『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

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03章『喧騒下のアブダクテッドな天使様』〈起〉

03章-05

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***03-05-11

 そこらの屋台で買った焼鳥を齧りながら、道化・ピエロの大道芸を他の子供達と同じく輪になって、真剣にジッと見入っているミリーの姿を見ると、いくら優秀な奨学生と言っても歳相応11歳の少女なんだな、と思う。

 さて、この大広場でバルのやつとは落ち合う予定なんだが……。

 そして、観客の輪から少し外れた露店で、俺同様どこかで買ったであろうドーナツを片手に、ジーッと商品を見つめているレイチェル。

 見ている露店は、ブレスレットやイヤリングなどが並ぶアクセサリー屋らしかった。

「…………」

 その視線の先を追ってみると、台の上に置かれた紅玉石のネックレスに行き着いた。

 ……まるで金魚鉢の金魚を前に、ずーっと見つめてる猫みたいなんだが……

「それ、欲しいのか?」

 何気なく声を掛けたのだが、

「ひゃぅっ!?」

 レイチェルは、それこそ猫の悲鳴のような叫び声をあげる。

「ちょ、ちょっと脅かさないでよ!」
「いや、普通に声を掛けたんだが……」
「…………嘘つき……」

 少し上気した顔で、半眼で睨んでくるレイチェル。

⭐︎⭐︎⭐︎
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