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シーズン1
第18話 後編
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キケンなバディ! 第一期
第三章 最強コンビ誕生
6
それから数日後…
その日、夏女は三宮に訪れて、大学帰りの玲子と合流して、買い物を楽しんでいた。二人は思い存分、服や必要な物を買いこんだ後、適当に飲食店に入ろうとしていたが…
「ざわざわ…」
繁華街の中心は賑わっており、そこには大道芸人やダンサーなど、各分野の表現者が集結しており、自身が磨いた技を帰宅途中の者たちに披露していた。が…
「…あれ?」
夏女たちはパフォーマーが居る区域を通りかかると、あることに気づきだした。彼女たちの耳に安定したハスキーな声が届き、二人はそれを発している者の顔を確認した直後、見物客の一部となった。
夏女たちを含む見物客の前には、ギターを弾きながら歌う女性が一人立っていた。
「歌ってるの…眞子さんよね?」
「そうよ、彼女、よくここで歌っているの…」
玲子は眞子と親しいため、見慣れた光景だが、夏女は彼女の歌う姿を見て魅かれていくのであった。
眞子は低い声と高い声を使い分けることができる。路上ライブが幕を閉じると、眞子は歓声と温かい拍手を浴びて、素直に笑みを浮かべた。
眞子の歌の魅力に酔いしれた聴き人たちは、聴き終わった後、自然と自身の財布を取りだした。眞子のギターケースの中には、大量の小銭や千円札が入っていき、見物客は我に返って、急いで駅に向かうのであった。
「…眞子ちゃん」
眞子が帰る支度をしている最中、夏女たちは思わず声を掛けた。
「…あれ、玲子に夏女…さん、どうして?」
「買い物帰りよ…偶然ここを通ったら、あなたを見かけたのよ、相変わらず、良い声してるわね」
「私は初めて聴いたから感動したわ」
「ありがとう…ところで良かったら、一緒に食事しない?」
夏女たちは眞子の誘いに乗り、一軒の居酒屋で女子会が開かれるのであった。
「…仕事が終わった後や休みの日は路上ライブをやっているの」
「へえ~、趣味のレベルじゃないわ…歌手を目指しているとか?」
「…まあね」
「眞子は学生時代によく、歌のコンテストやオーディションを受けていたのよ…まだ諦めてないのよね?」
眞子は玲子の言葉で鋭い眼光を見せた。そして、眞子はある計画を夏女たちに明かそうとした。
「私ってさ、いざって時に人前で立つと、緊張して実力が発揮できなくてね…路上ライブは、人前での環境に慣れるための練習よ…」
「成程…それで成果は出た?」
「まあね…評判良いし、今年勝負しようと思うんだけど…」
「勝負って?」
「…お金溜まって来たし、上京しようと思うの」
「上京…何で?地元でもオーディション受けられるでしょ?」
「関西は大してレコード会社がないからね…自分を売り込むには東京に行くしかないわ…オーディションもよくやってるし…」
夏女たちは眞子の熱意に圧倒されていた。付き合いの長い玲子は、恐る恐る眞子に質問した。
「上京することは家族の人に話したの?」
「いいえ…伯父さんにも話していないわ」
「路上ライブをしていることは?」
「知らないんじゃない?秘密にしているわけじゃないんだけど…」
「話して反対されたらどうするの?」
「ちゃんと話し合うわ、反対されても強引に実行するつもりよ」
「ほんと頑固ね…確かに曲や詩を書いたり、才能はあると思うけどさ~」
「へえ、眞子さん、そんなことできるの?」
「趣味が高じて、できるようになったの、シンガーソングライターになるのが夢だから…年齢的に急がないと…」
眞子は自身の夢を語り、その時の彼女の表情には、焦りの他に真摯な気持ちが滲み出ていた。夏女はそんな彼女を羨ましそうに見ていた。
「…応援はするわ、くれぐれも無理しないでね」
「ありがとう…今話したことは秘密よ…絶対、他の人に話さないで!」
夏女たちは静かに頷き、それから三人は適当に飲みかわして、女子会を終了させるのであった。
「今夜は奢らせてもらうわ」
「それは駄目よ!割り勘で良いじゃない……?」
夏女と玲子は自分の財布の中を見た途端、顔色が悪くなっていった。彼女たちの財布には小銭しか入っておらず、ぎりぎり電車で帰れる金額であった。
二人は買い物で浪費したことを反省して、仕方なく眞子に奢ってもらった。
「…真部さんに伝えといて、車の方は順調だって…」
「分かったわ、また会いましょう」
眞子は独り暮らしをしており、夏女たちとは駅前で別れることとなった。
だが…
「………」
じっと夏女たちを監視する者がそこに在た。目的は不明で、その者は気づけば街から消えていた。そして…
「眞子とは気が合うみたいね」
「ええ、彼女やあなたのことが羨ましくて…」
「それってどういうこと?」
夏女は電車が到着するまで、自身の立場を語った。
「眞子さんは歌手に…あなたは医者に…でも、私には夢がない、これからどう生きていいかも分からないわ…」
「今の生活が嫌ってこと?」
「そうじゃない!達洋と生活して楽しいし、充実しているけど…記憶が戻ったら、私はどうなるのかなって…」
「…そんな深く考えない方が良いわよ、先のことなんか誰にも分からないことだし…私だって気が変わって別の道を進むかもしれないわ」
玲子は、悩んでいる夏女に優しく助言した。夏女は親友の言葉で蟠りが吹き飛んでいくのであった。
第三章 最強コンビ誕生
6
それから数日後…
その日、夏女は三宮に訪れて、大学帰りの玲子と合流して、買い物を楽しんでいた。二人は思い存分、服や必要な物を買いこんだ後、適当に飲食店に入ろうとしていたが…
「ざわざわ…」
繁華街の中心は賑わっており、そこには大道芸人やダンサーなど、各分野の表現者が集結しており、自身が磨いた技を帰宅途中の者たちに披露していた。が…
「…あれ?」
夏女たちはパフォーマーが居る区域を通りかかると、あることに気づきだした。彼女たちの耳に安定したハスキーな声が届き、二人はそれを発している者の顔を確認した直後、見物客の一部となった。
夏女たちを含む見物客の前には、ギターを弾きながら歌う女性が一人立っていた。
「歌ってるの…眞子さんよね?」
「そうよ、彼女、よくここで歌っているの…」
玲子は眞子と親しいため、見慣れた光景だが、夏女は彼女の歌う姿を見て魅かれていくのであった。
眞子は低い声と高い声を使い分けることができる。路上ライブが幕を閉じると、眞子は歓声と温かい拍手を浴びて、素直に笑みを浮かべた。
眞子の歌の魅力に酔いしれた聴き人たちは、聴き終わった後、自然と自身の財布を取りだした。眞子のギターケースの中には、大量の小銭や千円札が入っていき、見物客は我に返って、急いで駅に向かうのであった。
「…眞子ちゃん」
眞子が帰る支度をしている最中、夏女たちは思わず声を掛けた。
「…あれ、玲子に夏女…さん、どうして?」
「買い物帰りよ…偶然ここを通ったら、あなたを見かけたのよ、相変わらず、良い声してるわね」
「私は初めて聴いたから感動したわ」
「ありがとう…ところで良かったら、一緒に食事しない?」
夏女たちは眞子の誘いに乗り、一軒の居酒屋で女子会が開かれるのであった。
「…仕事が終わった後や休みの日は路上ライブをやっているの」
「へえ~、趣味のレベルじゃないわ…歌手を目指しているとか?」
「…まあね」
「眞子は学生時代によく、歌のコンテストやオーディションを受けていたのよ…まだ諦めてないのよね?」
眞子は玲子の言葉で鋭い眼光を見せた。そして、眞子はある計画を夏女たちに明かそうとした。
「私ってさ、いざって時に人前で立つと、緊張して実力が発揮できなくてね…路上ライブは、人前での環境に慣れるための練習よ…」
「成程…それで成果は出た?」
「まあね…評判良いし、今年勝負しようと思うんだけど…」
「勝負って?」
「…お金溜まって来たし、上京しようと思うの」
「上京…何で?地元でもオーディション受けられるでしょ?」
「関西は大してレコード会社がないからね…自分を売り込むには東京に行くしかないわ…オーディションもよくやってるし…」
夏女たちは眞子の熱意に圧倒されていた。付き合いの長い玲子は、恐る恐る眞子に質問した。
「上京することは家族の人に話したの?」
「いいえ…伯父さんにも話していないわ」
「路上ライブをしていることは?」
「知らないんじゃない?秘密にしているわけじゃないんだけど…」
「話して反対されたらどうするの?」
「ちゃんと話し合うわ、反対されても強引に実行するつもりよ」
「ほんと頑固ね…確かに曲や詩を書いたり、才能はあると思うけどさ~」
「へえ、眞子さん、そんなことできるの?」
「趣味が高じて、できるようになったの、シンガーソングライターになるのが夢だから…年齢的に急がないと…」
眞子は自身の夢を語り、その時の彼女の表情には、焦りの他に真摯な気持ちが滲み出ていた。夏女はそんな彼女を羨ましそうに見ていた。
「…応援はするわ、くれぐれも無理しないでね」
「ありがとう…今話したことは秘密よ…絶対、他の人に話さないで!」
夏女たちは静かに頷き、それから三人は適当に飲みかわして、女子会を終了させるのであった。
「今夜は奢らせてもらうわ」
「それは駄目よ!割り勘で良いじゃない……?」
夏女と玲子は自分の財布の中を見た途端、顔色が悪くなっていった。彼女たちの財布には小銭しか入っておらず、ぎりぎり電車で帰れる金額であった。
二人は買い物で浪費したことを反省して、仕方なく眞子に奢ってもらった。
「…真部さんに伝えといて、車の方は順調だって…」
「分かったわ、また会いましょう」
眞子は独り暮らしをしており、夏女たちとは駅前で別れることとなった。
だが…
「………」
じっと夏女たちを監視する者がそこに在た。目的は不明で、その者は気づけば街から消えていた。そして…
「眞子とは気が合うみたいね」
「ええ、彼女やあなたのことが羨ましくて…」
「それってどういうこと?」
夏女は電車が到着するまで、自身の立場を語った。
「眞子さんは歌手に…あなたは医者に…でも、私には夢がない、これからどう生きていいかも分からないわ…」
「今の生活が嫌ってこと?」
「そうじゃない!達洋と生活して楽しいし、充実しているけど…記憶が戻ったら、私はどうなるのかなって…」
「…そんな深く考えない方が良いわよ、先のことなんか誰にも分からないことだし…私だって気が変わって別の道を進むかもしれないわ」
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