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第一章
──第20話──
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それからどれ位時間がたったんだろう……。
お腹がちゃぽちゃぽでリバース寸前。
呼吸をする度に薬草の匂いが鼻につく。
『もう……飲めない……。』
『そうですわね。今日はこれ位で良いのでは無いでしょうか?』
『分かったの!』
『これからも、やって貰わなくちゃいけないしね!』
『…………毒、美味しい……かっ、た?』
これからもやるんですか。
この苦痛をまたやるんですか。
ノアさん、毒は美味しくなかったよ!!
『もう、やりたくない……』
『駄目ですわ。』
『駄目なの!』
『駄目だよ?』
『…………駄目。』
俺の言葉はどうやら四人には聞き入れて貰えそうに無かった。
『なんじゃ?ルディ、疲れたのかの?』
ずっと側でニコニコしながら見ていたライアが声をかけてきた。
ライア……止めてよ……。
『かあさん、何で見てるだけなの?』
『ん?妾も昔やってもろうててな。懐かしくて見てしまってたの。手伝えなくてすまぬの。』
ライアもやられてたんかい!
ライアが手伝うって絶対飲ます方だよね!?
そんな協力は求めてないっ!!
『手伝わなくて良い……。』
『そうかの?ルディは優しい子じゃの!』
どこをどう聞いたら俺が優しい子になるんだ…………。
『所でのぉ、この残りカスはどうするのだ?』
ライアが精霊四人に向かい問いかける。
『火で燃やすの!』
『でもライアが燃やしたら駄目じゃないかな?』
『…………ライアは、駄目。』
『レオナルドが居てくれたら良いんですけどね……。』
ロナ、メリル、ノア、リアムがそれぞれ答えると、ライアは不思議そうに首を傾げていた。
ライアさんが燃やす事をかなり強く否定するな。
そんなに危険なのか。
『ルディは使えんのかの?』
『まだレオナルドに会っていませんわ。』
『まだ会ってないの!』
レオナルドって初めて聞く名前なんだけど。
話の流れ的に火の大精霊かな……。
もうこれ以上加護はいらないよ?
『そうなのか。レオナルドは今、どこに居るのだ?』
ライアの質問にノアが向こうの山を指していた。
『…………あそこで、寝てる。』
『ボク達の【念話】も無視するんだよ!』
『全然答えてくれませんものね。』
メリルはぷんぷんと怒り、リアムは頬に手を添えため息を溢していた。
あの山すごく遠くに見えるんだけど。
そんなに遠くても【念話】って通じるんだな。
『なら起こせば良いではないか?』
『寝るとなかなか起きないの!』
『叩いてもツネっても起きないんだよっ!』
『寝起きが悪いですものね。』
四人がどうするか悩んでいると、ノアがすっと手を上げた。
『…………山、破壊……する?』
『『それは駄……』』
『それは良い考えじゃの!!』
ロナとメリルが否定をしようとしている途中でライアが顔を輝かせながらノアの意見に賛成した。
なーんか、嫌な予感……。
意気揚々とライアは前へ進み出て、両手を前にかざす。
『『ちょっ!待っ…………』』
ドゴォォォォォオオオォォォォン!!
ロナとメリルの制止むなしく、ライアは魔法を放った。
物凄い音と風圧。
喉が焼けるかと思う程の熱風が勢い良く押し掛けてくる。
えぇぇぇぇええぇぇぇ!?
あっつ!!
何この威力!?
怖い!怖い!
大きな火柱が山に向かい一直線に伸び、火柱が消えるとその跡は悲惨だった。
火が通った跡には草木も無くなり、近くにあったモノは焦げたり萎れたりしていた。
土も抉れ、山があった場所は……
山が無い!?
え、山無いんだけど!?
『うぅ~……私が育てた草木がぁ~…………。』
『あぁ~……ボクのお気に入りの水場がぁ~…………。』
ロナとメリルは悲しそうにその場に膝をついていた。
いや、お二人さん?
その前に山が無いんだよ!?
そっちの方が問題じゃない!?
『『ライアのバカーーー!!!』』
『ば、バカとはなんじゃ!?レオナルドを起こす為であろう!?』
『ライア……それも攻撃魔法ですわ……。』
『………ん。………ライア、相変わらず……。』
『ね、ねぇリアム姉さん、ノア姉さん。これどうするの??』
言い争ってる三人を無視し、リアムとノアにこの惨状について質問をする。
『これはですね、ロナとメリルが後処理を行いますから大丈夫ですわよ。』
『…………二人が、頑張る。』
『そ、そう……。』
『しばらくは不眠不休でしょうね。』
『…………二人、慣れてる。……大丈夫。』
慣れてるって、それ昔のライアの後処理じゃないよね!?
これ、無闇に放ってたら国が滅んじゃうよ!?
あれ……でも
『あの辺りには人は住んでないよね……?』
最悪の事態を考えて二人に質問をする。
『ここは〈精霊の泉〉ですので、問題ありませんわ。見えているもの全てが切り取られた場所ですので……精霊もしくはお母様に認められている方以外はおりませんわ。』
『…………ん。問題、ない…………。』
『そっか。良かった……のか?』
山の方に目をやると、光の珠が猛スピードでこちらに飛んで来るのが見えた。
多分あれがレオナルドって言う精霊なんだろうな…………。
御愁傷様です…………。
お腹がちゃぽちゃぽでリバース寸前。
呼吸をする度に薬草の匂いが鼻につく。
『もう……飲めない……。』
『そうですわね。今日はこれ位で良いのでは無いでしょうか?』
『分かったの!』
『これからも、やって貰わなくちゃいけないしね!』
『…………毒、美味しい……かっ、た?』
これからもやるんですか。
この苦痛をまたやるんですか。
ノアさん、毒は美味しくなかったよ!!
『もう、やりたくない……』
『駄目ですわ。』
『駄目なの!』
『駄目だよ?』
『…………駄目。』
俺の言葉はどうやら四人には聞き入れて貰えそうに無かった。
『なんじゃ?ルディ、疲れたのかの?』
ずっと側でニコニコしながら見ていたライアが声をかけてきた。
ライア……止めてよ……。
『かあさん、何で見てるだけなの?』
『ん?妾も昔やってもろうててな。懐かしくて見てしまってたの。手伝えなくてすまぬの。』
ライアもやられてたんかい!
ライアが手伝うって絶対飲ます方だよね!?
そんな協力は求めてないっ!!
『手伝わなくて良い……。』
『そうかの?ルディは優しい子じゃの!』
どこをどう聞いたら俺が優しい子になるんだ…………。
『所でのぉ、この残りカスはどうするのだ?』
ライアが精霊四人に向かい問いかける。
『火で燃やすの!』
『でもライアが燃やしたら駄目じゃないかな?』
『…………ライアは、駄目。』
『レオナルドが居てくれたら良いんですけどね……。』
ロナ、メリル、ノア、リアムがそれぞれ答えると、ライアは不思議そうに首を傾げていた。
ライアさんが燃やす事をかなり強く否定するな。
そんなに危険なのか。
『ルディは使えんのかの?』
『まだレオナルドに会っていませんわ。』
『まだ会ってないの!』
レオナルドって初めて聞く名前なんだけど。
話の流れ的に火の大精霊かな……。
もうこれ以上加護はいらないよ?
『そうなのか。レオナルドは今、どこに居るのだ?』
ライアの質問にノアが向こうの山を指していた。
『…………あそこで、寝てる。』
『ボク達の【念話】も無視するんだよ!』
『全然答えてくれませんものね。』
メリルはぷんぷんと怒り、リアムは頬に手を添えため息を溢していた。
あの山すごく遠くに見えるんだけど。
そんなに遠くても【念話】って通じるんだな。
『なら起こせば良いではないか?』
『寝るとなかなか起きないの!』
『叩いてもツネっても起きないんだよっ!』
『寝起きが悪いですものね。』
四人がどうするか悩んでいると、ノアがすっと手を上げた。
『…………山、破壊……する?』
『『それは駄……』』
『それは良い考えじゃの!!』
ロナとメリルが否定をしようとしている途中でライアが顔を輝かせながらノアの意見に賛成した。
なーんか、嫌な予感……。
意気揚々とライアは前へ進み出て、両手を前にかざす。
『『ちょっ!待っ…………』』
ドゴォォォォォオオオォォォォン!!
ロナとメリルの制止むなしく、ライアは魔法を放った。
物凄い音と風圧。
喉が焼けるかと思う程の熱風が勢い良く押し掛けてくる。
えぇぇぇぇええぇぇぇ!?
あっつ!!
何この威力!?
怖い!怖い!
大きな火柱が山に向かい一直線に伸び、火柱が消えるとその跡は悲惨だった。
火が通った跡には草木も無くなり、近くにあったモノは焦げたり萎れたりしていた。
土も抉れ、山があった場所は……
山が無い!?
え、山無いんだけど!?
『うぅ~……私が育てた草木がぁ~…………。』
『あぁ~……ボクのお気に入りの水場がぁ~…………。』
ロナとメリルは悲しそうにその場に膝をついていた。
いや、お二人さん?
その前に山が無いんだよ!?
そっちの方が問題じゃない!?
『『ライアのバカーーー!!!』』
『ば、バカとはなんじゃ!?レオナルドを起こす為であろう!?』
『ライア……それも攻撃魔法ですわ……。』
『………ん。………ライア、相変わらず……。』
『ね、ねぇリアム姉さん、ノア姉さん。これどうするの??』
言い争ってる三人を無視し、リアムとノアにこの惨状について質問をする。
『これはですね、ロナとメリルが後処理を行いますから大丈夫ですわよ。』
『…………二人が、頑張る。』
『そ、そう……。』
『しばらくは不眠不休でしょうね。』
『…………二人、慣れてる。……大丈夫。』
慣れてるって、それ昔のライアの後処理じゃないよね!?
これ、無闇に放ってたら国が滅んじゃうよ!?
あれ……でも
『あの辺りには人は住んでないよね……?』
最悪の事態を考えて二人に質問をする。
『ここは〈精霊の泉〉ですので、問題ありませんわ。見えているもの全てが切り取られた場所ですので……精霊もしくはお母様に認められている方以外はおりませんわ。』
『…………ん。問題、ない…………。』
『そっか。良かった……のか?』
山の方に目をやると、光の珠が猛スピードでこちらに飛んで来るのが見えた。
多分あれがレオナルドって言う精霊なんだろうな…………。
御愁傷様です…………。
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