『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

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06章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈結〉

06章-08

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***06-08-09

 リアンを背中に抱えたまま、路地の奥を走り抜けるピエロ。

 小さいとは言え、人一人分を背負っている事。

 そして俺自身は、ヤツの行き先を知っている事。

 更に俺の身体が『刻戻り』の影響で物理的なものを無視出来る為、曲がり道など微妙にショートカットしている為、以前よりもヤツの背中に肉薄する。

「チッ!」

 俺がすぐ後ろに迫っていることに舌打ちしたピエロは、例の三叉路を左に曲がる。

 そのすぐ後を、俺も左に飛び込む。

「ッ!」

 そう、ヤツ——ピエロはリアンを背負ったまま、空高く飛んでいた。

 ピエロは、ニヤッと笑いながら、地面の俺に勝ち誇る。

「フハハ、お前如きではオレは止められんよ」

 その冷たい声が響く。

 が、その笑みに違和感があった。

「あれは!?」

 ピエロの✖️の右眼。その眼は古い傷跡があり白く濁ったままだった。

 ——ヤツの右眼は見えていないのか!?

 そして、塀を超えた、あの空き家にヤツは飛び降りる。

 当然、俺も——

 その塀に向かい、飛び込む!

「馬鹿な!? どうなっている!?」

 塀を超えて引き離した筈の俺が空き家に飛び込んできた、その事実に驚愕の表情を浮かべるピエロ。

 更に、

「アシュ氏、黒マントがそっちに行ったぞなー!」

 前もって、別ルートから飛び込んでいたバルが中にいた黒マント達と対峙していた。

⭐︎⭐︎⭐︎
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