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4章 旅の始まり

28. 幻の船

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「本当にこっちで合ってんのか? この道」

ザードが不機嫌になっている。さっきまでは機嫌が良かったのだが、道を進むにつれ気分が優れないようだ。

「大丈夫です。私を信じてくれたらちゃんと目的地に着くと思いますよ」

そしたら、ちょっとだけカサッと音がした気がしたら、同時にザードが言い出した。

「今何かいなかったか?」
「確かに……」
「でも、襲ってこないなら大丈夫だと思いますよ」
「まあ、そうだよな。まず聞き間違えかも知れないからな」

ルシスの案内の元歩いていると、後ろからカタカタと何が来ている音がした。

そしたら、俺以外は草の中に素早く入った。

「ラーメン……!  何してるんだ! 早く隠れろ!」

言われた通りに素早く草の中に入った。

うつ伏せの状態になり、草むらの隙間をじっと見つめた。

次第にカタカタと音が近づいて来ると、光の粒子のようなやつが周りに出てきて、目の前を何かが横切った。

草が邪魔であまり見えなかったが、結構な速さで光のようなやつで囲まれている乗り物? のようなのが見えた。

うつ伏せ状態になって、数10分後光の粒子みたいなやつが消え音も消えてから、みんなが草から出て行ったので、それに続いて出た。

「あれはやばいな、あんなのと関わったらどうなるんだが……」
「私は初めて見た気がするわ」

本当に今のはなんだったのだろうか。光の乗り物なのか、なんか魔法なのだろうか。

「今のはなんだ?」
「ラーメンは知らないのぉ?」 
「知らないな」
「でも有名だから多分知ってると思うよぉ
"幻の船"どっかで1回は聞いたことあるだろう」

有名らしいから、俺は知っているふりをする事にした。

「た、確かに……聞いたことがある気がするような気がする」
「だろぉ、でも本当に実在してるとは思わなかったけど……」
「どうして、有名なんだ?」

ラクトは考え込むように上を向いた。

「だって、名前に幻って付くし、見たって言う人もいるけど、そのほとんどが嘘っていう噂も聞いたこともあったり、それに見つかったら存在が消える。という噂まであるからなんか嘘っぽいというか、本当にあるのだろうと思ってだけど、さっき見たんだから信じるしかなさそうだよなーぁ」
「そうだね……」

ザードは体を揺すりながら同じところを何回も歩いている。

「どうしたんだ? ザード?」
「いやー……今の話を聞いて思ったんだけど……俺達見られてないよな!?  消えないよな!?」
「多分だけど、見られたらすぐ消されると思うけど……」
「それなら良いけどな」

ザードはさっきよりかは普通になったようだ。

そして、ルシスについて行くと家のような場所に着いた。

「ここは?」
「私がよく泊めさせてもらっている所です」

アリナは表情がいつもよりも和らいでいる。

「今日は野宿じゃないのね。ルシスさんについて来て良かったわ」
「いつも野宿だったのか?」
「そうよ、そこの人の場合はほとんど野宿だもの」
「なんだ、文句でもあるのか」
「文句しかありませんわよ」

思い出してみたら、俺はあまり野宿をした事がないな。

「それより、早く行きましょう」

その家に入ると、冒険者のような人達が沢山いる。

「お、ボス!?」
「あの、だからいつも言いますが私はボスではありません」

男は顔を覗き込み、離れた。

「本当だ!!  えーとルシスだよな」
「はい、そうです」
「じゃあ料理を作るんで」

男は台所みたいなところに行った。

「あの人本当に作れるのか?  料理を」
「以外と美味しいから、安心してくれ」

料理の匂いが部屋中に充満する頃に男が料理を運んで来た。

外を見るともう真っ暗になっている。

「普通に美味しいぃな」
「確かにな」

俺も食べて見ると、普通に美味しかった。

ここにはお風呂がないみたいで、アリナががっかりしていた。俺は寝る事にした。

「今日も色々あったな」
「そうだな」





ーー

「朝だ!!  起きろラーメン!!」

その声で俺は起き上がり、みんなのいる部屋に行った。

「もう、みんな起きていたのか」
「ラーメンが遅かっただけだと思うぞ」
「ところで、朝ご飯はないのか?」
「それだけど、なぜか作ってくれなくてな」

夜ご飯を作ってくれたから、朝ご飯も作ってくれる、という考えは甘かったようだ。

「行く準備が出来たら、ルシスを呼びに行こうぜ」
「ああ、わかった」

俺は行く準備を済ませて、みんなのところに行き、そしてルシスのいる家に向かった。

「ルシス!! 行く準備が出来たぞ!!」
「そうか、わかった。それじゃ行こうか」

そして、入り口の方に行こうとしたら、

俺の首元の横に剣が向けられた。

「……なんてな。お前らと行くわけないだろう」
「それはどう意味?」

そしたら入り口に男が集まり、周りにも、上にも人がいる。そいつらは武器を持っている。

【表示】を発動して、恐る恐る見てみると、俺も合わせて、5人以外は真っ赤に光っていた。そしてルシスも、

「ルシス?」

ザードが振り向こうとすると、

「動くな! 殺すぞ」
「はぁ?」

ザードが動いたら、上から弓矢が飛んできて、ザードの腕に刺さった。

「痛てぇ、ーー何するんだ!!  ルシス」
「言っておくけど、その弓矢は毒が付着している。あと俺の名前はルシスじゃない……それ適当に考えた名前だよ」

ルシス?  はいつもと違う声のトーンで話している。というよりもこっちが本当なのだろうか。

と言う事はあいつは俺達をこれまでずうと騙していたと言う事なのか!?

 



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