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第六部~梅花悲嘆~
第五話 プラネタリウムを解放する手段
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星座達の解放、それは柘榴がプラネタリウムを手にしたときから、考えていた二人の目標だった。白雪に聞けばいいとも陽炎は思ったが、柘榴が意地でも嫌だと言い張り、長い間、二人で一生懸命文献を探していた。最終的には教科書に頼ることになり、そこで陽炎には読めない文字だらけだったので、陽炎は退かされて、柘榴に任せることになったが。教科書に書いてあったのだろうか、と陽炎は喜ぶ。
「……本当に!?」
「……――ただね、その後、解放された星座達をどうするか、なんだよね、問題は」
「……誰かが主人になればいいんじゃないの? 俺とかお前とか」
「――道具を介してじゃない妖仔はね、多く手に入れると寿命を減らすんだよ。蒼刻一が不老不死にしようとしたのは、そういうことだ。多分、おいらとかげ君に星座達を任せたかったんだろうけれど、生憎おいらたちはいつだって死ねる。だから――不死にして、寿命を永遠にしようとしたんだ」
柘榴は、プラネタリウムを発動させて、室内に綺麗に星の足りない夜空を作り出す。
自分が手にしたときよりかは、星が増えているが、この中に見えない星もあるのかもしれないと思うと、不思議だった。
「……――かげ君、寿命をなくしながら星座と過ごすのと、不老不死になりながら星座と過ごすの、どれがいい?」
「……そうだなぁ……どうなんだろうなぁ」
陽炎は深くため息をついて、先を考える。
鴉座は勿論引き取るとして、他の星座をどう引き取ろうか。
他者に流すのは危険だと悪魔呼ばわりされたとき、思い知った。
――例えば、己が死んだとして、その先、誰が引き取ってくれるのだろうか、彼らを。
もし己が死んだら、彼らは誰を主人として過ごすのだろうか。
もしかしたらプラネタリウムの仕組みは、主人との思い出を消して、星座が悲しみを覚えない為のものなのかもしれない。
「ちょっと考えて、いいかな」
「ん」
「柘榴は決めたの?」
「ああ。決めたよ。おいらは――不老不死になる。蒼刻一が居なくなった場合、おいらが見守るんだ。一族を。だから、さ。かげ君が寿命をなくしながら、を選んでも平気だかんねー」
柘榴がけらけら笑って自分の部屋に戻る、それを眺めて陽炎は強いな、と思いながら見送った。ふと、何故蒼刻一を許したのに、彼が居ないこと前提の話しなのだろうと思ったが、気にしないことにした。
(俺は、お前みたいに強くないから。少し、不老不死が怖いんだ――)
蒼刻一が、不老不死がどんなものかを語っている。
彼の存在が、彼の白さが、彼のねじ曲がった性格が、どんなに壮絶かを語っている。
弱くあることは許されない――弱いことは苦痛に繋がるから。死ねない体では、ただの苦痛だから。逃げることも許されない。長い時間をかけて、問題も解決していかなければならない。
そんなとき、弱いままでは駄目だ。
だから、陽炎は柘榴なら大丈夫だろう、という気持ちがあった。
「……俺は、どうなんだろう。何が、俺の最後なんだろう……」
「かげろちゃ」
「ん、どうした? 蓮見、その袋……」
「中、クッキー。美味しそう。食べて、い?」
袋はともかく、中を見てみると美味しそうなクッキーだったので、家の中にあったのだし大丈夫だろうと、陽炎は頷く。
――陽炎は忘れていたのだ、蠍座の存在を。
食べて、体内に蓮見が取り入れた瞬間、ぼんっと音を立てて、そこには――少年の姿があって、蓮見の姿はなかった。
「れ? は、すみ?」
「何? かげろちゃん?」
少年が返事をした――陽炎は目がこぼれ落ちるのではないだろうかというくらい、見開き、叫んだ。
「……本当に!?」
「……――ただね、その後、解放された星座達をどうするか、なんだよね、問題は」
「……誰かが主人になればいいんじゃないの? 俺とかお前とか」
「――道具を介してじゃない妖仔はね、多く手に入れると寿命を減らすんだよ。蒼刻一が不老不死にしようとしたのは、そういうことだ。多分、おいらとかげ君に星座達を任せたかったんだろうけれど、生憎おいらたちはいつだって死ねる。だから――不死にして、寿命を永遠にしようとしたんだ」
柘榴は、プラネタリウムを発動させて、室内に綺麗に星の足りない夜空を作り出す。
自分が手にしたときよりかは、星が増えているが、この中に見えない星もあるのかもしれないと思うと、不思議だった。
「……――かげ君、寿命をなくしながら星座と過ごすのと、不老不死になりながら星座と過ごすの、どれがいい?」
「……そうだなぁ……どうなんだろうなぁ」
陽炎は深くため息をついて、先を考える。
鴉座は勿論引き取るとして、他の星座をどう引き取ろうか。
他者に流すのは危険だと悪魔呼ばわりされたとき、思い知った。
――例えば、己が死んだとして、その先、誰が引き取ってくれるのだろうか、彼らを。
もし己が死んだら、彼らは誰を主人として過ごすのだろうか。
もしかしたらプラネタリウムの仕組みは、主人との思い出を消して、星座が悲しみを覚えない為のものなのかもしれない。
「ちょっと考えて、いいかな」
「ん」
「柘榴は決めたの?」
「ああ。決めたよ。おいらは――不老不死になる。蒼刻一が居なくなった場合、おいらが見守るんだ。一族を。だから、さ。かげ君が寿命をなくしながら、を選んでも平気だかんねー」
柘榴がけらけら笑って自分の部屋に戻る、それを眺めて陽炎は強いな、と思いながら見送った。ふと、何故蒼刻一を許したのに、彼が居ないこと前提の話しなのだろうと思ったが、気にしないことにした。
(俺は、お前みたいに強くないから。少し、不老不死が怖いんだ――)
蒼刻一が、不老不死がどんなものかを語っている。
彼の存在が、彼の白さが、彼のねじ曲がった性格が、どんなに壮絶かを語っている。
弱くあることは許されない――弱いことは苦痛に繋がるから。死ねない体では、ただの苦痛だから。逃げることも許されない。長い時間をかけて、問題も解決していかなければならない。
そんなとき、弱いままでは駄目だ。
だから、陽炎は柘榴なら大丈夫だろう、という気持ちがあった。
「……俺は、どうなんだろう。何が、俺の最後なんだろう……」
「かげろちゃ」
「ん、どうした? 蓮見、その袋……」
「中、クッキー。美味しそう。食べて、い?」
袋はともかく、中を見てみると美味しそうなクッキーだったので、家の中にあったのだし大丈夫だろうと、陽炎は頷く。
――陽炎は忘れていたのだ、蠍座の存在を。
食べて、体内に蓮見が取り入れた瞬間、ぼんっと音を立てて、そこには――少年の姿があって、蓮見の姿はなかった。
「れ? は、すみ?」
「何? かげろちゃん?」
少年が返事をした――陽炎は目がこぼれ落ちるのではないだろうかというくらい、見開き、叫んだ。
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