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ー1ー異世界生活の始まり
1. 森を抜けるまで
しおりを挟む俺は今森を歩いている。樹皮や木の芽のむんむんする激しい香の中、道が無いので俺はサリィさんの後ろを追いかけるようについて行った。
「あのサリィさん」
「なんだ?」
「思ったんですけど、狼を倒す時に」
「さっき戦ったマモノは、おおかみと言う名前じゃなくてヴァウルだぞ」
さっきの狼みたいなやつヴァウルて言うのか。
「それで」
「えーと、ヴァウルを倒す時に炎を出してたじゃないですか、その丸いのは何ですか?」
「あれはポロロ玉て言うんだ」
「ポロロ玉?」
「ああそうだ」
変な名前だな、誰が付けんたんだろう。
「ポロロ玉はどうやって、出すのですか?」
「簡単に言うと、ポロロを使おうとした時にその種類のポロロ玉が勝手に出てくるんだ、だから対人戦などの時に役に立つのさ、逆に自分がなんのポロロが使えるのがバレるがな」
「それでそのポロロ玉と言うやつから火などが出る、と言う事ですか?」
「ああ、そうだな」
俺の知ってる魔法とは違うんだな、まあアニメとかしか知らないけどな。
「それ俺にを使えますかね?」
「それはもちろん9割の人がポロロが使って居るからな」
9割が使って居るのか、俺もポロロを使かうことができるのだろうか。
サリィさんは俺を向いて言った。
「試すなら、野宿する場所に着いたらな」
やっぱり野宿か、テントとかあるのかな?見るからに無さそうだけど。
「テントとかありますか?」
「テントとはなんだ?」
「あれですよ、手軽な家みたいな」
「あぁ、ジュラド族がよく使ってるやつみたいなものか?」
「多分そういうやつです」
「すまないが、ないな」
「そうですか……」
サリィさんと話しているうちに野宿する場所が決まったらしい。
「ここら辺で良いだろう」
そこは広場のようになってるわけでも無く、大きな木があるだけだった。
「ところでどこに寝るんですか?」
「目の前に木があるだろう」
「まさか、あの木に登って寝るとか言いませんよね」
「そのまさかだ、下で寝るとマモノが襲って来るぞ、木でも襲われることもまれにあるが、下よりかは安全だと思うぞ」
俺は木を見上げて、暗いけど確かに寝れそうな場所があることを確認した。
「落ちたらどうするんですか?」
「大丈夫だ、万が一の為に体に紐を付けて木に付けておけば、落ちてもさっきのハーツのように木にぶら下がるだろう」
一瞬ハーツて誰のことだ、と思ってしまった。俺の名前はハーツだ!と心の中で何回も覚える様に言った。
「そ、そうですね、ですけど……もし紐が切れたらどうするんですか!」
「その時はその時に考えれば良い」
そして俺たちは作業に移ることにした。
まず、焚き火を作るために周りの草や燃えそうなもの無くした。そして、サリィさんが持ってきた木を置いて、サリィがポロロで火つけて完成だ。
「サリィさん」
「どうした」
「夜ご飯はどうするんですか?」
「それならさっき剥ぎ取ったヴァウルの肉があるじゃないか」
「そ、そうですね」
確かにさっき食料になると言っていたが、まさか食べることになるとは、これからさきもマモノの肉を食べることになるのだろうか。
まず、マモノの肉は食べれるんだなそして、美味しいのだろうか。
「ヴァウルの肉は美味しいのでしょうか?」
サリィさんはニコッと笑って言った。
「もちろん美味しいぞ」
たしかサリィさんは俺と会って、初めて見せた笑顔なのかもしれない。
そして、俺とサリィさんは焚き火の近くに座り、サリィさんは鉄の棒らしき物に肉を刺した。
「この鉄の棒良いだろう、一つ買ってれば何回でも使える。だけどハーツの分は無いから木の棒で我慢してくれ」
そう言われると、木の棒と肉を手渡しでくれた。
「うっ」
「どうした」
「何でもないです」
俺は日本にいた頃で肉はバーベキューなど以外では料理した事が無いのであまり慣れていない。さらに、さっき倒した、ヴァウルと思うとなんか嫌な感じがする。
でもしょうがない、これからも生きて行くためには必要だ。
なのだが、俺は木の棒に肉を刺そうとしたが、うまく刺さらない。
「あれ?」
「しょうがないな、ちょっと貸してごらん」
「はい……」
サリィさんは俺の肉と木の棒を手に持ち。
「私が見本を見せるからこっち見て」
「わかりました」
「まず棒の持つ腕を決めて、逆の手で肉を持ってから肉を少し突っついてみてやらわかいところを探して、ここだ!と思ったところに一回で刺すつもりで、一気に刺すと、ほら出来たでしょ、でも一つ気をつけて、肉によってやらわかい場所は違うから」
「分かりました」
「次は自分でやりなさいよ」
やたらと知っているな、肉が好きなのか、ただ単によく食べるから詳しいのだろうか。
「焚き火の近くに立てて、待てば良い」
その後に俺は肉の事について、質問したら思った以上にサリィさんは長く喋ってくれた。
そしてサリィさんの話を聞いているうちに肉が焼きあがったようだ。
「そろそろ焼けた頃だと思うよ」
たしかサリィさんの棒は鉄の棒だった気がするけど、取る時に暑く無いのだろうか。
そして、サリィさんは熱くなかったのだろか、何も無かったかのように肉を食べていた。
「美味しい!!」
なので、俺も木の棒を触ってみたら、
「あつ!!」
「そのぐらい、熱さも触れないのか」
俺は少し待つ事にした。そして、サリィさんの方を見ると。
サリィさんはもう食べ終わったのだろうか、ほっぺたを触りながら何かを言っている。
なので俺も食べてみると、
「うーん」
俺はもうちょっと経ってから食べるか、俺はちゃんと火の通っている肉じゃ無いとだめなんだ。
なので俺は少し待つ事にした。
ーー
「さすがに大丈夫だと思うぞ」
サリィさんがさすが焼き過ぎだろと言う目で俺を見てくるので肉を食べる事にした。
そして、俺が肉を取って食べようとした時に突然サリィさんが焚き火の火を消した。
「なんで火を消すんですか!?」
「静かに」
サリィさんは小さな声で言った。
俺は何事かとサリィさんに小さな声で聞くと、
「近くに人間がいる、しかも多分盗賊が」
「それがどうしたんですか?」
「それも分からないのか、まあいいからここから離れるぞ」
俺は肉の棒を持ち行こうとすると、
「そんなのを持ってたら匂いで気づかれるぞ、さっさと捨てろ」
「えっ……あっ分かりました」
俺の夜ご飯が……と思いつつ肉の棒をそーと遠くに投げた。
そして、俺はサリィさんのあとを追ったのだった。
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