【BL】星座に愛された秘蔵の捨てられた王子様は、求愛されやすいらしい

かぎのえみずる

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第五部ー君の眠りは僕には辛すぎてー

第九話 悪魔は笑う

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「お帰りね、ぼくちゃん。ゴハンにする? お風呂にする? 残りの選択肢はぼかぁゴーストに言われたいねぇ」

 げらげらと笑いながら褐色の肌の少年はげらげらと笑う。
 大きな大きな墨よりも黒い瞳。猫のような目つきで、口元も何処か猫口だ。
 赤い髪の毛を弄りながら、寒そうな己の、絵本に出てくるアラビアンテイストな、服装を気にすることもなく、にやーっと笑い、戻ってきた呉を出迎える。
 それに呉は驚くことなく自然なことのように、子供も怯えるような視線をやってから、ちらりと辺りを見回した。
 それから、ため息をつく。
 
「あの馬鹿妖仔は、また鴉座の所か!」
「――裏切ってるねー、どんどん。でもね、ぼくちゃん、良い情報欲しい? ぼかぁ無料で提供するのが役目だからね、あげちゃうんだね」

 得体の知れぬ笑みが、呉を少し不安に駆り立てる。
 この男の笑みは何もかもが嘘くさい。
 嘘くさいというか、胡散臭い。そこらへんで一つ銅貨十枚の品を、一つ銀貨二枚で売ってるような、微妙な嘘くささが漂う。
 だが今、彼には己に嘘をついて得られる利点はないので、少し考え抜いた結論は、聞く、だった。
 
「白雪という向こうの味方が裏切るのは、間違いないね」
「何故だ? そいつは調べた所によると、カゲロウとやらの兄で蘇らせた恩があるじゃねぇか」
「……――そいつの息子の未来を、ご主人が握ってる。彼ら兄弟は、母国に良い思い出がないって言えば、お分かりかね? 仮ご主人」
 
 ――つまり、蒼刻一が裏切るよう脅しをかけている、ということだ。
 妖術師が味方に加わることは有難い、早速彼を含めての計画を練ることにした――。
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