『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

文字の大きさ
上 下
136 / 146
06章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈結〉

06章-15

しおりを挟む
***06-15-09

「アシュ氏、どこへ!?」

 それに答える余裕も無かった。一直線に向かい、その店主の横に置かれている酒樽に躊躇なく顔を突っ込む。

「おい、お前、いきなり何をする!」

 何か止めようとしているのだろうが、今の俺に物理干渉は無意味だ。

 幾つかの酒樽に同様の行為を繰り返し、3個目で、それに当たった!

「んんー!?」

 樽の中、猿ぐつわをかまされて震えていたリアンは突如、樽の中に生えた首=俺を見て、驚愕の表情で叫ぼうとする。

 まぁ、そりゃそうなるわな。普通に考えればホラーだわ。

 だが、俺には構ってられる余裕は無かった。

 俺は大きく叫ぶ!

「リアンはここだーッ!」



 と……



 リーンゴーンリーンゴーン……



 鐘の音が鳴り響く。時計塔の鐘が鳴る時間ではない筈なのに……



 振り向いたその視界に飛び込むのは、



 13:45



 視界がスローモーションのように、映る中、またしても世界が灰色のモノクロームに染まっていく。



 待て! この状況は……俺は成功したのか? それとも……失敗したのか!?



 ゆっくり、全ての動きがゆっくりとなる中、バルが、そのスローモーな世界の中で酒樽を抱き上げ、潰す。

 破壊され、ボロボロになる酒樽の中、そこにリアンが……バルの胸元に飛び込んでいき……





 世界が反転していく。


 世界が反転。


 …………



⭐︎⭐︎⭐︎
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...