『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

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06章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈結〉

06章-11

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***06-11-09


“そこの路地を抜けた先、緑のズボンの変装した憲兵に『誘拐が発生した。路地から港へ向かう馬車を止めろ』と判事の力で命令してくれ”

“アッシュ!? それはどういう……”

“更に港へ少し行った先の憲兵にユリウスへの伝令を依頼しろ。呼び子笛を持っている筈”

“…………アッシュ……”

“頼む。俺を信じてくれ”

“……わかった。私はアッシュを信じる”



 レイチェルは俺に説明する時間がないことを見てとると、一瞬の疑念さえ見せずに、ただ静かに俺を見つめた。

 彼女はいつだって、俺を信じてくれる。

 それがどれだけの勇気をくれるか、彼女は知らないだろう。

 そして、ミリーの手を取り、大通りの先にいる最も近い、憲兵の元に向かう。





 バルにも、レイチェルにも、『刻戻り』時には『未来に起こること』を『直接』、伝えることが出来ない。

 現時点で生じている『誘拐』という単語は話せるがそれ以外は伝えられない。

 なので、不自然な物言いしか出来ないのだが、二人ともそんな俺を信頼してくれた。

 そう、信じてくれたのだ!

⭐︎⭐︎⭐︎
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