【BL】星座に愛された秘蔵の捨てられた王子様は、求愛されやすいらしい

かぎのえみずる

文字の大きさ
上 下
320 / 358
第八部 大嫌い

第一話 狂った聖人君子

しおりを挟む
 あの人は、もう人に心を開こうとしない。
 あの人は、常に誰かが側にいなくちゃ、駄目になる人だ。
 あの人は、あの人は、あの人は――。
 
 誰かが、そう、おいらが側に居なくちゃ、いけないんだ。
 おいらがあの人の保護者。おいらがあの人の導き手。水先案内人。
 だから、早く起きて、あの人の所に行かないと――あの人は、おいらが居ないと生きていけない。
 
 生きていけないのは、おいらの方?
 
「――――……光りの匂いがする」
 
 目を開ければ、そこは真っ白な世界。天国? なんて、笑えたらいいのに、もうそんな冗談は出来ないことを知っている。
 不老不死になったから。体が変な感じだ。試しに、がりっと指先を噛んでみる。血が一瞬滴るが、すぐにすぅっと消えて、ああ、おいらは本物になったんだ、と思い知る。
 
「――かげ君は」
 
 不老不死の術が成功して一番に思ったのは、あの国の行方でもなんでもなくて、かげ君の願い事。
 おいらが全て叶えてやるんだって、何かうわごとを言っていた記憶はあるが、どうなったかは知らない。
 かげ君の願い事は、全て叶ったかな。
 
「柘榴様――目覚めたのですか」
「――字環。かげ君は?」
「貴方が助けたよ。陽炎さんは、今、痛み虫を一番持ってる人間の元に向かってる」
 
 ――何故?
 何故、かげ君が、そんなところへ? だって、おいらが居れば、かげ君は無事でしょう? かげ君が死ぬまで側で守ってあげるよ。もう明日死んだって良いなんて覚悟はしなくてすむんだから、無茶出来るし、無鉄砲なことも出来るよ。
 きみのためなら、何だってしてあげる。
 
「――迎えに行かなきゃ」
「柘榴様? ちょ、ちょっと、いきなりそんな術、使わないで! 何処へ向かおうというんです?!」
 
 かげ君には、おいらが居なきゃいけないんだ。
 鴉のにーさんだってかげ君には幸せの材料だけど、一番はおいらの保護なんだから。
 おいらは、風を呼び寄せ、数式を唱える。
 
「柘榴様! 蒼、蒼、大変だ、柘榴様が!!」
 
 雑音は聞こえない。
 もう、――聞く必要は無い。
 
 だって、世界最強の環に入ったんだから、その他大勢の声なんて聞かなくていいだろ。
 おいらの耳に入って良いのは、あの人の声だけ。
 
 あんたの願い事、全部叶えてあげちゃう。だから、もう傷つかないで、傷ついて泣かないで。
 世界で誰がどうなろうと知った事じゃない、君が望むなら、誰だって不幸にしてやる。
 だから、おいらの側から離れないで。ずっと側で、馬鹿やっていたいんだ。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

【完結】元魔王、今世では想い人を愛で倒したい!

N2O
BL
元魔王×元勇者一行の魔法使い 拗らせてる人と、猫かぶってる人のはなし。 Special thanks illustration by ろ(x(旧Twitter) @OwfSHqfs9P56560) ※独自設定です。 ※視点が変わる場合には、タイトルに◎を付けます。

超絶美麗な美丈夫のグリンプス ─見るだけで推定一億円の男娼でしたが、五倍の金を払ったら溺愛されて逃げられません─

藜-LAI-
BL
ヤスナの国に住む造り酒屋の三男坊で放蕩者のシグレは、友人からある日、なんでもその姿を見るだけで一億円に相当する『一千万ゼラ』が必要だという、昔話に準えて『一目千両』と呼ばれる高級娼婦の噂を聞く。 そんな中、シグレの元に想定外の莫大な遺産が入り込んだことで、『一目千両』を拝んでやろうと高級娼館〈マグノリア〉に乗り込んだシグレだったが、一瞬だけ相見えた『一目千両』ことビャクは、いけ好かない高慢ちきな美貌のオトコだった!? あまりの態度の悪さに、なんとかして見る以外のことをさせようと、シグレは破格の『五千万ゼラ』を用意して再び〈マグノリア〉に乗り込んだのだが… 〜・Å・∀・Д・ω・〜・Å・∀・Д・ω・〜 シグレ(26) 造り酒屋〈龍海酒造〉の三男坊 喧嘩と玄人遊びが大好きな放蕩者 ビャク(30〜32?) 高級娼館〈マグノリア〉の『一目千両』 ヤスナでは見かけない金髪と翠眼を持つ美丈夫 〜・Å・∀・Д・ω・〜・Å・∀・Д・ω・〜 Rシーンは※をつけときます。

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

どこにでもある話と思ったら、まさか?

きりか
BL
ストロベリームーンとニュースで言われた月夜の晩に、リストラ対象になった俺は、アルコールによって現実逃避をし、異世界転生らしきこととなったが、あまりにありきたりな展開に笑いがこみ上げてきたところ、イケメンが2人現れて…。

あと一度だけでもいいから君に会いたい

藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。 いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。 もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。 ※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります

後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…

まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。 5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。 相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。 一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。 唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。 それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。 そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。 そこへ社会人となっていた澄と再会する。 果たして5年越しの恋は、動き出すのか? 表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

処理中です...