キケンなバディ!

daidai

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付録・短編

第17話 後編

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44 けがれた黄金
第三章 港町での決斗



 コンテナの積載作業をじっと見ている人物がいた。それはウォルターであった。

「これだな」
「はい」
 ウォルターは部下に確認を取り、一つの特殊コンテナに注目した。その中身は…

「長旅ご苦労だったな、早速働いてもらうぞ」
「……フゥ…」
 特殊コンテナには生息していた。ウォルターの野望は果てしなく、彼の魔の手が神戸に伸びていく。

 やがて、陽が落ちていって空は暗くなると、行動が活発になる者がいる。今や、<キャッスル・アイランド>は神戸の不夜城と評されるほどで、シンボルと化していた。時間が経つにつれて来客数が増える中、V.I.Pルームの大部屋は息が詰まりそうな空間になっていた。

純道会じゅんどうかい>組長がウォルターの招待を受けて、構成員たちと共に<キャッスル・アイランド>を訪ねて来たのだが…

「ようこそ、歓迎の印に好きな酒、良い女を用意しよう」
「お構いなく…用件を早く言ってほしい」
 穏やかに話すウォルターに対して、<純道会>組長と構成員は表情が硬く、緊張・警戒していることが窺えた。

「ふ…冷房エアコンが効いているのに凄い汗だな、リラックスしろ」
「〝共同経営〟といっていたが、どういうことか説明しろ」
「ああ、君たちと組織と協定を結びたい、一緒に仕事がしたいのさ」
「最初に会った時と違うな、傘下に下れとか言ってなかったか?」
「それは言い間違いだ、穏便に済ませるつもりなんだが…」
「お前たちのせいで神戸は変わった、邪魔者を排除する魂胆は見え見えだ」
「意見が衝突すれば仕方がないことだ、日本のヤクザは威圧感があり、暴力的だが…君たちは利口のようだな」
「だから何だ?」
「私は〝ハラキリ〟〝サカヅキ〟〝ユビヅメ〟など独特な風習しきたりが理解できない、時代錯誤のシステムを変えたいんだよ、我々と組めば、裏社会の頂点に立てるぞ」
「馬鹿馬鹿しくて聞いてられないな、神戸ここを乗っ取ったら、日本の天下統一か?」
「そうだな、表社会を牛耳るには、裏社会を制する必要があるんでね」
<純道会>組長はウォルターの本心を聞きだすために、率直なあぶない質問をぶつけていった。

「はっきり言って…お前一人でこの忌々しい城を築いたとは思えない、後援パトロンでもいるのか?」
「………」
 その時、ウォルターは<純道会>組長の攻めた質問に返答しなかった。

軽快とくいな話術はどうした?黙秘《ノーコメント》か」
「よく喋る若造だ、あまり調子に乗るなよ」
「僕はまだまだ青いが、大勢の構成員なかまを抱えて生きている、得体の知れない組織の言いなりは御免だ」
<純道会>側とウォルター側の睨み合いは続き、火花散る争いは避けられそうになかった。その一方で…

 盛り上がる<キャッスル・アイランド>に接近する者が一人いた。その者は夏場というのに厚手の古びたコートを身にまとい、怪しげな雰囲気を醸し出していた。

「おい、そこのお前…」
 当然のことながら、〝コート男〟は<キャッスル・アイランド>の門番に呼び止められた。が…

チャ…
 その時、門番はコート男の異変に気づいた。

「風穴開けられたくなかったら、言う通りにしろ」
 門番はコート男の要求に対して、逆らうことなく静かに頷いた。

 コート男は達洋であった。彼は門番に愛銃の44マグナムを突きつけて、<キャッスル・アイランド>に足を踏み入れようとした。 そして…

「了解…こちらも侵入するわ」
<キャッスル・アイランド>裏口には迷彩服を着た彩友が待機しており、達洋の合図で標的の要塞の内部侵攻を試みた。
 ついに達洋の反撃が始まり、血が躍る祭りが開催されるのであった。
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