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第三部――序章 滑稽な次期王の一人きりによる懺悔劇
第二話 暴君の与えた恐怖属性
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「夜に欠かせない物が何だか判るかな――?」
穏やかな声で紫の皇子は、緑の皇子へと歩み寄る。
緑の皇子は妖術により何か痛みを与えられたが、最早許容範囲以上の痛み虫が体に巣くっているので中々に、その痛みを覚えられない。
妖術で与えた痛みは、大きすぎるダメージだからか緑の皇子はぐったりと床に倒れている。
だがお構いなしに紫の皇子は彼へ歩み寄ってから、立ちなさいと静かにお願いをする。
言ってる言葉は命令なのに、口調が優しく、声が酷く穏やかで優しいから、それはお願い事に聞こえる。
紫の皇子――紫色の髪をして紫の衣服に身を包ませる黒雪という人間は、そういう口調が得意で、容易に一回言葉を聞いただけでは悪意を感じ取れない男だった。
それに対して、激痛の走る体に叫びを堪えながらも上体を必死に起こしている緑の皇子――緑色の衣服に身を包ませた陽炎という人間は、睨みをきかせる。
悪意なんて本気で彼がなかったとしても、そして何も狙いがなかったとしても、陽炎にとっては、この男のどんな声であろうと酷く苛つくものがある。
だから、陽炎は起きあがって見せて、怪我をしている体を見せても、何てことはないと表情だけは作る。例え、額や全身に脂汗が出ていても。
強い弟に賞賛を。黒雪は、柔らかな声のまま手を差し伸べる。だが陽炎は掴む気配がない。
「夜に欠かせないのはね、陽炎君は何だと思うかな――? 闇? 星? 月? 雲?」
「朝だよ。朝がこなければ、夜は夜とは呼ばず、ただの空だ」
陽炎は必死に笑い声を作りながら、息切れする。そして、痛みが限界だったのか、体を再び床に落とす。
床は無情にも冷たい大理石で、痛みが余計に体へ伝達しただけだった。眼鏡が割れなかっただけでも良し、なのだろうか。
黒雪は、暗い広間なのにサングラスを外さずにそのまま陽炎を見つめていて、何処か哀れむような目を向けて、苦笑を浮かべた。
「朝が君に訪れると困るんだよね。太陽が昇れば――太陽が作られてしまえば、星座が全て消えてしまう。オレの狙いとは外れている」
それを呟いた後に、短い数式を口にして陽炎の体にぼんやりとした明かりを点す。
丁度その光の化身をかき抱き、独り占めするように、赤と青の鮮明な男が睨み付けて、黒雪に片手で刃と化している指先を首元に突きつけて、揶揄するように笑う。
「太陽を作らせたくないから、心に痛み虫を作らせないように、お前が与えた失敗作の傷みや記憶も消すのか?」
笑ってはいるが目が笑っていない、それが内心では穏やかではないことを表している。
だが黒雪にはそんな威圧感、己の威圧感で消えてしまう。彼は不思議なほどに威圧感を持っている男だった。
黒雪は睨まれても、彼を見るなり微笑んで――否、陽炎を守るように抱えている彼を微笑ましげに見やり、うん、と頷いた。
素直に頷かれれば男はすぐにでも首元を斯っ切ってやろうかと行動しようとするが、すぐに、闇に似合う声により阻まれる。
「その人をこんな所で殺せば陽炎様が、刑罰を受けて処刑される。お忘れですか、蟹座――」
「……――鴉」
闇に似合う声は、暗い広間がまるで己のためにあしらわれたように彼の外見にも似合っていた。
黒い服装の、少し東洋系の顔立ちの男は広間に紛れても判らないような黒い目で、黒雪を挟む形で蟹座と対峙する彼を睨んでから、止めたい相手である蟹座へ視線を向ける。
「私は貴方が嫌い。貴方も私が嫌い。だけどそれ以上に黒雪が嫌い。お互いにそれは知っているけれど、何のため我慢していると思ってるんです?」
「――お前はどうして落ち着いてられる。こいつが王になるまで、後三ヶ月、その期間に専用妖術師の募集は後一回だ。それもその一回は、あと一週間後だ!」
蟹座は刃を長い人の指に変えて、それを陽炎の体を支える所へあてて、鴉座へ睨み付けて怒鳴りつける。
鴉座はその怒鳴り声には平然とする。彼の八つ当たりには慣れている。
だがその反対から来る威圧感には何時までも慣れないもので、底知れぬ畏怖を感じる。
「しかも、しかもだ。この三年で、陽炎は黄道十二宮を知らぬ間に作られた! 何処に潜んでいるのか判らん! 姿を変えられているからな、そいつが勝手にプラネタリウムを弄った所為で! 同じ十二宮でも気配を感じられん!」
「――蟹の妖仔、プラネタリウムは君の好きな人の所有物だよ。君はまだ彼が好きじゃないか。それなのにどうして、オレがいじれるのかな?」
蟹座の剣幕に、少し狼狽えたような素振りで黒雪は悲しそうな顔をする。だがその声は先ほどと変わらず穏やかで、何処か微笑ましい光景を眺めているような暖かい声。
その声が余計に、彼らを苛つかせるのだと知らずに。否、知ってて発しているのかも知れないが。
「お前の手元にあるのは確実だ。どうせ陽炎の持ち物で、プラネタリウムを包み、それで弄ってるんだろう」
「君たちの頼みの綱みたいに、穴を開けるような事をすればオレが第二主人になるんじゃない? それならば君はオレに逆らえないはず。不思議だね、君は逆らえる」
「そんなの簡単だ。オレはな、厚化粧――」
蟹座が何かを言おうとしたとき、陽炎のうめき声が聞こえ、瞬時に蟹座は口をへの字に結び、言葉を飲み込んだ。
黒雪は何を言おうとしたのかは知らないのか知っているのか判らないが、ただ微笑ましげに、言葉を飲み込んで苛ついているけれど、今にも目が覚めそうな陽炎に戸惑う蟹座へ暖かい笑みを送った。
それが癪に障ったのか、マントを翻し、陽炎を抱えたまま蟹座は連れて帰る。
(昔ならば――昔ならば、平気で口に出来ていた。それなのに、それなのにッ――何故、陽炎が聞いてる場所では、主人をかつて殺したことがあると言えなくなる?!)
蟹座は動揺と怒りをそのままに歩いていたので、出て行く途中でぶつかった女騎士にも目をやらず、謝りもしない。
女騎士は鋭く一瞥をやってから、黒雪と鴉座の居る間へやってきた。
「スノウブラック皇太子、会議のお時間です」
「嗚呼、スリーパー、君か。勝手に此処へ来てはいけないと、幾度となく言ったよね」
先ほどまでの温厚な口調は何処へやら、黒雪は少し低い声で女騎士のスリーパーに彼女にはサングラスで見えない視線を向ける。
スリーパーはその視線にびくりとしたのを鴉座は見逃さなかった。が、黒雪が次期国王だということがあるので、そんな相手の機嫌を損ねるのは大事なのでそのような態度も自然なので、黙って見守る。
「ですが、他の者たちも集まっておりますので……」
「――しょうがないな。判ったよ、もう行く、研究対象は盗まれたからね。鴉の妖仔、陽炎君のフォローよろしくね?」
「……どうして、私が、貴方のフォローを?」
鴉座は単語を一区切りずつ口にして、嘲る。口元は歪ませて、目元は相手を突き刺すように睨んでいる。
それなのに黒雪は己を睨んでる相手に、心から同情してごめんね、と謝罪の言葉を口にした。
「君にはね、オレは甘いようだ。君には教えてあげる。――星座にね、新しい属性が生まれたんだよ、ランダムに現れる。オレが与えた十二宮は確実にその属性なんだけれどね――恐怖属性。オレにのみ、怯えるプログラムを入れてみたんだ。君はそのランダムに当たってしまったようだ……」
黒雪は、申し訳なさそうにもう一度ごめんと謝ってから、スリーパーに冷たく、行くよと声をかけてその場を去っていく。
鴉座はその言葉を聞いて、くすくすと笑い……後から押し寄せる恐怖による嘔吐感に堪える。今にも心臓が止まってしまいそうな程、恐ろしい威圧を感じた。
蟹座を止めるのは、陽炎の身のためもあるが、プログラムの何処かで黒雪に対する絶対的な恐怖により、蟹座に被害が行く前に止めなくてはと思ってしまうのだ。
何せ、此処で陽炎を守れるのは、蟹座しか居ないのだから。悲しいことに、己は非力で情報収集しか出来ない。
それを知ってるからこそ、黒雪は「情報」を与えたのだろう。
黒雪は本当に妖術を愛していて、妖仔を大事にする。ならば人に近くなればなるほど妖術オタクとしては引いてしまうのではないのだろうかと思うのだが、黒雪は鴉座の方が蟹座より人に近い感覚を持っているのだと感じると――その愛は増して、こうやって密かに何かを与えては去っていく。
天才的な妖術オタクにも、判らないことはあるらしい。
「妖仔だからこそ、それ以上の存在としてある人間の貴様から同情されるのはどれ程苦痛か――」
鴉座は、片手で両目を覆い隠し、くつくつと笑うが、その声はやがて震え、途絶え、闇に消えていく――。
(嗚呼、何処かで誰かが神に懺悔をしている――。私も懺悔をしよう……神よ、神よ、私の中の唯一神! 我が愛しの君よ! ――……ごめんなさい、貴方の最大の敵に私は刃向かえないかもしれないです。柘榴、頼む――早く来い。太陽が昇る前に、あの方に朝が訪れる前に……)
「小さき星が月や太陽の光で消えぬうちに――太陽は二つも要らない」
鴉座は一人呟いた。
穏やかな声で紫の皇子は、緑の皇子へと歩み寄る。
緑の皇子は妖術により何か痛みを与えられたが、最早許容範囲以上の痛み虫が体に巣くっているので中々に、その痛みを覚えられない。
妖術で与えた痛みは、大きすぎるダメージだからか緑の皇子はぐったりと床に倒れている。
だがお構いなしに紫の皇子は彼へ歩み寄ってから、立ちなさいと静かにお願いをする。
言ってる言葉は命令なのに、口調が優しく、声が酷く穏やかで優しいから、それはお願い事に聞こえる。
紫の皇子――紫色の髪をして紫の衣服に身を包ませる黒雪という人間は、そういう口調が得意で、容易に一回言葉を聞いただけでは悪意を感じ取れない男だった。
それに対して、激痛の走る体に叫びを堪えながらも上体を必死に起こしている緑の皇子――緑色の衣服に身を包ませた陽炎という人間は、睨みをきかせる。
悪意なんて本気で彼がなかったとしても、そして何も狙いがなかったとしても、陽炎にとっては、この男のどんな声であろうと酷く苛つくものがある。
だから、陽炎は起きあがって見せて、怪我をしている体を見せても、何てことはないと表情だけは作る。例え、額や全身に脂汗が出ていても。
強い弟に賞賛を。黒雪は、柔らかな声のまま手を差し伸べる。だが陽炎は掴む気配がない。
「夜に欠かせないのはね、陽炎君は何だと思うかな――? 闇? 星? 月? 雲?」
「朝だよ。朝がこなければ、夜は夜とは呼ばず、ただの空だ」
陽炎は必死に笑い声を作りながら、息切れする。そして、痛みが限界だったのか、体を再び床に落とす。
床は無情にも冷たい大理石で、痛みが余計に体へ伝達しただけだった。眼鏡が割れなかっただけでも良し、なのだろうか。
黒雪は、暗い広間なのにサングラスを外さずにそのまま陽炎を見つめていて、何処か哀れむような目を向けて、苦笑を浮かべた。
「朝が君に訪れると困るんだよね。太陽が昇れば――太陽が作られてしまえば、星座が全て消えてしまう。オレの狙いとは外れている」
それを呟いた後に、短い数式を口にして陽炎の体にぼんやりとした明かりを点す。
丁度その光の化身をかき抱き、独り占めするように、赤と青の鮮明な男が睨み付けて、黒雪に片手で刃と化している指先を首元に突きつけて、揶揄するように笑う。
「太陽を作らせたくないから、心に痛み虫を作らせないように、お前が与えた失敗作の傷みや記憶も消すのか?」
笑ってはいるが目が笑っていない、それが内心では穏やかではないことを表している。
だが黒雪にはそんな威圧感、己の威圧感で消えてしまう。彼は不思議なほどに威圧感を持っている男だった。
黒雪は睨まれても、彼を見るなり微笑んで――否、陽炎を守るように抱えている彼を微笑ましげに見やり、うん、と頷いた。
素直に頷かれれば男はすぐにでも首元を斯っ切ってやろうかと行動しようとするが、すぐに、闇に似合う声により阻まれる。
「その人をこんな所で殺せば陽炎様が、刑罰を受けて処刑される。お忘れですか、蟹座――」
「……――鴉」
闇に似合う声は、暗い広間がまるで己のためにあしらわれたように彼の外見にも似合っていた。
黒い服装の、少し東洋系の顔立ちの男は広間に紛れても判らないような黒い目で、黒雪を挟む形で蟹座と対峙する彼を睨んでから、止めたい相手である蟹座へ視線を向ける。
「私は貴方が嫌い。貴方も私が嫌い。だけどそれ以上に黒雪が嫌い。お互いにそれは知っているけれど、何のため我慢していると思ってるんです?」
「――お前はどうして落ち着いてられる。こいつが王になるまで、後三ヶ月、その期間に専用妖術師の募集は後一回だ。それもその一回は、あと一週間後だ!」
蟹座は刃を長い人の指に変えて、それを陽炎の体を支える所へあてて、鴉座へ睨み付けて怒鳴りつける。
鴉座はその怒鳴り声には平然とする。彼の八つ当たりには慣れている。
だがその反対から来る威圧感には何時までも慣れないもので、底知れぬ畏怖を感じる。
「しかも、しかもだ。この三年で、陽炎は黄道十二宮を知らぬ間に作られた! 何処に潜んでいるのか判らん! 姿を変えられているからな、そいつが勝手にプラネタリウムを弄った所為で! 同じ十二宮でも気配を感じられん!」
「――蟹の妖仔、プラネタリウムは君の好きな人の所有物だよ。君はまだ彼が好きじゃないか。それなのにどうして、オレがいじれるのかな?」
蟹座の剣幕に、少し狼狽えたような素振りで黒雪は悲しそうな顔をする。だがその声は先ほどと変わらず穏やかで、何処か微笑ましい光景を眺めているような暖かい声。
その声が余計に、彼らを苛つかせるのだと知らずに。否、知ってて発しているのかも知れないが。
「お前の手元にあるのは確実だ。どうせ陽炎の持ち物で、プラネタリウムを包み、それで弄ってるんだろう」
「君たちの頼みの綱みたいに、穴を開けるような事をすればオレが第二主人になるんじゃない? それならば君はオレに逆らえないはず。不思議だね、君は逆らえる」
「そんなの簡単だ。オレはな、厚化粧――」
蟹座が何かを言おうとしたとき、陽炎のうめき声が聞こえ、瞬時に蟹座は口をへの字に結び、言葉を飲み込んだ。
黒雪は何を言おうとしたのかは知らないのか知っているのか判らないが、ただ微笑ましげに、言葉を飲み込んで苛ついているけれど、今にも目が覚めそうな陽炎に戸惑う蟹座へ暖かい笑みを送った。
それが癪に障ったのか、マントを翻し、陽炎を抱えたまま蟹座は連れて帰る。
(昔ならば――昔ならば、平気で口に出来ていた。それなのに、それなのにッ――何故、陽炎が聞いてる場所では、主人をかつて殺したことがあると言えなくなる?!)
蟹座は動揺と怒りをそのままに歩いていたので、出て行く途中でぶつかった女騎士にも目をやらず、謝りもしない。
女騎士は鋭く一瞥をやってから、黒雪と鴉座の居る間へやってきた。
「スノウブラック皇太子、会議のお時間です」
「嗚呼、スリーパー、君か。勝手に此処へ来てはいけないと、幾度となく言ったよね」
先ほどまでの温厚な口調は何処へやら、黒雪は少し低い声で女騎士のスリーパーに彼女にはサングラスで見えない視線を向ける。
スリーパーはその視線にびくりとしたのを鴉座は見逃さなかった。が、黒雪が次期国王だということがあるので、そんな相手の機嫌を損ねるのは大事なのでそのような態度も自然なので、黙って見守る。
「ですが、他の者たちも集まっておりますので……」
「――しょうがないな。判ったよ、もう行く、研究対象は盗まれたからね。鴉の妖仔、陽炎君のフォローよろしくね?」
「……どうして、私が、貴方のフォローを?」
鴉座は単語を一区切りずつ口にして、嘲る。口元は歪ませて、目元は相手を突き刺すように睨んでいる。
それなのに黒雪は己を睨んでる相手に、心から同情してごめんね、と謝罪の言葉を口にした。
「君にはね、オレは甘いようだ。君には教えてあげる。――星座にね、新しい属性が生まれたんだよ、ランダムに現れる。オレが与えた十二宮は確実にその属性なんだけれどね――恐怖属性。オレにのみ、怯えるプログラムを入れてみたんだ。君はそのランダムに当たってしまったようだ……」
黒雪は、申し訳なさそうにもう一度ごめんと謝ってから、スリーパーに冷たく、行くよと声をかけてその場を去っていく。
鴉座はその言葉を聞いて、くすくすと笑い……後から押し寄せる恐怖による嘔吐感に堪える。今にも心臓が止まってしまいそうな程、恐ろしい威圧を感じた。
蟹座を止めるのは、陽炎の身のためもあるが、プログラムの何処かで黒雪に対する絶対的な恐怖により、蟹座に被害が行く前に止めなくてはと思ってしまうのだ。
何せ、此処で陽炎を守れるのは、蟹座しか居ないのだから。悲しいことに、己は非力で情報収集しか出来ない。
それを知ってるからこそ、黒雪は「情報」を与えたのだろう。
黒雪は本当に妖術を愛していて、妖仔を大事にする。ならば人に近くなればなるほど妖術オタクとしては引いてしまうのではないのだろうかと思うのだが、黒雪は鴉座の方が蟹座より人に近い感覚を持っているのだと感じると――その愛は増して、こうやって密かに何かを与えては去っていく。
天才的な妖術オタクにも、判らないことはあるらしい。
「妖仔だからこそ、それ以上の存在としてある人間の貴様から同情されるのはどれ程苦痛か――」
鴉座は、片手で両目を覆い隠し、くつくつと笑うが、その声はやがて震え、途絶え、闇に消えていく――。
(嗚呼、何処かで誰かが神に懺悔をしている――。私も懺悔をしよう……神よ、神よ、私の中の唯一神! 我が愛しの君よ! ――……ごめんなさい、貴方の最大の敵に私は刃向かえないかもしれないです。柘榴、頼む――早く来い。太陽が昇る前に、あの方に朝が訪れる前に……)
「小さき星が月や太陽の光で消えぬうちに――太陽は二つも要らない」
鴉座は一人呟いた。
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