『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

文字の大きさ
上 下
103 / 146
04章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈承〉

04章-17

しおりを挟む
***04-17-06

「今、入った報告によると大商人アルサルトの持つ蒸気船がつい先ほど、港を出航したらしいの」

 蒸気船。まだ世界でも僅かしか無い、蒸気機関を推力に利用した船か。

 ミリーが見に行きたい、と言っていたヤツだ。

 そう言えば、ここに来る前に何やら汽笛のようなものを聞いた気がする。あれは出港前の合図のやつか?

 だが、それがどうしたと言うのだ。その船が出航することになんの意味がある?

「問題は、その船の持ち主なのよ。アルサルト・リーベラ。大国、カルタ帝国お抱えの大商人。問題は、彼はこのクロノクル市で奴隷売買という違法行為を行った可能性があるのよ」

 奴隷?

 なんだ、それは?

 言葉としては知っている。だが、今までの俺たちの日常に無い言葉。

「このクロノクル市では当然、奴隷は違法よ。でもまだ、この世界では奴隷が合法の国もある。……そして彼はその違法な奴隷売買をこのクロノクル市で行った嫌疑が掛けられて今、勾留中なの」

 勾留中?

 しかし、それでは……

「そうだ。持ち主が勾留中にも関わらず、船は出航した」

 ユリウスはその事実を俺に明かした。

 頭の中で今まで全くバラバラのキーワードがそれぞれ、今、意味を持って繋がろうとしつつある。

 だが、これは、繋がった先にあるのは……

⭐︎⭐︎⭐︎
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

望んでいないのに転生してしまいました。

ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。 折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。 ・・と、思っていたんだけど。 そう上手くはいかないもんだね。

回復力が低いからと追放された回復術師、規格外の回復能力を持っていた。

名無し
ファンタジー
回復術師ピッケルは、20歳の誕生日、パーティーリーダーの部屋に呼び出されると追放を言い渡された。みぐるみを剥がされ、泣く泣く部屋をあとにするピッケル。しかし、この時点では仲間はもちろん本人さえも知らなかった。ピッケルの回復術師としての能力は、想像を遥かに超えるものだと。

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

贄の令嬢はループする

みん
恋愛
エヴェリーナ=ハウンゼントには、第二王子の婚約者が居たが、その第二王子と隣国の第一王女が恋仲になり、婚約破棄されてしまう。その上、黒色の竜の贄にされてしまい、命尽きた──と思ったら、第二王子と婚約を結ぶ前の時に戻っていた。 『正しい路に────』と言う言葉と共に、贄とならないように人生をやり直そうとするが───。 「そろそろ……キレて良いかなぁ?」 ループする人生に、プチッとキレたエヴェリーナは、ループから抜け出せるのか? ❋相変わらずのゆるふわ設定なので、軽い気持ちで読んでいただけると幸いです。 ❋独自の設定があります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。 ❋他視点のお話もあります。 ❋更新時間は決めていませんが、基本は1日1話更新です。 ❋なろう様にも投稿しています。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

【完結】契約結婚は円満に終了しました ~勘違い令嬢はお花屋さんを始めたい~

九條葉月
ファンタジー
【ファンタジー1位獲得!】 【HOTランキング1位獲得!】 とある公爵との契約結婚を無事に終えたシャーロットは、夢だったお花屋さんを始めるための準備に取りかかる。 花を包むビニールがなければ似たような素材を求めてダンジョンに潜り、吸水スポンジ代わりにスライムを捕まえたり……。そうして準備を進めているのに、なぜか店の実態はお花屋さんからかけ離れていって――?

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

処理中です...