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付録・短編
第9話 前編
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44 けがれた黄金
第二章 追われる男と匿う女
5
夜が更けていき、岬街は静まり返っているが、達洋の事務所だけは違っていた。その夜、真夏の鬱陶しい暑さが吹き飛ぶほどの恐怖が降りかかろうとしていた。
「………」
暗闇に包まれた達洋の事務所に、独り忍んでいる者がいた。謎の侵入者は住居室がある二階へと向かって行くが…
住居室は合計四室あり、そのうち、二室は達洋と夏女が使用している。謎の侵入者は、洸と水葉がいる住居室を捜し当てて無断で入室しようとした。その目的は…
…プス…ププス…!
謎の侵入者は、室内のベッドで寝ている人影に向けて、手を差し出して何かを射出した。それは布団を貫通して人影に突き刺さったが…
「…!」
その時、謎の侵入者はあることに気づいた。布団を捲ると奴は唖然としていた。
ベッドで寝ているのは、人影を模した布人形だった。
「…どちらさんだ?」
謎の侵入者が驚く中、部屋の灯りが点いた。奴の背後には、どや顔の達洋の姿があった。彼はずっと待ち伏せていた。
「…オレのエモノを何処に隠した?」
謎の侵入者は痩せ型の大柄、ぎょろっとした爬虫類のような眼と大きな口が不気味さを表していた。
「エモノっていうのは俺より若い男のことか?」
「ああ…それに連れの女も殺す…ドコにいるんだ?」
「俺が教えると思うか?…お前か、うちの屋根にいた鼠は…」
「死にたくなければオシエろ」
達洋は謎の侵入者の言うことに従わず、少しも動じていなかった。
「俺は依頼人のボディーガードだ…きっちり仕事させてもらうぞ」
達洋はそう言い捨てて、謎の侵入者の撃退に尽力しようとした。すると…
「くくく…」
謎の侵入者は不気味な笑みをこぼして、達洋を始末しようとした。
その一方で…
「…ここにいれば安心よ」
「すみません、僕たちのために…」
洸と水葉は、夏女の部屋に隠れていた。
「気にしないで…私たちが戻るまで絶対出ないでね」
夏女はそう言い残して、相棒の援護に向かおうとした。洸と水葉は、とんでもない世界に迷い込んだと実感した。そして…
…ドン…ドゴゥ…ド…
達洋の事務所で44マグナム、リボルバー銃の銃声が鳴り響く。所長は容赦なく、標的に引き金を引くが…
「ちょこまかと…」
謎の侵入者は大柄の割にすばしっこく、達洋は独り渋い表情を浮かべた。さらに…
…シュパ…シュパパ…
謎の侵入者は妙な攻撃をして達洋を苦しめていた。事務所内の床や壁、家具などは切り刻まれていき、窓ガラスが割れたりと、奴の破壊活動は激化していった。
「ちっ、人の家をめちゃくちゃにしやがって…」
達洋は厄介者を庭の方に誘い出そうとした。彼らの激闘は始まったばかりだ。
達洋は弾を装填しながら考え事をしていた。敵は思ったより手強かった。無暗に近づけず苦戦が強いられていたが…
まず、敵の戦法、武器のことを分析しなければいけない。謎の侵入者は自身の掌から何かを放っている。その正体を突き止めなければならない。
「くくく…キレイに切り刻んでヤルぜ…!」
謎の侵入者は隠れている達洋を捜している最中、あることに気づいた。奴の前には、夏女の姿があった。達洋にとって、二人の鉢合わせは誤算だった。
「…奴は危険だ!妙な武器を…」
夏女は相棒の警告を聞くが、既に遅かった。
「仲間か…お前からリョウリしてやる!」
謎の侵入者は、夏女に攻撃を仕掛けるが…
「…?」
夏女に異常はなかった。どうやら、謎の侵入者の攻撃を避けたようだった。ここで事態は変わろうとする。
「お前、見えるのか?」
「え?何が?」
夏女は達洋の質問の意味を理解していないようだった。
「どうせ、マグレだ、今度こそ…」
謎の侵入者は、突然のことで冷静さを欠いた。気持ちを切り替えて再び攻撃を仕掛けるが…
第二章 追われる男と匿う女
5
夜が更けていき、岬街は静まり返っているが、達洋の事務所だけは違っていた。その夜、真夏の鬱陶しい暑さが吹き飛ぶほどの恐怖が降りかかろうとしていた。
「………」
暗闇に包まれた達洋の事務所に、独り忍んでいる者がいた。謎の侵入者は住居室がある二階へと向かって行くが…
住居室は合計四室あり、そのうち、二室は達洋と夏女が使用している。謎の侵入者は、洸と水葉がいる住居室を捜し当てて無断で入室しようとした。その目的は…
…プス…ププス…!
謎の侵入者は、室内のベッドで寝ている人影に向けて、手を差し出して何かを射出した。それは布団を貫通して人影に突き刺さったが…
「…!」
その時、謎の侵入者はあることに気づいた。布団を捲ると奴は唖然としていた。
ベッドで寝ているのは、人影を模した布人形だった。
「…どちらさんだ?」
謎の侵入者が驚く中、部屋の灯りが点いた。奴の背後には、どや顔の達洋の姿があった。彼はずっと待ち伏せていた。
「…オレのエモノを何処に隠した?」
謎の侵入者は痩せ型の大柄、ぎょろっとした爬虫類のような眼と大きな口が不気味さを表していた。
「エモノっていうのは俺より若い男のことか?」
「ああ…それに連れの女も殺す…ドコにいるんだ?」
「俺が教えると思うか?…お前か、うちの屋根にいた鼠は…」
「死にたくなければオシエろ」
達洋は謎の侵入者の言うことに従わず、少しも動じていなかった。
「俺は依頼人のボディーガードだ…きっちり仕事させてもらうぞ」
達洋はそう言い捨てて、謎の侵入者の撃退に尽力しようとした。すると…
「くくく…」
謎の侵入者は不気味な笑みをこぼして、達洋を始末しようとした。
その一方で…
「…ここにいれば安心よ」
「すみません、僕たちのために…」
洸と水葉は、夏女の部屋に隠れていた。
「気にしないで…私たちが戻るまで絶対出ないでね」
夏女はそう言い残して、相棒の援護に向かおうとした。洸と水葉は、とんでもない世界に迷い込んだと実感した。そして…
…ドン…ドゴゥ…ド…
達洋の事務所で44マグナム、リボルバー銃の銃声が鳴り響く。所長は容赦なく、標的に引き金を引くが…
「ちょこまかと…」
謎の侵入者は大柄の割にすばしっこく、達洋は独り渋い表情を浮かべた。さらに…
…シュパ…シュパパ…
謎の侵入者は妙な攻撃をして達洋を苦しめていた。事務所内の床や壁、家具などは切り刻まれていき、窓ガラスが割れたりと、奴の破壊活動は激化していった。
「ちっ、人の家をめちゃくちゃにしやがって…」
達洋は厄介者を庭の方に誘い出そうとした。彼らの激闘は始まったばかりだ。
達洋は弾を装填しながら考え事をしていた。敵は思ったより手強かった。無暗に近づけず苦戦が強いられていたが…
まず、敵の戦法、武器のことを分析しなければいけない。謎の侵入者は自身の掌から何かを放っている。その正体を突き止めなければならない。
「くくく…キレイに切り刻んでヤルぜ…!」
謎の侵入者は隠れている達洋を捜している最中、あることに気づいた。奴の前には、夏女の姿があった。達洋にとって、二人の鉢合わせは誤算だった。
「…奴は危険だ!妙な武器を…」
夏女は相棒の警告を聞くが、既に遅かった。
「仲間か…お前からリョウリしてやる!」
謎の侵入者は、夏女に攻撃を仕掛けるが…
「…?」
夏女に異常はなかった。どうやら、謎の侵入者の攻撃を避けたようだった。ここで事態は変わろうとする。
「お前、見えるのか?」
「え?何が?」
夏女は達洋の質問の意味を理解していないようだった。
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