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04章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈承〉
04章-03
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***04-03-06
「……それはどういう意味かな? 我らが憲兵隊が、総力をあげて捜索しているのだ。……その力を信じられない、と?」
「……そだなー、信じられないなー。事件が起こらないように見張っていたはずなのに、その警戒網の穴を破られた憲兵隊にはねー」
「な!?」
瞬間、バルとユリウスの間で見えない火花が散る。
「だから、僕は憲兵隊を信じられない」
その中で、バルは断言した。
ユリウスは、いやレイチェルも無言だった。
重苦しい空気だけが場を支配した。
「じゃぁ、アシュ氏の無事も確認したし、僕は行くぞな」
踵を返し、部屋から出ようとするバルに、
「だが、君も、『彼女から目を離してしまった』んだよ」
ユリウスの余計な一言が刺激した。
「!?」
「ダメよ! ……ユークリッド少尉、謝罪しなさい。その言葉は余計よ」
一瞬、バルの殺気が爆発しかけた瞬間、レイチェルの言葉が抑えた。
「……そうだな、今のは自分の不徳だ。済まない。心から謝罪しよう」
「……いいさ。事実はその通りなんだからさー」
バルは自嘲的に笑って、そして部屋=救護室から出て行った。
⭐︎⭐︎⭐︎
「……それはどういう意味かな? 我らが憲兵隊が、総力をあげて捜索しているのだ。……その力を信じられない、と?」
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「な!?」
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