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2章 運び屋

⒍ 運び屋

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トーゲル街はいつも騒がしい。俺は一週間ぶりだからなのか、とても久しぶりに感じた。

「ラーメン!今日は試験に合格したし、一緒に夕ご飯食べない?」

リーアの誘いに俺は別に予約も用事も無かったので断る理由は無かった。

「別に良いけど……」

そしたら、横から誰かが飛び出して来た。

「私も行く!」

急いで来たのか、フードが取れて猫の耳が出ている。

「やっぱりニアだったか……まあ、別に良いよなリーア?」
「大丈夫だよ」
「やった!」
「あとニア、一つ言うけど奢らないからな」

ニアは泣きそうな顔で、こちらをガン見して来た。

「はぁー、分かったよ。言っとくが奢るのは今回で最後だぞ」
「……分かった」

本当に世話がやける奴だな。

「ところで、何処で食べるんだ?」
「それが、もう一週間前に予約済みだよ」

リーアは手を腰にくっ付けて、やるだろ!という感じで言った。

「合格すると思ってたんだ」
「それは、簡単な試験だからね!」
「じゃあニアはどうするんだ?」
「そうなるような感じがしたから、テーブル一つ分を予約しておいたんだ。まあ実際は」
「準備がいいな」

俺たちはリーアが予約しているお店に向かった。その途中、ニアが他の店の食べ物を取ろうとするので止めるのに苦労した。

そして、リーアが店の前で止まった。目的の店に着いたようだ。

「結構いい店だな」
「でしょ、予約を取るの難しかったんだからね」

その店は家の外の壁が全部真っ白で、中は外とは違く、茶色でシャンデリア見たいのがついて、豪華そうだった。

「予約していた、リーアさんですよね」
「あ、はい」
「三名で宜しいでしょうか?」
「そうです」
「席を案内いたします」

案内された場所は端っこで、夜景が見える、いかにも値段が高そうな場所だった。

そして、案内人が居なくなった瞬間にニアは窓に直行した。

「綺麗……」
「確かにな」

この夜景は東京など都会とは違って、大通りに沿って明かりがついている。ほとんどの家が木材で作られているため、ファンタジー感がする。この夜景も以外と好きだと思った。

話しなどをしているうちに、料理が運ばれて来た。

「こちらの料理は、右からカラサスの煮込みのスープ、レアンドの肉ソテー、特別な作り方をしているラリッド、デザートはビリアンから取り寄せた果物をのせたケーキとなっています、ごゆっくりどうぞ」

料理はどれも美味しそうだけど、知らない料理だらけだった。

「美味しそうだね!」 
「そうだな」

ニアはラリッド?を食べようと、フォークをぶっ刺したら、プチと中から汁のような物が出てきた。

「あっ」

リーアはニアを顔を拭きながらラリッドの食べ方の説明をし出した。

「ラリッドは刺したりすると、すぐ破裂するからすくって食べないとダメなんだよ」

俺が先に食べなくて良かった、ニアのお陰で恥をかかなくて済んだ。

俺もラリッド食べてみる事にした。リーアが言ってた通りに、俺はすくうように慎重に食べると、

「ん!美味しい」

口に入れて、噛んだ瞬間に破裂する。そして口の中に美味しさが広まる。

俺は美味しかったので、もう一回食べた。

噛んだ瞬間に破裂する感じが、以外と癖になる。

「ラーメンはラリッドが気に入ったみたいね」
「そ、そうだな」

俺が食事をしていると、誰かがお店に入ってきた。

「予約していた、ヒゥーさんですね」

ヒゥー?まさかあいつか?と思って扉の方を見るとやっぱりそうだった。

その後こちらに気づいたみたいで近づいてきた。

どうやら、ヒゥーとライドが一緒に来たみたいだ。

「まさか、この店にラーメン達も来て居たとはな」
「俺もびっくりだぜ、俺はヒゥーが予約してたみたいだから来たんだ」
「そうなんだ……」

ヒゥーは料理を作るのも上手だし、美味しい店まで知ってるのか。

そして、俺たちは料理を食べたり、しながら試験合格を祝ったのだった。





ーー

その後ヒゥー達と別れて、街は酒場で冒険者達の話し声、お酒の乾杯する音や男達の笑い声だけが聞こえる。

そして、暗い夜の中俺達は歩いて居た。

「今日は楽しかったね」
「確かに、久しぶりに楽しんだ気がするよ」

ニアの方を見ると、首を上下に振っている。

「ところでさラーメン」
「なんだリーア?」
「私の仲間にならない?」
「えっ……というか仲間いたんだ」
「試験の時に言ったじゃん、仲間と冒険してる時に冒険者試験をする必要になったから、受けたって」
「そうだったな」
「ニアも一緒でも良いから」
「ラーメンが入るならニアも入ってもいいよ」
「勝ってに俺がニアと仲間風にするな!」
「それはそれで、仲間になってくれるよね?」

リーアと何故かニアも目を輝かせながら、俺を見てくる。

「俺は……」
「うん」
「リーアの……仲間に……ならない!」
「えー!」

リーアは肩を落とした。そして、何かが分かったのかまた普通に戻った。

「ラーメンが今言ったこと、嘘だよね、私を騙してるだけだよね?」
「違うから……」
「えっ…………………」

リーアは固まり、ニアはも何故か固まっている。

「ラーメンは~……これからどうするの……?」

リーアはヘトヘトしたような声で言った。

「運び屋になろうと思ってる」
「何で運び屋?」
「それはだな、ある言葉がきっかけでな」
「なにその言葉?」
「"オレは何でも運ぶ。ーー例え、それが死骸やご禁制のものであってもな"」

この言葉はあるゲーム出てくるセリフなんだけど、俺は今何故か運び屋をやりたくなった。

「それじゃあ、私の仲間になって、物とか運んでよ!」
「え……や、やだよ」
「……」
「あ、そうだ」
「なに……」
「ニアは仲間に入れてあげてよ」
「え……うん……分かった」

リーアはニアを連れて行き、しぶしぶ帰って行った。

俺も帰る事にしたが、前の宿屋は一週間居なかったから、部屋がなくなっていると思う。

その後、俺は入れる宿屋を見つけるために、夜の街をさ迷った。






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