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05章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈転〉
05章-12
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***05-12-09
「証拠品とはなんだ。なんの証拠だと言うのだ?」
「だから、質問に質問で返すのは止めてってー。……あれ? 誤魔化してるのでないんー?」
「だから、なんの証拠品だと言っているんだ!?」
「そんなの、憲兵隊が真っ黒な証拠に決まってるんじゃんかよー。アシュ氏もレイチェル氏も憲兵隊が上層部に操られてるの、知ったんでしょー? ……だったら……リアンをこんな風にした奴等を許してはおかんでしょ!? アシュ氏なら」
……待て? これは何か誤解がある。
「いや、待て、バル。俺はリアンを救うのを諦めてない。俺の最優先事項はリアン救出だ」
「アシュ氏こそ、何を言っとるんー? ……コイツらはカルタ帝国の手先のモンだよー。もう蒸気船は港を出てるしー。……アレに追いつけるものは、無い」
沈痛な面持ち。
やはりバルは知っていたのだ。あの蒸気船にリアンが運び込まれたであろうことを。
だとすると——
「……もう、リアンを救い出す手が無いと考えたバル、お前は憲兵隊、そしてこの町の上層部、その暗部にいる奴等に復讐する気なんだな」
「そら、そーだろー。……リアンは僕の本当の妹じゃない。だが、ここに居る皆と同じ境遇の大事な仲間、いや、家族なんだ! それを……奴等は……!」
バルは、いや他の少年少女達も、激しく怒っていた。言葉には出さずとも。
が——
「アシュ氏なら、僕と同じくその結論で奴等を叩く為のモノを是が非でも手に入れよーとすると思ったんだがなー。では何しに本部に行ったんー?」
「——リアンを救い出す為だ」
⭐︎⭐︎⭐︎
「証拠品とはなんだ。なんの証拠だと言うのだ?」
「だから、質問に質問で返すのは止めてってー。……あれ? 誤魔化してるのでないんー?」
「だから、なんの証拠品だと言っているんだ!?」
「そんなの、憲兵隊が真っ黒な証拠に決まってるんじゃんかよー。アシュ氏もレイチェル氏も憲兵隊が上層部に操られてるの、知ったんでしょー? ……だったら……リアンをこんな風にした奴等を許してはおかんでしょ!? アシュ氏なら」
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「いや、待て、バル。俺はリアンを救うのを諦めてない。俺の最優先事項はリアン救出だ」
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沈痛な面持ち。
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「そら、そーだろー。……リアンは僕の本当の妹じゃない。だが、ここに居る皆と同じ境遇の大事な仲間、いや、家族なんだ! それを……奴等は……!」
バルは、いや他の少年少女達も、激しく怒っていた。言葉には出さずとも。
が——
「アシュ氏なら、僕と同じくその結論で奴等を叩く為のモノを是が非でも手に入れよーとすると思ったんだがなー。では何しに本部に行ったんー?」
「——リアンを救い出す為だ」
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