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05章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈転〉
05章-15
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***05-15-09
「そう、僕はその貧民窟の出なんでなー。色々あったさー。……だから、僕は僕の大事な仲間には、家族にはそんな思いはさせたくない。……皆、親のいない孤児なんよ。あそこではそれが当たり前」
バルが遠い目で語る。それは、本来、想像以上の苦難だったのだろう。俺たちではその苦しみは図りようもない。
「だからこそ、僕たちは『バルスタア団』という家族なんよー。……その家族に手を出したヤツを僕は許さない。絶対に、だ」
それは、バルの覚悟、だった。
「……これだけこっちが手の内を明かしたんぞなー。お次はアシュ氏が明かす番だろー」
「ああ、そうだな……」
と、言ってもどこまで信じてもらえるか。
隣でレイチェルも、息を詰めてこちらの様子をうかがってるのが分かる。
そりゃ、今まで何も言ってなかったからな。気にはなるわな。
——俺も、自分の全てを明かすしかない。
俺は全てを話した。今までの全て、ミリーの家への『刻戻り』から、バルの家での『刻戻り』、そして今からしようとしてることも。
⭐︎⭐︎⭐︎
「そう、僕はその貧民窟の出なんでなー。色々あったさー。……だから、僕は僕の大事な仲間には、家族にはそんな思いはさせたくない。……皆、親のいない孤児なんよ。あそこではそれが当たり前」
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