『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

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04章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈承〉

04章-14

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***04-14-06


「では、自分が仮に許可を出せば、サファナ判事達が屋内を捜査しても良い、と認める訳なのだな」

 その声は俺たちの背後からした。

 誰だ!?

 振り向いた俺の視界に入ったのは、

「ユークリッド少尉!?」
「申し訳ありません、サファナ判事。このようなつまらない嫌がらせをするとは。後で注意しておきますゆえ」

 怒りの火を目に灯したユリウスだった。

 途端、髭面は気不味そうに、頭をかきながら、

「これはこれは分隊長殿。いやぁ、ちょっと現場のものだけでは判断がつかなくってですな。わざわざこんな所まで御足労です」
「……新たな証拠が出た、と報告を受けてな。現場確認で来てみたら」

 視線を向けられ、ビクッとする髭面。

「……まぁ、少尉が来てくれて私たちも助かったんだし。この人も、そんな悪気はなかったのかもしれないわ。そうよね?」
「あ? あぁ、そうなんですよ、分隊長。我々もどうしたら、と悩んでいた所に分隊長に来て頂いて本当に助かったというか、なんというか……」

 あまりの視線の冷たさにレイチェルが庇う始末とは……なんとも。

「……もう良い」

 あっちに行け、とばかりにユリウスが手を振ると、これ幸いとばかりに髭面はスタコラサッサとその場を離れるのだった。

 俺たちだけになった瞬間、ユリウスはやり取りに何も関与せず無言を決め込んでいた俺をジィーっと見てきた。

 ……なんだってんだよ、本当に。

「……我々が見つけられなかった証拠品を発見し、あまつさえ犯人の脱出方法まで見つけ出した、ということか」

 何故か俺に肩を貸してるレイチェルが、隣でフフーンと得意げに鼻を鳴らす。

「ほら! 私が言った通りなんだから」

 何が言った通りなんだよ、本当に。

 ただ、そんなことより、

「じゃあ、ここらの空き家の捜索をしても良いんだな?」
「……ああ。男に二言は無い」

 そう少尉は俺たちに確約するのだった。

⭐︎⭐︎⭐︎
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