コンビニで働く私の日常

みやび

文字の大きさ
上 下
2 / 5

私とお客さん第一号!

しおりを挟む
初めてのレジ打ち。

今はお客さんも少なく、先輩は品出しをしていた。

すると、私の目の前に商品も何も持たずに少し強面こわおもてのスーツを来た男性がやってくる。

私のお客さん第一号っ!?

上手く出来るか不安に思いながら、姿勢を正す。

その男性は、レジの上に小銭を置くと、
「いつもの。」

とだけ言われてしまった。

……いつ、もの?

え!?
常連さんですか!?
“いつもの”が分からないですっ!!
ど、どうしよう……。

私はパニック寸前になりながらも、素直にその男性に聞く事にした。

「あ、あの……今日入ったばかりで……その……」

しどろもどろ になりながら私が言葉にすると、男性はレジの小銭を触りながら答える。

「あぁ?そうなのか?メビ◯スのソフト。」

メ◯ウス……?
煙草だろうか……?

私は後ろを振り向き、その銘柄を探そうとしたが、種類が多すぎる。

あわわ。
煙草の種類って百種類以上あるの!?
吸わないから、どれがどれだか分からないよー……。
メビ◯スってどんなパッケージなんだろう?
それに、ソフトって何??
煙草ってソフトとハードがあるの??

私が混乱していると、見かねた男性が声を掛けてくれた。

「十一番。ほら、そこにあるだろ?」

指で場所を示しながら教えてくれる。

「あ!はいっ!ありましたっ!!えっと、お一つで宜しいでしょうか……?」

「あぁ。」

私は煙草を手に持ち、レジでピッとしてからレジに置くと、男性は煙草をポケットに入れる。

「まー……姉ちゃんも頑張りな。」

「は、はい!ありがとうございましたっ!」

男性の言葉に嬉しくなり、つい笑顔になってしまう。

そして男性は店を出ていった。

次はちゃんと覚えて置かないとっ!!
……。
あっ!!
お金貰ってない!?

そう思ったが、レジの上を見てみると、そこには数えやすい様に煙草の値段ピッタリの小銭が綺麗に並べてあった。

煙草を買う人って値段覚えているのかな?

私は小銭を持って、会計ボタンを押す。

私の初めてのレジはお客さんに助けられて何とか無事に終わった。

「ん!ちゃんと出来たみたいだね!」

品出しをしていた先輩が商品の入った箱をガラガラと移動させて私の前に来た。

「……はい。でも煙草が分からなくて、お客さんに迷惑を掛けてしまいました……。」

「あはは!大丈夫だって!あの人はいつも煙草を買いに来るから、来た時に余裕があれば手元に持って来といた方が、レジが混んでいてもスムーズに回せる様になるよ!」

「はい!分かりましたっ!」

私にそんな余裕が出来るのか分からないけど、顔と煙草の銘柄はちゃんと記憶に残っていた。

私のお客さん第一号だもん!
それに、優しい言葉も掛けて貰ったし……。
よし!
次はしっかりとスムーズに出来る様に頑張ろう!!

私は今回の失敗を胸に、次にあの男性が来たときはちゃんと出来る様にしようと心に決めた。


─────


数日後。

自動ドアが開き、あの時の男性が店に入ってきた。

私のお客さん第一号の人!!
確か……。

その男性は前の時と同じ様に、レジに小銭を置いた。

私は入って来た時に手元に出して置いた煙草を男性に見せる。

「こちらですね!」

私は笑顔で男性に聞くと、少し驚いた顔をされてしまった。

「あ、あぁ。……新人の姉ちゃんか?」

「はいっ!しっかり、ばっちり覚えておきましたっ!合っていて良かったです!」

私は合っていた事が嬉しくなり、笑顔で煙草をピッとした。

先輩に言われた事がちゃんと出来た!

私は誇らしく思いながら、男性に煙草を渡す。
男性は煙草を受け取りながら、照れ臭そうにしていた。

「覚えといてくれて嬉しいよ。ありがとな。」

「はいっ!こちらこそ、ありがとうございます!また来て下さい!」

「あぁ、また来るよ。じゃ、姉ちゃんも頑張ってな。」

「はいっ!ありがとうございます!」

私はさらに嬉しくなり、隣にいる先輩に声をかける。

「先輩!ちゃんと出来ましたっ!!」

「おー!偉いじゃん!!次も頑張ってね!!」

先輩は私の頭をポンポンと軽く叩いて褒めてくれた。
私はそれに少し照れ臭くなりながらも、笑顔で先輩に答える。

「はいっ!!」















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おれは農家の跡取りだ! 〜一度は捨てた夢だけど、新しい仲間とつかんでみせる〜

藍条森也
青春
藤岡耕一はしがない稲作農家の息子。代々伝えられてきた田んぼを継ぐつもりの耕一だったが、日本農業全体の衰退を理由に親に反対される。農業を継ぐことを諦めた耕一は『勝ち組人生』を送るべく、県下きっての進学校、若竹学園に入学。しかし、そこで校内ナンバー1珍獣の異名をもつSEED部部長・森崎陽芽と出会ったことで人生は一変する。  森崎陽芽は『世界中の貧しい人々に冨と希望を与える』ため、SEEDシステム――食料・エネルギー・イベント同時作を考案していた。農地に太陽電池を設置することで食料とエネルギーを同時に生産し、収入を増加させる。太陽電池のコストの高さを解消するために定期的にイベントを開催、入場料で設置代を賄うことで安価に提供できるようにするというシステムだった。その実証試験のために稲作農家である耕一の協力を求めたのだ。  必要な設備を購入するだけの資金がないことを理由に最初は断った耕一だが、SEEDシステムの発案者である雪森弥生の説得を受け、親に相談。親の答えはまさかの『やってみろ』。  その言葉に実家の危機――このまま何もせずにいれば破産するしかない――を知った耕一は起死回生のゴールを決めるべく、SEEDシステムの実証に邁進することになる。目指すはSEEDシステムを活用した夏祭り。実際に稼いでみせることでSEEDシステムの有用性を実証するのだ!  真性オタク男の金子雄二をイベント担当として新部員に迎えたところ、『男は邪魔だ!』との理由で耕一はメイドさんとして接客係を担当する羽目に。実家の危機を救うべく決死の覚悟で挑む耕一だが、そうたやすく男の娘になれるはずもなく悪戦苦闘。劇団の娘鈴沢鈴果を講師役として迎えることでどうにか様になっていく。  人手不足から夏祭りの準備は難航し、開催も危ぶまれる。そのとき、耕一たちの必死の姿に心を動かされた地元の仲間や同級生たちが駆けつける。みんなの協力の下、夏祭りは無事、開催される。祭りは大盛況のうちに終り、耕一は晴れて田んぼの跡継ぎとして認められる。  ――SEEDシステムがおれの人生を救ってくれた。  そのことを実感する耕一。だったら、  ――おれと同じように希望を失っている世界中の人たちだって救えるはずだ!  その思いを胸に耕一は『世界を救う』夢を見るのだった。  ※『ノベリズム』から移転(旧題·SEED部が世界を救う!(by 森崎陽芽) 馬鹿なことをと思っていたけどやれる気になってきた(by 藤岡耕一))。   毎日更新。7月中に完結。

【完結】捨ててください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。 でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。 分かっている。 貴方は私の事を愛していない。 私は貴方の側にいるだけで良かったのに。 貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。 もういいの。 ありがとう貴方。 もう私の事は、、、 捨ててください。 続編投稿しました。 初回完結6月25日 第2回目完結7月18日

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

シン・おてんばプロレスの女神たち ~衝撃のO1クライマックス開幕~

ちひろ
青春
 おてんばプロレスにゆかりのOGらが大集結。謎の覆面レスラーも加わって、宇宙で一番強い女を決めるべく、天下分け目の一戦が始まった。青春派プロレスノベル『おてんばプロレスの女神たち』の決定版。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

愛のゆくえ【完結】

春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした ですが、告白した私にあなたは言いました 「妹にしか思えない」 私は幼馴染みと婚約しました それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか? ☆12時30分より1時間更新 (6月1日0時30分 完結) こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね? ……違う? とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。 他社でも公開

恋とは落ちるもの。

藍沢咲良
青春
恋なんて、他人事だった。 毎日平和に過ごして、部活に打ち込められればそれで良かった。 なのに。 恋なんて、どうしたらいいのかわからない。 ⭐︎素敵な表紙をポリン先生が描いてくださいました。ポリン先生の作品はこちら↓ https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911 https://www.comico.jp/challenge/comic/33031 この作品は小説家になろう、エブリスタでも連載しています。 ※エブリスタにてスター特典で優輝side「電車の君」、春樹side「春樹も恋に落ちる」を公開しております。

処理中です...