キケンなバディ!

daidai

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付録・短編

第13話 後編

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44 けがれた黄金
第三章 港町での決斗



「一体どうしたのよ!?」
 夏女は傷だらけの相棒を目にして、たまらず大声を張った。
「…ちょっと、そこの道でつまずいたんだ」
「今回の依頼でやられたの?」
「いやいや、違うよ」
 達洋の嘘は一瞬で見破られて、夏女はすぐ救急箱を持ってきた。

「…応急処置はこんなものね、ちゃんと玲子に診てもらってよ」
「すまんな、収穫はあったんだが…」
の依頼は解決しそう?」
「どうかな…かなり時間が掛かりそうだな」
「あっそう…」
 夏女は強気でない達洋の姿を見て、独り違和感を覚えていた。そして…

 達洋は自分の部屋に戻ると、専用机の引き出しを引いた。そこにはウォルターが言っていた黒革の手帳が収納されていた。
「………」
 達洋は物思いにふけて、一度手帳を取り出した後、また元の位置に戻して、寝床ベッドに深く沈んだ。
 
 次の日。
 達洋は怪我の治療を受けるために、玲子の診療所を訪ねた。

「いい歳して、派手に喧嘩でもしたの?」
「まあ、そんなところだ…今日、店はやってるのか?」
喫茶店カフェは午後から開けるけど…」
「また、として使わせてもらうよ」
 達洋は玲子の店で、誰かと待ち合わせをするつもりのようだが…

カラン~
 しばらくして、玲子の店の扉鈴が鳴り、達洋が呼んだ人物が来店してきた。
「…急に呼ぶなよ、俺はお前と違って忙しいんだ」
 不機嫌な顔で現れたのは、達洋の親友の史也だった。
「まあ座れよ、コーヒーおごってやるから…」
 二人はカウンター席に座って、会話を交わすわけだが…

「その不細工なツラはどうした?」
 史也は怪我をしている達洋のことが気になっていた。
にあってね…最近の若い奴は礼儀を知らんな」
「前にも言ったが、俺たちは若くない…考えて生きろ」
「説教は次の機会だ…話したいことがあってな…」
 達洋は緊張感が漂う鋭い目つきで、史也をじっと見た。

「…らしくないな、何か問題が?」
「ああ、お前にがある」
 達洋は神妙な面持ちで、史也に黒革の手帳を差し出した。
「この手帳は何だ?」
「中身を確認すれば分かる…」
「これは…」
 史也は手帳のページを捲ると、表情が一変した。

「お前だから見せた、かなりの代物おたからだろ?」
「何処で手に入れた?」
「うちの依頼人に譲ってもらった」
「依頼人は何者なんだ?」
「ヤクザの金庫番さ、もうこの世にいない」
「また厄介なことに手を出しているのか?」
「気づけば巻き込まれていた、外国の犯罪組織のことが知りたい」
「何故、そのことを…まさか、あの鹿か!」
 その時、史也の頭の中に斗真の顔が浮かんだ。

が神戸の街を荒らし回っているそうじゃないか」
「あのお喋りめ…警察しょくばの情報をべらべらと…」
「この手帳と繋がりがあるみたいだ、情報料は弾む、教えてくれ」
 史也は一度、頼んだコーヒーを口に含んで気持ちを落ち着かせた。彼は重い口を開くが…

「外国組織は一年前に風格を表して、神戸、関西圏の裏社会に悪い影響を与えたんだ、軍隊みたいな相手にヤクザが敵うわけがない」
馴染みともだちが助けを求めに来たよ…親玉は<キャッスル・アイランド>にいる」
「あの繁華街の娯楽施設か、確かな情報か?」
「ああ、ウォルターという男だ、昨夜会ってきた」
「何故、俺に話す?」
「お前しか話せる相手がいないからさ」
「そういえば…」
 その時、史也は何かを思い出したようで…

「どうした?」
「外国組織はマル暴(組織犯罪対策部)が捜査しているが、標的の動きが活発になっても積極的に動いてないようだ」
「何か事情が?」
「さあな、親しい担当刑事に訊いても教えてくれない、口止めされているみたいだ」
「組織的圧力なら面倒だな、県警とか…」
「やばい案件なのは間違いない、これからどうするつもりだ」
「奴と取引した、この手帳を渡せば、組織の正体が暴けるんだ」
「気は確かか?そんな手帳捨てちまえ!」
 達洋は史也の説得に応じる気はなかった。

「取引は断れない、手帳を持ってなくても…俺は殺されるだろう」
 史也と玲子は達洋の衝撃的発言に対して、驚きのあまり絶句した。
「夏女には話したの?」
「いや…手帳のことも…取引のことも話していない」
 達洋の返答で店内は一時、沈黙の時間に包まれた。
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