『刻の輪廻で君を守る』

ぜのん

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02章『続きましてのスリッピィな水汲役』

02章-05

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***02-05-27

「えへへー、あそこのレモネードが流行りって聞いて、買ってみちゃったんだ~」

 そう言って、レイチェルは俺の横の席について、片手に持っていたグラスをテーブルに置く。涼しくなり出した秋口とは言え、まだまだ暑さの残るこの時期には、確かに美味しそう。

 昔から、流行りのお菓子には目がないのだ、この妹分は。

 俺も自分のハムサンドにかぶりつく。

 そうやって俺達がランチを取っていると、何やら向こうの方で人々が騒いでいる。

 はて?



『この方、ジーグムント・ガイウス市長! 我々のクロノクル市が豊かな発展を続けられるのも、100人評議会議会長かつクロノクル市長でもあるジーグムント氏のおかげなのです! 皆さん、忘れてはいけません!』

 何やら黒づくめの服装の団体が、ある1人の厳つそうな男を中心に揃い立っている。そして広場にてランチを取る人々に向けて、大声を張り上げている。

「あー再来月に選挙があるから演説をやってるんだなー。でもうるさ過ぎて折角のランチタイムが台無しなのなー」

 バルにしては珍しく棘のある声音で呟く。

「私はまだ選挙権はないしね……」

「男は18歳からだけど……俺は行ったことないぞ」

「ええー!? アッシュ、選挙は町の未来を決める大事なことなのよ! 貴族制を終わらせた私たちが、自分たちの意思を示す場なの。それ、ちゃーんと分かってる?」

「わかってるけど……どうせ、結果は同じなんだろ?」

「それでも意思を示すことに意味があるの! ……ほーんと、アッシュは私がついてないとダメよねぇ……」

 選挙に行かなかったことを、レイチェルは目を三角にして怒り出す。うーん、怒らせると怖いんだよ、この幼馴染みは。


⭐︎⭐︎⭐︎
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