『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

文字の大きさ
上 下
109 / 146
05章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈転〉

05章-05

しおりを挟む
***05-05-10

 翌日、俺とレイチェルは前日に決めていた通り、憲兵隊本部に来ていた。

 中は慌ただしく、様々な人が駆け足で行き来している。2日目のオフィエル祭の警備ってだけではないのだろう。恐らくは今回の誘拐事件も関係しているのか。

 そんな中、知った顔を見つけ、声をかける。

「ユリウス少尉!」
「ん、……お前か。どうしてこんな所に!?」

 ……『お前』呼ばわりされる仲ではないと思うんだがな。

 ユリウスは隣のレイチェルにも目を向け眉を顰める。

「ちょっとこっちに……」

 俺たち2人は彼に引っ張られ、とある一室に押し込まれる。

 広くは無いがそれなりの机とテーブルにソファ。だが、周囲に無造作に置かれた鞘付きの剣や盾、鎧の一部が誰の部屋かをよく表している。執務室、の筈なんだろうがどうも汗臭さが漂う。

「サファナ判事、気持ちはわかるが今はこちらも時間に余裕が無いんです。また報告は後に」
「いや、話があるのは俺だ。レイチェルにはついてきてもらってるだけだ」
「何?」

 ユリウスは胡乱げに俺を見つめる。

「お前がオレに?」

 ……また『お前』って言うんかい。

 まぁ、そんなことを気にしている場合では無い。

「率直に聞こう。あの後、自分の担当——大通りを見張っていた部下達に確認した筈だな。『路地から大通りを、港へ向かう馬車がいなかったか』と」

 俺は単刀直入に切り込んだ。

「…………」
「更に聞いたはずだな? 『その馬車には酒樽が積まれて無かったか』とも」

 沈黙は答えを雄弁に語っていた。

 大通りは祭りで大勢の人だかりだった。だが、馬車や伝令馬など荷物の往来用にごく一部だけは人が入らない様に交通整理されていたのだ。

 そう、憲兵隊によって。

 ユリウスは、大きくため息をついて頭を振りかぶる。

「……今、自分の第12番憲兵隊を海外派遣させてくれないか交渉中だ。うまく行けば蒸気機関車を使って……」
「いや、許可は降りない」

⭐︎⭐︎⭐︎
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【続編完結】侯爵令嬢は今日もにこやかに断罪する

ミアキス
ファンタジー
侯爵令嬢アディエル・ノクタールは二年前のとある出来事から巷では『断罪令嬢』と呼ばれている。 第一王子からアディエルへの断罪劇を、第一王子への断罪劇へと転換し、完膚なきまでに第一王子を断罪したからである。 その後、彼女の鮮やかな断罪っぷりに感銘を受けた者達に請われ、次々と不埒な者達を断罪していく姿に、『断罪令嬢』という二つ名ーー世間では好意的な意味でーーが広まった。 そして、今日も彼女は相談相手のために、にこやかな笑顔を浮かべて断罪していくーー。 ※本編は完結済。 以降は番外編を登場人物一人を焦点に公開しております。 別公開の【後日談】も良ければお読みください。

転生王子はダラけたい

朝比奈 和
ファンタジー
 大学生の俺、一ノ瀬陽翔(いちのせ はると)が転生したのは、小さな王国グレスハートの末っ子王子、フィル・グレスハートだった。  束縛だらけだった前世、今世では好きなペットをモフモフしながら、ダラけて自由に生きるんだ!  と思ったのだが……召喚獣に精霊に鉱石に魔獣に、この世界のことを知れば知るほどトラブル発生で悪目立ち!  ぐーたら生活したいのに、全然出来ないんだけどっ!  ダラけたいのにダラけられない、フィルの物語は始まったばかり! ※2016年11月。第1巻  2017年 4月。第2巻  2017年 9月。第3巻  2017年12月。第4巻  2018年 3月。第5巻  2018年 8月。第6巻  2018年12月。第7巻  2019年 5月。第8巻  2019年10月。第9巻  2020年 6月。第10巻  2020年12月。第11巻 出版しました。  PNもエリン改め、朝比奈 和(あさひな なごむ)となります。  投稿継続中です。よろしくお願いします!

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“  瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  だが、死亡する原因には不可解な点が…  数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、 神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

真実の愛に婚約破棄を叫ぶ王太子より更に凄い事を言い出した真実の愛の相手

ラララキヲ
ファンタジー
 卒業式が終わると突然王太子が婚約破棄を叫んだ。  反論する婚約者の侯爵令嬢。  そんな侯爵令嬢から王太子を守ろうと、自分が悪いと言い出す王太子の真実の愛のお相手の男爵令嬢は、さらにとんでもない事を口にする。 そこへ……… ◇テンプレ婚約破棄モノ。 ◇ふんわり世界観。 ◇なろうにも上げてます。

なぜか水に好かれてしまいました

にいるず
恋愛
 滝村敦子28歳。OLしてます。  今空を飛んでいたところをお隣さんに見られてしまいました。  お隣さんはうちの会社が入っているビルでも有名なイケメンさんです。  でもかなりやばいです。今インターホンが鳴っています。  きっと彼に違いありません。どうしましょう。  会社の帰りに気まぐれに買ったネイルをつけたら、空を飛べるようになって平凡じゃなくなったOLさんのお話。   

【完結】どうやら魔森に捨てられていた忌子は聖女だったようです

山葵
ファンタジー
昔、双子は不吉と言われ後に産まれた者は捨てられたり、殺されたり、こっそりと里子に出されていた。 今は、その考えも消えつつある。 けれど貴族の中には昔の迷信に捕らわれ、未だに双子は家系を滅ぼす忌子と信じる者もいる。 今年、ダーウィン侯爵家に双子が産まれた。 ダーウィン侯爵家は迷信を信じ、後から産まれたばかりの子を馭者に指示し魔森へと捨てた。

貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。

譚音アルン
ファンタジー
ブラック企業に勤めてたのがいつの間にか死んでたっぽい。気がつくと異世界の伯爵令嬢(第五子で三女)に転生していた。前世働き過ぎだったから今世はニートになろう、そう決めた私ことマリアージュ・キャンディの奮闘記。 ※この小説はフィクションです。実在の国や人物、団体などとは関係ありません。 ※2020-01-16より執筆開始。

処理中です...