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第三部 第二章――聖女
第二十一話 初めて意思を持って会話してくれた人形
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――陽炎は次の日、また痛み虫を受けて月を作るための攻撃を受けていた。
だがどれも月にはならないし、巧く攻撃は吸収されにくかったので、痛みを忘れさせられる妖術をかけられた。
それを見ても、蟹座はもう駆け寄らない。
己は駆け寄ってはいけない、と覚悟し、唇を噛みしめ、鴉座を見やる。
陽炎はあれからこっそりと己に、「白銀陽には気持ち確かめる前にフられたよ」と告げられた。
蟹座はそれを聞き、妥協で鴉座か、と聞けば、違うと言ったので、それを信じている。
鴉座は闇の天井に羽ばたき留まり、不安そうに見つめている。
(そんな目をするならば、何故迎えに行かないのだ――お前は選ばれたのに)
蟹座はため息をつきながら、いつまでも迎えに行く気配がなさそうだったので、己が迎えに行き、俵を抱えるように陽炎を抱えた。
黒雪はだが珍しくこの日は心配し、どうやら酷いのを浴びせてしまったようでそれが治らないから、と部屋までやってきた。
陽炎が目を覚ます頃には己は部屋に居て、側には黒雪が懸命に怪我の治療をしていた。
「何だよ、いつもこんなことしてたわけ?」
起きあがりかけて、それからイテェと悲鳴をあげる陽炎に黒雪は狼狽えて、ごめん、と静かに謝った――。
いつも余裕の黒雪がこんなにも真剣に謝るのは初めてで、不気味さを覚えてる陽炎。
それに気づいた黒雪は苦笑して、陽炎の髪の毛を片手で梳かすように撫でた。
「オレはね、人は嫌いだけど、君は別なんだよ――妖仔を人並みに扱えて、異様に怯えたりしない君は。妖仔扱いをオレにしないからかな。オレは妖仔のようだって言われ続けてきた。君は怯えるけれど、オレを人としてみてる」
「――……黒雪」
「ブラコンだと、思う、よ、多分。妹には此処まで執着しない。ああ、それとも初めて同性の兄弟だから、嬉しいのかな」
「黒雪、俺はどんなに優しい言葉をかけられても、お前のしたことは許さない。お前が牡羊座にしていることを」
「嗚呼、彼女が誰だか判ったんだね。どうして、だろうね。彼女は星座だって判ってるのに。彼女はどうにも、負の琴線に触れやすいようだ――」
紳士失格だね、と黒雪は一瞬苦しそうな笑みを向けるが、それでも陽炎は冷たい目を向ける。
妖術に執着する彼は、妖仔にだけは優しいのは確実だった。
それなのに、人間のように彼女を扱う、人間に対するように苛つくということは――思い当たるものはただ一つ。
「――何だ、俺と妖仔の関係の実験じゃなくて、お前の実験になってるじゃないか」
「そう、なのかな。彼女の腹を見て胸が騒ぐのは、人と妖術の交ざり仔だからじゃないのかな」
黒雪は瞳を瞬かせて、きょとんとしてから、本心から問うてみる。陽炎はため息をついて、己に答えるように質問に答える。
その姿を見て、やはり優しいのだな、と黒雪はばれないよう苦笑した。
「――切っ掛けは、何だったの、そんなことになる切っ掛けは」
「……どうしたの、怒ってるんじゃないの? 今日は、やけに口をきいてくれるね、普通の兄弟みたいにさ」
言われてから陽炎は、これでは事情によっては許すと言ってるような物だと黒雪の言葉で気づき、口を噤んだ。
その様子を見て、くすくすと笑った後、彼はサングラスを外す。
不気味な、その瞳を――黒い黒い人形のようなビー玉の眼。
「この目を、罵ったんだ」
「むかついたの?」
「いいや。別に。何とも思わなかった。ただね、この目が黒飴みたいって言われて、笑った。楽しかった。そんな罵り方する人、初めてだったから」
その言葉は全て真実。
黒雪はこの目で生まれた日から、ずっと妖仔のようだと罵られ続けて、己でも気づかぬ間に妖仔が一番身近で、人間は遠い存在のように思えていた。
「この人形が」「お前は王の妖仔か」――そんな罵られ方ばかりだった。
そしてそんな罵りをする人にも、罵り方にも慣れているので、もう何を言われても痛みを感じず、にこりと微笑むくらいは手折るより容易いことだった。
話し相手は赤蜘蛛か、己の作った喋らないプログラムの反応しかしない妖仔だった。
(お願い、喋ってよ――お願いだから、君の意志で何か喋ってよ)
妖仔に無茶な注文をした日もあった。
だからプラネタリウムの存在を知ったときは、青天の霹靂。感動で体が歓喜の震えで響いた。
己の意志で喋る妖仔、なんて素敵なのだろうか。
目を罵られても平気だったが、それでも流石に妖仔と呼ばれるのは少し寂しかった。
人間でもなく、妖仔でもないと言われ続けてるようで、どちらでもないのか、と悲しかった。
だが彼女だけは、純粋に目だけを罵って人間として憎んだ。
「この黒飴目玉くそ人間!」
その言葉が耳から離れない。
嬉しかったのだ、妖仔とつかないことが。人形と言われなかったことが。
良い意味でも悪い意味でも、人形のようだと言われ続けてきた己が、黒飴だなんて可愛らしいものに例えられるなんて。
「可愛がろうと思ったのに、――君のためにアノコは耐えるんだよ。どんな事も。何処まで耐えられるのか、見てみたかったんだ。でも全てを耐えられるアノコに、苛つきだした――」
黒い瞳が嫉妬で陽炎を照らし、くにっと歪められる。笑みの形を作っているのだろうけれど、陽炎にはそれは寒気のするほど怖い瞳で、心臓を鷲掴みにされている感覚を覚えるのだった。
それを知ってるからこそ、蟹座は陽炎の目をふさぎ、陽炎以上に怯えて動けない鴉座の代わりに守る。
「治療は後はいらん。自然治癒したほうがいいこともあるだろう」
「……君は、怯えないね。何故? 普通なら、怯えるんだけど」
「お前の存在自体、作り物みたいだからだろうな。それに、オレは怯えてはいけない理由がある」
蟹座は視線だけで帰れと告げると、黒雪はくつくつと笑い、立ち上がる。
その様子を蟹座は眺めて、それから鴉座へ視線を投げる。
(お前にも、怯えられない理由があるだろ? こいつを守りたいなら、弓やあの信者のように乗り越えろ。乗り越えて、その先の行動を考えろ)
「蟹の妖仔。君は――少し正直すぎて、オレは嫌いだなぁ。作り物だなんて酷い」
「嫌いで構わん。オレはお前なんか怖くない。オレが怖いのは今も昔もただ一人の無知でぼーっとした馬鹿一人だ」
「美しき霊鳥をそんな風に仰らないでくださいな」
その言葉に鴉座は少し気が緩んだのか、笑みを浮かべ、それから黒雪を威嚇するように睨み付けて、彼が帰っていく様を見送った。
「蟹座、もう平気だから手ェ離してくれよ」
「ああ、判った。陽炎、オレは少し出て行く、いいか、何があってもこの部屋から出るなよ――判ったな。鴉、見張ってろ」
「何しにどちらへ?」
「修道女に呼ばれてる。弓も落ち合う予定だ」
「――もしかして……射手座に打ち明けるのですか? 彼女のことを」
「いつまでも隠してられない、いざというとき、止めに入ってくれと頼まれた。それと、あの不吉な玉を探す。――……お前風に言うなら、我が君の命だ」
そう言って蟹座が姿を消すと、鴉座は目を瞬かせて、不審そうに蟹座の背を目だけで追いかけて、それから陽炎に近づく。
だがどれも月にはならないし、巧く攻撃は吸収されにくかったので、痛みを忘れさせられる妖術をかけられた。
それを見ても、蟹座はもう駆け寄らない。
己は駆け寄ってはいけない、と覚悟し、唇を噛みしめ、鴉座を見やる。
陽炎はあれからこっそりと己に、「白銀陽には気持ち確かめる前にフられたよ」と告げられた。
蟹座はそれを聞き、妥協で鴉座か、と聞けば、違うと言ったので、それを信じている。
鴉座は闇の天井に羽ばたき留まり、不安そうに見つめている。
(そんな目をするならば、何故迎えに行かないのだ――お前は選ばれたのに)
蟹座はため息をつきながら、いつまでも迎えに行く気配がなさそうだったので、己が迎えに行き、俵を抱えるように陽炎を抱えた。
黒雪はだが珍しくこの日は心配し、どうやら酷いのを浴びせてしまったようでそれが治らないから、と部屋までやってきた。
陽炎が目を覚ます頃には己は部屋に居て、側には黒雪が懸命に怪我の治療をしていた。
「何だよ、いつもこんなことしてたわけ?」
起きあがりかけて、それからイテェと悲鳴をあげる陽炎に黒雪は狼狽えて、ごめん、と静かに謝った――。
いつも余裕の黒雪がこんなにも真剣に謝るのは初めてで、不気味さを覚えてる陽炎。
それに気づいた黒雪は苦笑して、陽炎の髪の毛を片手で梳かすように撫でた。
「オレはね、人は嫌いだけど、君は別なんだよ――妖仔を人並みに扱えて、異様に怯えたりしない君は。妖仔扱いをオレにしないからかな。オレは妖仔のようだって言われ続けてきた。君は怯えるけれど、オレを人としてみてる」
「――……黒雪」
「ブラコンだと、思う、よ、多分。妹には此処まで執着しない。ああ、それとも初めて同性の兄弟だから、嬉しいのかな」
「黒雪、俺はどんなに優しい言葉をかけられても、お前のしたことは許さない。お前が牡羊座にしていることを」
「嗚呼、彼女が誰だか判ったんだね。どうして、だろうね。彼女は星座だって判ってるのに。彼女はどうにも、負の琴線に触れやすいようだ――」
紳士失格だね、と黒雪は一瞬苦しそうな笑みを向けるが、それでも陽炎は冷たい目を向ける。
妖術に執着する彼は、妖仔にだけは優しいのは確実だった。
それなのに、人間のように彼女を扱う、人間に対するように苛つくということは――思い当たるものはただ一つ。
「――何だ、俺と妖仔の関係の実験じゃなくて、お前の実験になってるじゃないか」
「そう、なのかな。彼女の腹を見て胸が騒ぐのは、人と妖術の交ざり仔だからじゃないのかな」
黒雪は瞳を瞬かせて、きょとんとしてから、本心から問うてみる。陽炎はため息をついて、己に答えるように質問に答える。
その姿を見て、やはり優しいのだな、と黒雪はばれないよう苦笑した。
「――切っ掛けは、何だったの、そんなことになる切っ掛けは」
「……どうしたの、怒ってるんじゃないの? 今日は、やけに口をきいてくれるね、普通の兄弟みたいにさ」
言われてから陽炎は、これでは事情によっては許すと言ってるような物だと黒雪の言葉で気づき、口を噤んだ。
その様子を見て、くすくすと笑った後、彼はサングラスを外す。
不気味な、その瞳を――黒い黒い人形のようなビー玉の眼。
「この目を、罵ったんだ」
「むかついたの?」
「いいや。別に。何とも思わなかった。ただね、この目が黒飴みたいって言われて、笑った。楽しかった。そんな罵り方する人、初めてだったから」
その言葉は全て真実。
黒雪はこの目で生まれた日から、ずっと妖仔のようだと罵られ続けて、己でも気づかぬ間に妖仔が一番身近で、人間は遠い存在のように思えていた。
「この人形が」「お前は王の妖仔か」――そんな罵られ方ばかりだった。
そしてそんな罵りをする人にも、罵り方にも慣れているので、もう何を言われても痛みを感じず、にこりと微笑むくらいは手折るより容易いことだった。
話し相手は赤蜘蛛か、己の作った喋らないプログラムの反応しかしない妖仔だった。
(お願い、喋ってよ――お願いだから、君の意志で何か喋ってよ)
妖仔に無茶な注文をした日もあった。
だからプラネタリウムの存在を知ったときは、青天の霹靂。感動で体が歓喜の震えで響いた。
己の意志で喋る妖仔、なんて素敵なのだろうか。
目を罵られても平気だったが、それでも流石に妖仔と呼ばれるのは少し寂しかった。
人間でもなく、妖仔でもないと言われ続けてるようで、どちらでもないのか、と悲しかった。
だが彼女だけは、純粋に目だけを罵って人間として憎んだ。
「この黒飴目玉くそ人間!」
その言葉が耳から離れない。
嬉しかったのだ、妖仔とつかないことが。人形と言われなかったことが。
良い意味でも悪い意味でも、人形のようだと言われ続けてきた己が、黒飴だなんて可愛らしいものに例えられるなんて。
「可愛がろうと思ったのに、――君のためにアノコは耐えるんだよ。どんな事も。何処まで耐えられるのか、見てみたかったんだ。でも全てを耐えられるアノコに、苛つきだした――」
黒い瞳が嫉妬で陽炎を照らし、くにっと歪められる。笑みの形を作っているのだろうけれど、陽炎にはそれは寒気のするほど怖い瞳で、心臓を鷲掴みにされている感覚を覚えるのだった。
それを知ってるからこそ、蟹座は陽炎の目をふさぎ、陽炎以上に怯えて動けない鴉座の代わりに守る。
「治療は後はいらん。自然治癒したほうがいいこともあるだろう」
「……君は、怯えないね。何故? 普通なら、怯えるんだけど」
「お前の存在自体、作り物みたいだからだろうな。それに、オレは怯えてはいけない理由がある」
蟹座は視線だけで帰れと告げると、黒雪はくつくつと笑い、立ち上がる。
その様子を蟹座は眺めて、それから鴉座へ視線を投げる。
(お前にも、怯えられない理由があるだろ? こいつを守りたいなら、弓やあの信者のように乗り越えろ。乗り越えて、その先の行動を考えろ)
「蟹の妖仔。君は――少し正直すぎて、オレは嫌いだなぁ。作り物だなんて酷い」
「嫌いで構わん。オレはお前なんか怖くない。オレが怖いのは今も昔もただ一人の無知でぼーっとした馬鹿一人だ」
「美しき霊鳥をそんな風に仰らないでくださいな」
その言葉に鴉座は少し気が緩んだのか、笑みを浮かべ、それから黒雪を威嚇するように睨み付けて、彼が帰っていく様を見送った。
「蟹座、もう平気だから手ェ離してくれよ」
「ああ、判った。陽炎、オレは少し出て行く、いいか、何があってもこの部屋から出るなよ――判ったな。鴉、見張ってろ」
「何しにどちらへ?」
「修道女に呼ばれてる。弓も落ち合う予定だ」
「――もしかして……射手座に打ち明けるのですか? 彼女のことを」
「いつまでも隠してられない、いざというとき、止めに入ってくれと頼まれた。それと、あの不吉な玉を探す。――……お前風に言うなら、我が君の命だ」
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