『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

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04章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈承〉

04章-08

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***04-08-07

 四つ辻の十字路。

 辺りで警戒体制を取っている憲兵達が『何をしてるんだ?』と好奇の目を向けているのを自覚しながら付近を確認する。

 そう。
 この場で、逃げようとしたリアンは不意に空中へと高く飛ばされヤツ=ピエロに捕まることとなったのだ。


 あの空中浮遊はどうなってる……。


 原理は一体……まさか魔法なんて御伽話じゃあるまい。何か仕掛けがあるはずなんだ。

 だめだ。頭の中でいくつか想定しようとするも何も浮かばない。あの現象がどうなってるのかさっぱりわからない。

 でも、あれがわからないとヤツ自身の正体にも辿りつかない……気がする。

 あれはショーの時も同じだった。一体……

 ふと、脳裏にあの時の様子が浮かぶ……そう言えば……

「レイチェル、そう言えばあのピエロの手品の種、全部わかってそうだったな?」
「え? まぁ~手品に関しては色々と本で読んでたからねぇ……ふふっ」

 微妙に勝ち誇った感じなのは取り敢えず傍に置いておく。

「例の空中浮遊。原理はわかるか?」
「うーん、推測で良いのなら、になるけど……」

 レイチェルが言うには細い、そう目にほとんど見えにくいほどの極細のワイヤーによるものではないか、と。ワイヤーアクションと言うらしい。

 ただ、一本ではリアンの自重を支えられず切れてしまうので、何本も用意して、と。

「でも、何本も束ねてしまうと今度は逆にそれが濃くなって見えてしまうと思うわ。なので色んな方向から互いに重ならないようにしてると思うの」
「なるほど」

 パッと見には分からないほど、細いワイヤーを四方八方に張り巡らせて、か。

 そうなると、

「では、走りながらや何かの時に咄嗟に空中浮遊をしたりは」
「出来ないはず。あらかじめ、キチンと下準備しておいた所でないと使えないと思うわ」

 なるほど。それならば恐らく……

⭐︎⭐︎⭐︎
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