『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

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05章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈転〉

05章-10

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***05-10-09

 そう言ってバルが連れてきたのはこの前の路地にほど近い、やはり通りから少し外れた、空き家が立ち並ぶ一角だった。

 その中の一軒の空き家に入り、

「ほら、ここだよー」

 ボロボロの大きな本棚、それを横にずらすと現れたのは地下に続く階段だった。

「お前、これは!?」
「僕が先に行くから着いてきて欲しいぞなー」

 ランタン片手にその巨体を揺らしつつ降りていった。

 レイチェルと一瞬、どうするか見合ったが、ついていくしか無かった。



 階段の先、地下室に足を踏み入れた瞬間、重苦しい空気と共に、湿った石の匂いが鼻をついた。壁に掲げられたランタンの光が、暗い影を浮かび上がらせる。

 そこに佇む少年——中には少女も——たちの目が鋭くこちらを見つめていた。

「これって、一体……何なの?」

 傍のレイチェルが当然の疑問を口にする。

 だが、バルはそれに答えず、

「ほら、コイツらだよー」

 彼らが取り巻いている、その中心にいる3人の男たち。

「黒マントだと!?」
「皆、同じ格好してるみたいだねー」

 いや、そういう話ではないだろ!?

「ボス、コイツらがリアンを攫ったヤツの仲間なんだよね?」
「コイツら、もう殺しちゃわない? 全然、リアンの居場所、吐かないし」
「ああ、そんな直ぐに殺すとかは言わないのー。全くー」

 と言いながら、バルはロープでグルグル巻きにされてる黒マントの一人を、

「ふん!」

 蹴飛ばした。

 顔面から血飛沫とそれとアレは歯、だろうか。白いそれを飛ばして再び地面に倒れ込む黒マント。

「ダメだなー。情報は全く出さない。良く訓練されてるんだなー」

 バルは軽くそう言って肩をすくめた。



 これは……一体……いや、今までの話の中で出てきた言葉がある。


「……少年ギャング団」

⭐︎⭐︎⭐︎
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