『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

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間奏 00章『先んじるビタースウィートな初恋』

00章-05

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***00-05-07

 港町クロノクル市を郊外から、更に南東に向かって、ヘルベの森沿いの街道をぐるっと回った先に、エルム草原がある。

 ちょっと小高い丘があって、そこから一面に広がる草原はピクニックにちょうど良くって、休日にはよく遊びに行く人達もいて、私もパパとママとよくランチしたりしていた。

 なのでよく知ってるし、そんなに危険なとこじゃない。

 ただ、あそこにいるカラスが時々、私の大事なビー玉とかキラキラ光る物を、お空から奪いに来るのはイヤだったけど。それ以外は大丈夫。



 夏のお日様が、白く道を照らしつける。

 でも、街道沿いには緑も生い茂っていて、暑いのは暑いのだけど、耐えられないほどじゃない。

 でも、そこまでではないとしても……

「この暑い中に、マントまで持ってくる必要はないんじゃないの? アシュ兄ちゃん」
「今は、な。こういう時はもしもの為の用意が必要なんだよ」

 ちょっぴり首筋から汗をかいている癖に、アシュ兄ちゃんは何でもない風を装って答えた。

 こんな時、いつもアシュ兄ちゃんは直接、理由を教えてくれない。私はそれが不満だった。



 ——でも、今ならわかる。

 アシュ兄ちゃん……アッシュは、私に心配や申し訳ない思いをさせたくなかったのだ。

⭐︎⭐︎⭐︎
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