。



 遠く、花火を見つめるレイチェルの胸元にはあの赤い紅玉石のネックレスが輝いていた。

⭐︎⭐︎⭐︎
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