【BL】星座に愛された秘蔵の捨てられた王子様は、求愛されやすいらしい

かぎのえみずる

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第七部 鬼夢花

第十話 みんなが幸せになる方法

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「お前なら、何か見つけそうだ」
「……かげ君」
「……――お人好しのついでだ、お前、見つけてみろよ。な、説歌いとして、じゃなく、柘榴としての答え、でさ」
「……――うん、そうだね……有難う、かげ君。でも、これってかげ君の役目じゃない?」
「……俺は、ずるして楽して、終わるのを待つ。自分から動いたり、何か考えるの嫌いなんだよ。得意じゃないし。頭脳プレーは他の奴らがしてくれるから、一人くらいこういう奴が居たっていいだろ」
「……無気力キャラなんだね、実はあんたって」

 柘榴は苦笑して、半分に分けられたミカンの実を全部大口で口に放り込み、もぐもぐと食べる。
 ミカンは甘くて美味しい――陽炎の果物を見る目は中々によかったみたいだ。

「かげ君、一緒に考えようよ、皆が幸せになる方法をさー」
「そんなもん、ねぇよ。あったら、世の中にプラスマイナスとかなくなるし」
「ひねくれ者ー、一緒に考えてよー」
「……――お前的には、蒼刻一倒せばそれでいいんじゃないか? 他の皆もそうなんじゃないの?」
「それがね、そうもいかなくなってね」

 蒼刻一のことは許せないけれど、理解してしまったのだから、許すしか手段はなくなった。
 何故か、己の血が騒ぐのだ、彼を許せ、と――だから、同族が許すことはなくとも、己だけは許してやらなければと思った。
 それが、彼を殺さないで、星座の解放という手段だった。

「でもそれ言うと兄さん、ぶち切れそうだよなぁ」
「うん。あの人、おいらにだけ厳しいしね。おいらに対してだけ、ものっそ怖いしね!」
「あれはでも認めてる部類だと思うよ。兄さん興味なかったら、笑顔でやり過ごす人だもの。笑顔でその人のためにならないことをもっともらしく言って説得して、駄目なことさせるもん。つっかかってるところを見る限りでは、話し相手としても少しは楽しい――んじゃないかなぁ。期待されてると思う」
「かげ君には、穏やかに笑顔に話すけどあれはどうなの?」
「あれは、特別扱い。牡羊座の俺に対する感情に近いかな。あの人に家庭を与えたから、敬われてるんだよ。だから、並の扱いじゃないから、比べたら駄目なわけ」
「ふぅん」

 柘榴はこくりと頷くと、みかんに手をまた伸ばそうとするが、時計を見てもうすぐ夕飯の時間かと思うと、やめておこうと、手を退けて、畳の上に下ろす。
 そして窓から夕暮れを見やり、ふむ、と呟く――。
 
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