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05章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈転〉
05章-17
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***05-17-09
「……レイチェル氏はそれで良いかもしれんけどなぁー、うーん……」
確かに。俄かには信じ難いだろうな。
「アシュ氏がそんなことを適当に言うヤツじゃないってことはわかっとるし、こんな場面でそんなオカルトに望みをかける男でも無いってことはわかっとるんだけどもなー、これはやっぱなー……」
まぁ、そりゃ悩むわな。悩むだけマシで即、否定されないだけ、バルは俺のことをかってくれてるのだろう。
だからこそ、だ。
「傍証にしかならんが、俺は『刻戻り』でお前の家に行っている。バルよ、お前、いつも屋根裏部屋みたいな所で寝てるだろう。色んな服を床に脱ぎっぱで」
「んなッ! うー、そゆの、当てずっぽでもいけるやもしれんのだなー」
ギョッとした表情でバルは言い返す。
「他にもあるぞ。1階はこの地下室みたいに倉庫っぽくて、だだっ広くて壁も扉も何もなく、そして、ここにいる皆がそこで雑魚寝して過ごしてるんだろう。リアンもだ」
その瞬間。
周りがザワめいた。
『なんで?』
『うそ!? アジトを知られてる?』
『そんな、もしかしてスパイ?』
疑惑と不信の目が一気に俺に集中する。
「……今までアジトが誰かに知られたことはないのだなー」
ゆっくりと、そして長く吐息をついてからバルは言った。
「わかった。その話、俄かには受け入れられんのだけども、その前提で協力するのだなー」
「……助かる」
伸ばされるバルの右手。
少し傷が痛むが俺はその差し出された手を右手で握り返す。
——懐中時計の時刻は15:30を示していた。
⭐︎⭐︎⭐︎
「……レイチェル氏はそれで良いかもしれんけどなぁー、うーん……」
確かに。俄かには信じ難いだろうな。
「アシュ氏がそんなことを適当に言うヤツじゃないってことはわかっとるし、こんな場面でそんなオカルトに望みをかける男でも無いってことはわかっとるんだけどもなー、これはやっぱなー……」
まぁ、そりゃ悩むわな。悩むだけマシで即、否定されないだけ、バルは俺のことをかってくれてるのだろう。
だからこそ、だ。
「傍証にしかならんが、俺は『刻戻り』でお前の家に行っている。バルよ、お前、いつも屋根裏部屋みたいな所で寝てるだろう。色んな服を床に脱ぎっぱで」
「んなッ! うー、そゆの、当てずっぽでもいけるやもしれんのだなー」
ギョッとした表情でバルは言い返す。
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その瞬間。
周りがザワめいた。
『なんで?』
『うそ!? アジトを知られてる?』
『そんな、もしかしてスパイ?』
疑惑と不信の目が一気に俺に集中する。
「……今までアジトが誰かに知られたことはないのだなー」
ゆっくりと、そして長く吐息をついてからバルは言った。
「わかった。その話、俄かには受け入れられんのだけども、その前提で協力するのだなー」
「……助かる」
伸ばされるバルの右手。
少し傷が痛むが俺はその差し出された手を右手で握り返す。
——懐中時計の時刻は15:30を示していた。
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