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第七部 鬼夢花
第六話 和王と謁見
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白雪は目を見開き、一同を代表して、菫は? と聞く。
「ああ、バイオレット様は別の仕事がありますので――本当は迎えに行くのも別の者だったのですが、どうしてもと仰るのでお任せしたのですよ。陽炎様へ伝言です、戌の刻に話がしたいそうです」
「――そ、そっか。えっと、誰かを連れて行くのはいいか?」
「出来れば二人きりがいいそうです――返事はどうされますか?」
「いいですよ、行ってきてください。そこで聞いてくださいな。信じてますからね、陽炎」
鴉座が横から口を挟み、オーケイを出した。
陽炎は驚いて鴉座を見やるが、鴉座はにこりと微笑んで、じゃあ行きましょう、と使いの者に城内案内を任せた。
陽炎は鴉座の考えていることが判らなくて顔をしかめて、思わず蟹座に視線を向けると、蟹座は苦笑していた。
後で聞けば「奴なりの虚勢なんだ」だそうだが。
白雪と牡羊座と蓮見、その後ろに陽炎と鴉座、その後ろに柘榴と大犬座、とその後ろは星座達でぞろぞろと移動している。先導の使いの者は、使いが多すぎると吃驚しながら、此方へ、と招く。
そして、簾がかかってる間にまで行くと、そこで使いの者は額を畳につける角度で、正座し礼をしている。
白雪は、皆を振り返り、「あれを真似てね」と視線で訴えて、同じことをする。
一同はそれに続き、真似ると――簾の奥から声が聞こえる。
「――大きくなったな、雪坊主。……――否、もう坊主ではないか」
「お久しゅう御座います、殿下――此度は、謁見してくださり有難う御座います。城での滞在までお許し下さって、感謝致します」
「堅苦しい。楽にせよ、面をあげい、皆の者。――それで、その隣の子は? もう一人、子供がいるな?」
「――ああと、私の子供と、妖術師の従者です」
「プラネタリウム――か?」
「ああ、流石殿下。知ってらっしゃいましたか」
白雪は顔をあげながら、にこりと微笑み――頷いた。
それを気配で感じ取り、陽炎たちも顔をあげる――。
「――ほう、それでそこの人間二人は誰だ?」
「愚弟の陽炎と、その友人柘榴です。柘榴という者は、妖術に長けてまして――」
柘榴はその一言が少し嬉しかった。
初めて白雪に妖術の腕を認められた気がして、少しにやつきそうだったので、顔を俯けた。
星座達は何となくそれが判ったので、顔を見合わせて笑い合ってしまった。
白雪は翡翠と何か難しい話をしあった後、簾を部下が少しあげて、少し見えた姿が笑った気配がした。
「――蓮見、此方へ来い。犬も近う」
「……パパ?」
「行っておいで、蓮見、大犬の仔――」
「蓮見ちゃん、行くわよ。ほら、来てやったわよ、この幼児愛好者」
「――っはは、威勢がいいな。ほう、蓮見は女児のような顔をしているな……かといって男児の顔がないわけではない……」
「あたしにも蓮見ちゃんにもセクハラ禁止よ」
「大丈夫だ。予は子供は好きだが、そんな対象となるのはきちんと大人だ――多分、な……」
大犬座の態度が気に入ったのか、翡翠は快活に笑いながら、近くに寄って簾のなかに入った二人の頭を撫でて、それから蓮見と大犬座を己の胡座をかいてる膝に乗せる。
「黒雪、語弊だ。――ロリコン、ショタコンではない。予は、ただ子供を愛らしく思うだけだ」
「いやぁ、遠慮なさらず」
「――首を跳ねられたいか」
くすくすと笑って、白雪にそんなことを言われても機嫌が良いのは、確実に二人のお陰で。白雪は、語弊じゃないジャン、と苦笑してそれは心の内に留めておくことにした。
「そのほう、何日滞在する?」
「――そうですねぇ、二週間くらいで纏まればいいなぁなんて思うんですけれど、無理でしょう? だから一ヶ月かなぁ、なんて思ってます」
「その間、この二人だけは予に会うのは制約なしとする――それと、黒雪、そちもな」
「はっ、有難き幸せに御座い……」
白雪はそこでまた流れるようなゆったりとした動作で頭をさげる。
それに一人つられて頭をさげて、すぐに周りがさげてないのに気付き、顔をあげた陽炎。 彼に気付いたか、翡翠が、簾の中で陽炎に興味を示す。
(――あの目は……)
「ああ、バイオレット様は別の仕事がありますので――本当は迎えに行くのも別の者だったのですが、どうしてもと仰るのでお任せしたのですよ。陽炎様へ伝言です、戌の刻に話がしたいそうです」
「――そ、そっか。えっと、誰かを連れて行くのはいいか?」
「出来れば二人きりがいいそうです――返事はどうされますか?」
「いいですよ、行ってきてください。そこで聞いてくださいな。信じてますからね、陽炎」
鴉座が横から口を挟み、オーケイを出した。
陽炎は驚いて鴉座を見やるが、鴉座はにこりと微笑んで、じゃあ行きましょう、と使いの者に城内案内を任せた。
陽炎は鴉座の考えていることが判らなくて顔をしかめて、思わず蟹座に視線を向けると、蟹座は苦笑していた。
後で聞けば「奴なりの虚勢なんだ」だそうだが。
白雪と牡羊座と蓮見、その後ろに陽炎と鴉座、その後ろに柘榴と大犬座、とその後ろは星座達でぞろぞろと移動している。先導の使いの者は、使いが多すぎると吃驚しながら、此方へ、と招く。
そして、簾がかかってる間にまで行くと、そこで使いの者は額を畳につける角度で、正座し礼をしている。
白雪は、皆を振り返り、「あれを真似てね」と視線で訴えて、同じことをする。
一同はそれに続き、真似ると――簾の奥から声が聞こえる。
「――大きくなったな、雪坊主。……――否、もう坊主ではないか」
「お久しゅう御座います、殿下――此度は、謁見してくださり有難う御座います。城での滞在までお許し下さって、感謝致します」
「堅苦しい。楽にせよ、面をあげい、皆の者。――それで、その隣の子は? もう一人、子供がいるな?」
「――ああと、私の子供と、妖術師の従者です」
「プラネタリウム――か?」
「ああ、流石殿下。知ってらっしゃいましたか」
白雪は顔をあげながら、にこりと微笑み――頷いた。
それを気配で感じ取り、陽炎たちも顔をあげる――。
「――ほう、それでそこの人間二人は誰だ?」
「愚弟の陽炎と、その友人柘榴です。柘榴という者は、妖術に長けてまして――」
柘榴はその一言が少し嬉しかった。
初めて白雪に妖術の腕を認められた気がして、少しにやつきそうだったので、顔を俯けた。
星座達は何となくそれが判ったので、顔を見合わせて笑い合ってしまった。
白雪は翡翠と何か難しい話をしあった後、簾を部下が少しあげて、少し見えた姿が笑った気配がした。
「――蓮見、此方へ来い。犬も近う」
「……パパ?」
「行っておいで、蓮見、大犬の仔――」
「蓮見ちゃん、行くわよ。ほら、来てやったわよ、この幼児愛好者」
「――っはは、威勢がいいな。ほう、蓮見は女児のような顔をしているな……かといって男児の顔がないわけではない……」
「あたしにも蓮見ちゃんにもセクハラ禁止よ」
「大丈夫だ。予は子供は好きだが、そんな対象となるのはきちんと大人だ――多分、な……」
大犬座の態度が気に入ったのか、翡翠は快活に笑いながら、近くに寄って簾のなかに入った二人の頭を撫でて、それから蓮見と大犬座を己の胡座をかいてる膝に乗せる。
「黒雪、語弊だ。――ロリコン、ショタコンではない。予は、ただ子供を愛らしく思うだけだ」
「いやぁ、遠慮なさらず」
「――首を跳ねられたいか」
くすくすと笑って、白雪にそんなことを言われても機嫌が良いのは、確実に二人のお陰で。白雪は、語弊じゃないジャン、と苦笑してそれは心の内に留めておくことにした。
「そのほう、何日滞在する?」
「――そうですねぇ、二週間くらいで纏まればいいなぁなんて思うんですけれど、無理でしょう? だから一ヶ月かなぁ、なんて思ってます」
「その間、この二人だけは予に会うのは制約なしとする――それと、黒雪、そちもな」
「はっ、有難き幸せに御座い……」
白雪はそこでまた流れるようなゆったりとした動作で頭をさげる。
それに一人つられて頭をさげて、すぐに周りがさげてないのに気付き、顔をあげた陽炎。 彼に気付いたか、翡翠が、簾の中で陽炎に興味を示す。
(――あの目は……)
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