64 / 148
シーズン1
第31話 後編
しおりを挟む
キケンなバディ! 第一期
第五章 ―1985冬の陣―
6
〈…ジリリリリリリリ♪〉
日が落ちて、空が暗くなろうとした時、愛弥の部屋で電話の呼び鈴が鳴り響いた。電話の相手は分かっており、夏女がすぐさま受話器を取るが…
「…達洋、今何処にいるの?」
〈三宮駅前だ…何か収穫あったか?〉
「ないわよ、ずっと連絡を待っていたのよ」
〈報告が遅くなってすまん、実はお前たちに話したいことが…〉
夏女たちは真部と合流することとなった。
夜の神戸繁華街。労働から解放されて、羽目を外す者たちが目立つ時間帯に突入していた。真部たちは待ち合わせをして、人気焼き肉店で食事をするのであった。
「…遠慮せず食いな、仕事は休みなんだろ?」
「ありがとう…肉なんて久しぶりよ~」「………」
愛弥が嬉しそうに肉を頬張る中、夏女は相棒の顔を見て、眉を顰めた。
「…どうした?美味い肉、焦げちまうぞ」
「まだ、ちゃんと報告を聞いてないわ、彼女の友達は?」
夏女が恐い顔で訴えかけると、真部は一旦箸を置いた。
「心配するな、失踪者の身の安全は保障する」
「…それって見つかったってこと?」
「まあな、まだ会うことはできないけど…例の物、持ってきたか?」
「愛弥ちゃん…」
愛弥が持ってきたのは、弘香と写っている写真だった。真部は写真をじっと見て、軽く笑みを浮かべた。
「友人は無事だ…危ないところだったが…」
「それってどういうこと?」
真部は夏女たちに詳しく現状を話そうとした。その一方で…
場所は変わって、<神戸港警察署>。
夜の時間、捜査課を覗くと刑事や職員が数人残っており、そこに斎藤の姿があった。彼は通信室に閉じ籠って何かを待っていた。
「…課長、203号車からです」
「ご苦労さん、そっちの様子はどうだ?」
〈…また組員と被害者をセットで発見しました、手分けして潜伏場所に向かっているんですが…〉
「そうか、こっちも嬉しい情報が入った、県警の報告によれば、大阪湾で不審船を発見、乗組員を確保したとのことだ」
〈例の密航船ですか?〉
「ああ、はるばるフィリピンからお越しになった…後は海上保安庁に任せてあるから大丈夫だ…ほぼ解決かな?」
〈情報提供者のお陰ですね、礼を言わないと…〉
「あいつに借りを作りたくないが、仕方ないな…」
実は真部が斎藤に<大浜組>の裏ネタを売っていた。斎藤は真部に依頼しようか迷っているところで好都合であった。
真部は<大浜組>組員を黙らせた後、未成年女性失踪事件の手掛かりを掴もうと、事務所内を物色した。
<大浜組>は、人身売買で密かに大儲けしていた。フィリピンの闇組織と関係を築いており、お互い誘拐した未成年女性を娼婦として扱い、高値で取引していた。
今回の被害者は、勧誘担当の勧誘により、契約内容のことを話し合い、適当に仕事を紹介されるわけだが、それからが地獄であった。住居は提供されるが、監視役である組員と同居するのが条件で、もし刃向えば、人身売買の対象者になってしまう。
真部は人身売買対象者のリスト、密航船の着港日が記されたメモ帳を発見して、弘香の生存を知った。彼女を含めた被害者たちは無事に救出されて、事件は解決するのであった。
ちなみに神戸港周辺で発見された溺死体は、売り手(買い手)の暴行を受けて、ゴミのように捨てられ、密航船からの脱出に失敗した者たちだった。
それから数日後、真部たちは愛弥と弘香に会い、彼女たちの現状を耳にするのであった。
まず、愛弥は今の仕事を辞めて、音信不通だった家族の元へ帰った。そして、通信制の高校に通いだして、生活を改めるのであった。
その一方、弘香はネオン街から離れることができず、真部の紹介で高級クラブ<ジャフダン・デ・フラーア>で働くこととなった。梓ママの世話になり、真面目に接客業を教わるようだ。
ちなみに、弘香はバラバラになった家族と暮らすために、少しずつではあるが、更生することを誓った。
こうして、真部たちは迷える若者の人生を救ったのであった。
第五章 1985冬の陣 完
第五章 ―1985冬の陣―
6
〈…ジリリリリリリリ♪〉
日が落ちて、空が暗くなろうとした時、愛弥の部屋で電話の呼び鈴が鳴り響いた。電話の相手は分かっており、夏女がすぐさま受話器を取るが…
「…達洋、今何処にいるの?」
〈三宮駅前だ…何か収穫あったか?〉
「ないわよ、ずっと連絡を待っていたのよ」
〈報告が遅くなってすまん、実はお前たちに話したいことが…〉
夏女たちは真部と合流することとなった。
夜の神戸繁華街。労働から解放されて、羽目を外す者たちが目立つ時間帯に突入していた。真部たちは待ち合わせをして、人気焼き肉店で食事をするのであった。
「…遠慮せず食いな、仕事は休みなんだろ?」
「ありがとう…肉なんて久しぶりよ~」「………」
愛弥が嬉しそうに肉を頬張る中、夏女は相棒の顔を見て、眉を顰めた。
「…どうした?美味い肉、焦げちまうぞ」
「まだ、ちゃんと報告を聞いてないわ、彼女の友達は?」
夏女が恐い顔で訴えかけると、真部は一旦箸を置いた。
「心配するな、失踪者の身の安全は保障する」
「…それって見つかったってこと?」
「まあな、まだ会うことはできないけど…例の物、持ってきたか?」
「愛弥ちゃん…」
愛弥が持ってきたのは、弘香と写っている写真だった。真部は写真をじっと見て、軽く笑みを浮かべた。
「友人は無事だ…危ないところだったが…」
「それってどういうこと?」
真部は夏女たちに詳しく現状を話そうとした。その一方で…
場所は変わって、<神戸港警察署>。
夜の時間、捜査課を覗くと刑事や職員が数人残っており、そこに斎藤の姿があった。彼は通信室に閉じ籠って何かを待っていた。
「…課長、203号車からです」
「ご苦労さん、そっちの様子はどうだ?」
〈…また組員と被害者をセットで発見しました、手分けして潜伏場所に向かっているんですが…〉
「そうか、こっちも嬉しい情報が入った、県警の報告によれば、大阪湾で不審船を発見、乗組員を確保したとのことだ」
〈例の密航船ですか?〉
「ああ、はるばるフィリピンからお越しになった…後は海上保安庁に任せてあるから大丈夫だ…ほぼ解決かな?」
〈情報提供者のお陰ですね、礼を言わないと…〉
「あいつに借りを作りたくないが、仕方ないな…」
実は真部が斎藤に<大浜組>の裏ネタを売っていた。斎藤は真部に依頼しようか迷っているところで好都合であった。
真部は<大浜組>組員を黙らせた後、未成年女性失踪事件の手掛かりを掴もうと、事務所内を物色した。
<大浜組>は、人身売買で密かに大儲けしていた。フィリピンの闇組織と関係を築いており、お互い誘拐した未成年女性を娼婦として扱い、高値で取引していた。
今回の被害者は、勧誘担当の勧誘により、契約内容のことを話し合い、適当に仕事を紹介されるわけだが、それからが地獄であった。住居は提供されるが、監視役である組員と同居するのが条件で、もし刃向えば、人身売買の対象者になってしまう。
真部は人身売買対象者のリスト、密航船の着港日が記されたメモ帳を発見して、弘香の生存を知った。彼女を含めた被害者たちは無事に救出されて、事件は解決するのであった。
ちなみに神戸港周辺で発見された溺死体は、売り手(買い手)の暴行を受けて、ゴミのように捨てられ、密航船からの脱出に失敗した者たちだった。
それから数日後、真部たちは愛弥と弘香に会い、彼女たちの現状を耳にするのであった。
まず、愛弥は今の仕事を辞めて、音信不通だった家族の元へ帰った。そして、通信制の高校に通いだして、生活を改めるのであった。
その一方、弘香はネオン街から離れることができず、真部の紹介で高級クラブ<ジャフダン・デ・フラーア>で働くこととなった。梓ママの世話になり、真面目に接客業を教わるようだ。
ちなみに、弘香はバラバラになった家族と暮らすために、少しずつではあるが、更生することを誓った。
こうして、真部たちは迷える若者の人生を救ったのであった。
第五章 1985冬の陣 完
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる