『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

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04章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈承〉

04章-05

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***04-05-06

「確かに、誘拐犯の内、君たちが気絶させた2人はこちらで確保している……しかし、君は憲兵隊内部の情報を欲しているのか?」

 殺気を帯びた視線が俺を貫く。だが、悪いがこの程度で押し止まる余裕は俺には無い。

「……ユークリッド少尉、彼は有能よ。私が保証する」
「申し訳ありませんが、サファナ判事が常に噂する彼だとしても、何も実証されるものが無い以上、自分としては機密情報の共有化など許可出来ません」

 いや、別に機密情報を共有しろとは言っとらんだろ、コイツ……

 ユリウスと視線がぶつかり合う。

「クロノクル市法・憲兵組織法第23条その2、民間人への内部情報の寄与は個別案件における申請書による許可、もしくは憲兵分隊長以上の許可及び判事長以上の許可をもって……」

「わかったわよ、少尉。……私が、悪かったわ」

「いえ、サファナ判事の提案には申し訳無いのですが……」

 あのレイチェルが折れた。折れざるを得なかった。

 …………。

 皆が押し黙る中、ミリーの啜り泣く声だけが響くのだった。

⭐︎⭐︎⭐︎
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