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第二部――第六章 警鐘の鐘を鳴らせ
第四十二話 待ち望んでいた茶番
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「悪魔……!」
教祖は思わず呟き、後ろに後退った。
そして胡蝶がこの瞬間居ない理由を悟り、自分たちは負けたのだと悟ると同時に、偽のプラネタリウムをその場に置いて逃げだそうと、本拠地の方へ駆けていった。
だが人々はもう気にもせず、陽炎へ注目していた。
陽炎の言葉には重みがあった。この場に現れた「悪魔」だからだ。
自分たちの怪我ももしかしたら――否、このときばかりは本当にそうなのだが――悪魔である陽炎のせいかもしれない。
途端に陽炎への罵倒が広がるが、鷲座が今までに出したことのない程大きな声で、そして威厳のある声で、落ち着けと怒鳴った。
その声で皆は静まりかえる。
「その方の言い分を聞きましょう。水では治せない、この病も彼を治す方法も知っているようだから」
「悪魔を信じて良いのですか、鷲座様!」
「もし、もしも――小生を信じてくれるのなら、その人の言葉に一度は聞く耳を持ってくれ。その人は例え世間的に悪とされても、星座には優しかった……御方だから」
鷲座は無表情に、だが何処か暖かな空気を持ち、皆へ諭しかける。
その言葉に皆が惚けてる姿を見て、柘榴と陽炎は「鷲座が教祖やった方が似合うんじゃない?」とでも冗談を言いたくなるほど、腹を抱えて笑いたかった。
だが堪えて、陽炎はにこりと微笑んで、有難うと言葉にする代わりに一回お辞儀をする。
「流行病の方、じゃあまず神経を痛みに集中して……その痛みを覚えろ。感覚だけを覚えて。そして、頭の中でどんな虫だか想像して。流行病の痛み虫をお前たちが覚えなかったのは……、やり方を知らなかったからだ。流行病なんて滅多にかからないから覚える方が難しい。俺ですら一つしか覚えていない。俺は百の痛み虫と言われてるから、この言葉の重みは判るだろ?」
百の痛み虫――それは確かに痛み虫、等に関してはプロと言える証拠になる。
人々は何か文句を言いたげにしていたが、柘榴が痛み虫に集中し出している時、陽炎は皆へも声をかける。
「痛み虫っていうのは、日常の些細な怪我を覚えてる虫はすぐに死んでしまう。寿命が短いんだ。だから、常日頃から痛み虫を体内に飼っておかなきゃいけないんだ。それなのに、皆は万能だからと水を何でもかんでも使った。結果、何を得た? 確かに病は治り、怪我も消えた。その代わりに、お前たちは――痛み虫を失った。医学という人類の療法を、忘れた」
「あ……」
その言葉にうめいたのは、前に自分に文句を言いに来た女だった。
その場にいて主人と共にがくがくと震えて、女は陽炎の言葉をよくよく思い出していた。
そこにその女が居たのは陽炎は知らなかったが、そこにいて好都合だし、何より陥れてくれた原因だ。
助けることで、恐怖へと陥れてやろう。陽炎は、残酷に微笑んだ。
そして歩み寄り、血の止まらない夫婦に、擦り傷を今すぐ作ってご覧、と言ってみた。
女はもう陽炎の言葉には逆らえず、否、逆らったらどうなるか彼の目が物語っている。
彼は「殺す」と脅している目はしていなかったが、「死ぬぞ」という別の脅しの目をしていた。
女はこくこく頷いてすぐに擦り傷を作る。
すると……数十秒後、かさぶたが漸く出来て、あれ程止まらなかった血が止まっているのだ。
女は、その瞬間青ざめて、わぁあああと泣き叫び、ごめんなさいと謝罪を連呼した。
陽炎はそれに対してもう何も興味を持たず、一同へ視線を巡らす。
一同はその出来事に刮目していると、柘榴の声が響いた!
柘榴は何と驚いたことに、さっきまでの病状は何処へやら、すっかり元の健康体になっていた……。
「そんな馬鹿な……!」
人々の数名がそう呟き、その他の人間はもうその場ですぐに実践し、擦り傷を作り、かさぶたを作っていた。
その事に皆は喜び、わぁあと声をあげるがその瞬間、陽炎は偽のプラネタリウムを掴んで、黙れと叫ぶ。
その声に一同は静まりかえる。
「もう、うんざりだ。俺が水を与えなかった理由をろくに考えもせず、誰でもかれでも治した結果、人間としての免疫を失わせた奴。そして水でいざ治せないとなると、騒いでさ、悪魔って言われる俺の言葉を信じてやってみたから治って大喜びの街中? じゃあ今度は俺が皆のヒーローにされるんだろうか? っは、冗談!」
陽炎は静かだが、何処か刃物を連想させるような切れ味の物言いで、皆へ言いつける。
多くはその言葉に押し黙り、或る者は何か文句を、或る者はただごめんなさいと謝り続けた。
「プラネタリウムが何で神だと思った? 神ならそこらじゅうに沢山いる。こいつらは、ただの道具だ。道具は使い方で、人殺しも治療も出来る。お前らに神聖視されるのは可哀想だ。お前ら、気づいていたか? お前らが使っていた水は、とても便利だけど……その星座を殺しかけていた。お前らは、無意識に大勢で一人を殺そうとしていたんだよ」
「……ッ奇跡に縋って何が悪い?! 神が目の前にいたらそれを崇めて何が悪い?!」
「奇跡に縋るなとは言わないけど、奇跡は毎日起こったら奇跡じゃなくて日常だろ。ただの平凡な日常。毎日起こる神秘の出来事。どうしてこれを奇跡と言えるんだ? 神が目の前に? 神様っていうのは、じゃあ悪魔に従うのか? ほら、もうプラネタリウムの主人は俺だ。悪魔と言われた俺。悪魔だから従わないか、お前ら?」
陽炎は人々へ向ける顔とは豹変し、獅子座と鷲座をまともに見やり、それから尋ねる。
意地悪な質問を。返答が、もう決まっているのはお互い知っているから、獅子座は感極まり、陽炎に抱きつき、ぎゅうぎゅうと締め付けたまま泣き出す。
陽炎はそれに本気で苦しめられて、ギブアップ!! と、必死に訴えるが、獅子座は気づかないふりをした。
何せ、漸くまともな主人と、そして大好きな彼らの元へ帰られるからだ。
「陽炎皇子ぃいいいいい!!!」
「マジ、お前、苦しい!! 判った、判ったから! 後で一杯褒めてやるから、ちょっと離せ!」
「皇子ぃいいい、惚れ直しただぁあああ!!!!!」
「うるせぇえ! 離せッ、耳に響くッ!」
「獅子座どの、離さなくて良いよ」
「鷲座! お前なぁ……!」
獅子座の胸で鷲座の顔がどういう顔をしているのかは判らなかったが、鷲座が獅子座と一緒に己を抱きしめたのは判った。
そして僅かに震えながらも、小さく呟く。
「――何、かっこつけた登場してるんですか。似合わない。君は、悪役も正義の味方も似合わない。怒りを、堪える姿も――似合わない……にあって欲しくない……!」
「……鷲座、本当にお疲れ様。お前も後で褒めてやるから、な。とりあえずお前の言葉が今この場では効果がありそうなんだわ。一言言ってやれ」
陽炎はくすぐったい暖かさを二人から感じ取り、久しぶりの温もりに安堵しながらそう言うと、鷲座はこくりと頷き、己から離れて、自分たちを見つめて口を開けている一同へきっぱりと言い切ってやる。
「扱い方を間違えようと間違えていなかろうと、プラネタリウムの持ち主が主人。そして小生たちには、その方こそが神である。故に、小生らは君たちが悪魔とこの方を罵ろうと攻撃しようとしたところで、君たちを殺してでもこの方を守るだけだ」
「なっ……?!」
「それに、星座の一人で今そこで死にそうになっているから主人に気づかない水瓶座どのは、神と敬う君たちを見て酷く焦燥していた。プラネタリウムを崇める者は、小生らには必要ない」
鷲座は言い切ると同時に、つかつかと人々に道をあけさせ、帰るために突っ切っていたが、一人が道を塞ぐ。
その一人は鷲座を止めようとしていたのだが、鷲座は糸目で睨み付けて、地から這い出たような声で「退け」と一言呟いた。
退かない相手に、鷲座はため息をつき、獅子座を呼ぶ。
獅子座は中々陽炎から離れなかったが、今恐らく本気で怒っている鷲座のもう一度の一声にびくりとし、慌てて陽炎と水瓶座を纏めて抱えて駆け寄り、相手に巨大な剣を突きつける。
獅子座の目には、燃える闘志と今までの鬱憤が溜まってる。きっと今なら例えどんな善人と言われる人間でも殺せる気がした。
陽炎と柘榴と劉桜以外の人間ならば、実際幾度脳内で殺したか判らない。
獅子座は据わった眼をして、退け、と鷲座と同じ言葉を吐く。
そこで漸く相手は退き、四人は帰るのだった。勿論、その後遅れてこっそりと柘榴も帰ったのだが。
「ご助力有難う御座います」
「これくらい、いいって。別に気にしないでいいよ」
「――そうですね」
「ヒーローを、彼は望まないんだね。楽しい仔だ」
「ヒーローになれば、何もかも良い点しか見て貰えなくなりますからね」
遠くで柘榴に呪いを公にかけて解いた者たちが会話する。
遠くで呪いを操り、効果的に演出したのだ。
それがばれないうちに、裏方は去るべし――。
此処で、忘れてはいけない忘れ物をしたのが、少し失敗だったのだろう。
でも逆を言うと、この忘れ物のお陰で陽炎は、その忘れ物の逆鱗に触れずに済んだ。
これから星座一同に話し彼を説得することも、提案することも彼は怒り狂うだろうから。
教祖は思わず呟き、後ろに後退った。
そして胡蝶がこの瞬間居ない理由を悟り、自分たちは負けたのだと悟ると同時に、偽のプラネタリウムをその場に置いて逃げだそうと、本拠地の方へ駆けていった。
だが人々はもう気にもせず、陽炎へ注目していた。
陽炎の言葉には重みがあった。この場に現れた「悪魔」だからだ。
自分たちの怪我ももしかしたら――否、このときばかりは本当にそうなのだが――悪魔である陽炎のせいかもしれない。
途端に陽炎への罵倒が広がるが、鷲座が今までに出したことのない程大きな声で、そして威厳のある声で、落ち着けと怒鳴った。
その声で皆は静まりかえる。
「その方の言い分を聞きましょう。水では治せない、この病も彼を治す方法も知っているようだから」
「悪魔を信じて良いのですか、鷲座様!」
「もし、もしも――小生を信じてくれるのなら、その人の言葉に一度は聞く耳を持ってくれ。その人は例え世間的に悪とされても、星座には優しかった……御方だから」
鷲座は無表情に、だが何処か暖かな空気を持ち、皆へ諭しかける。
その言葉に皆が惚けてる姿を見て、柘榴と陽炎は「鷲座が教祖やった方が似合うんじゃない?」とでも冗談を言いたくなるほど、腹を抱えて笑いたかった。
だが堪えて、陽炎はにこりと微笑んで、有難うと言葉にする代わりに一回お辞儀をする。
「流行病の方、じゃあまず神経を痛みに集中して……その痛みを覚えろ。感覚だけを覚えて。そして、頭の中でどんな虫だか想像して。流行病の痛み虫をお前たちが覚えなかったのは……、やり方を知らなかったからだ。流行病なんて滅多にかからないから覚える方が難しい。俺ですら一つしか覚えていない。俺は百の痛み虫と言われてるから、この言葉の重みは判るだろ?」
百の痛み虫――それは確かに痛み虫、等に関してはプロと言える証拠になる。
人々は何か文句を言いたげにしていたが、柘榴が痛み虫に集中し出している時、陽炎は皆へも声をかける。
「痛み虫っていうのは、日常の些細な怪我を覚えてる虫はすぐに死んでしまう。寿命が短いんだ。だから、常日頃から痛み虫を体内に飼っておかなきゃいけないんだ。それなのに、皆は万能だからと水を何でもかんでも使った。結果、何を得た? 確かに病は治り、怪我も消えた。その代わりに、お前たちは――痛み虫を失った。医学という人類の療法を、忘れた」
「あ……」
その言葉にうめいたのは、前に自分に文句を言いに来た女だった。
その場にいて主人と共にがくがくと震えて、女は陽炎の言葉をよくよく思い出していた。
そこにその女が居たのは陽炎は知らなかったが、そこにいて好都合だし、何より陥れてくれた原因だ。
助けることで、恐怖へと陥れてやろう。陽炎は、残酷に微笑んだ。
そして歩み寄り、血の止まらない夫婦に、擦り傷を今すぐ作ってご覧、と言ってみた。
女はもう陽炎の言葉には逆らえず、否、逆らったらどうなるか彼の目が物語っている。
彼は「殺す」と脅している目はしていなかったが、「死ぬぞ」という別の脅しの目をしていた。
女はこくこく頷いてすぐに擦り傷を作る。
すると……数十秒後、かさぶたが漸く出来て、あれ程止まらなかった血が止まっているのだ。
女は、その瞬間青ざめて、わぁあああと泣き叫び、ごめんなさいと謝罪を連呼した。
陽炎はそれに対してもう何も興味を持たず、一同へ視線を巡らす。
一同はその出来事に刮目していると、柘榴の声が響いた!
柘榴は何と驚いたことに、さっきまでの病状は何処へやら、すっかり元の健康体になっていた……。
「そんな馬鹿な……!」
人々の数名がそう呟き、その他の人間はもうその場ですぐに実践し、擦り傷を作り、かさぶたを作っていた。
その事に皆は喜び、わぁあと声をあげるがその瞬間、陽炎は偽のプラネタリウムを掴んで、黙れと叫ぶ。
その声に一同は静まりかえる。
「もう、うんざりだ。俺が水を与えなかった理由をろくに考えもせず、誰でもかれでも治した結果、人間としての免疫を失わせた奴。そして水でいざ治せないとなると、騒いでさ、悪魔って言われる俺の言葉を信じてやってみたから治って大喜びの街中? じゃあ今度は俺が皆のヒーローにされるんだろうか? っは、冗談!」
陽炎は静かだが、何処か刃物を連想させるような切れ味の物言いで、皆へ言いつける。
多くはその言葉に押し黙り、或る者は何か文句を、或る者はただごめんなさいと謝り続けた。
「プラネタリウムが何で神だと思った? 神ならそこらじゅうに沢山いる。こいつらは、ただの道具だ。道具は使い方で、人殺しも治療も出来る。お前らに神聖視されるのは可哀想だ。お前ら、気づいていたか? お前らが使っていた水は、とても便利だけど……その星座を殺しかけていた。お前らは、無意識に大勢で一人を殺そうとしていたんだよ」
「……ッ奇跡に縋って何が悪い?! 神が目の前にいたらそれを崇めて何が悪い?!」
「奇跡に縋るなとは言わないけど、奇跡は毎日起こったら奇跡じゃなくて日常だろ。ただの平凡な日常。毎日起こる神秘の出来事。どうしてこれを奇跡と言えるんだ? 神が目の前に? 神様っていうのは、じゃあ悪魔に従うのか? ほら、もうプラネタリウムの主人は俺だ。悪魔と言われた俺。悪魔だから従わないか、お前ら?」
陽炎は人々へ向ける顔とは豹変し、獅子座と鷲座をまともに見やり、それから尋ねる。
意地悪な質問を。返答が、もう決まっているのはお互い知っているから、獅子座は感極まり、陽炎に抱きつき、ぎゅうぎゅうと締め付けたまま泣き出す。
陽炎はそれに本気で苦しめられて、ギブアップ!! と、必死に訴えるが、獅子座は気づかないふりをした。
何せ、漸くまともな主人と、そして大好きな彼らの元へ帰られるからだ。
「陽炎皇子ぃいいいいい!!!」
「マジ、お前、苦しい!! 判った、判ったから! 後で一杯褒めてやるから、ちょっと離せ!」
「皇子ぃいいい、惚れ直しただぁあああ!!!!!」
「うるせぇえ! 離せッ、耳に響くッ!」
「獅子座どの、離さなくて良いよ」
「鷲座! お前なぁ……!」
獅子座の胸で鷲座の顔がどういう顔をしているのかは判らなかったが、鷲座が獅子座と一緒に己を抱きしめたのは判った。
そして僅かに震えながらも、小さく呟く。
「――何、かっこつけた登場してるんですか。似合わない。君は、悪役も正義の味方も似合わない。怒りを、堪える姿も――似合わない……にあって欲しくない……!」
「……鷲座、本当にお疲れ様。お前も後で褒めてやるから、な。とりあえずお前の言葉が今この場では効果がありそうなんだわ。一言言ってやれ」
陽炎はくすぐったい暖かさを二人から感じ取り、久しぶりの温もりに安堵しながらそう言うと、鷲座はこくりと頷き、己から離れて、自分たちを見つめて口を開けている一同へきっぱりと言い切ってやる。
「扱い方を間違えようと間違えていなかろうと、プラネタリウムの持ち主が主人。そして小生たちには、その方こそが神である。故に、小生らは君たちが悪魔とこの方を罵ろうと攻撃しようとしたところで、君たちを殺してでもこの方を守るだけだ」
「なっ……?!」
「それに、星座の一人で今そこで死にそうになっているから主人に気づかない水瓶座どのは、神と敬う君たちを見て酷く焦燥していた。プラネタリウムを崇める者は、小生らには必要ない」
鷲座は言い切ると同時に、つかつかと人々に道をあけさせ、帰るために突っ切っていたが、一人が道を塞ぐ。
その一人は鷲座を止めようとしていたのだが、鷲座は糸目で睨み付けて、地から這い出たような声で「退け」と一言呟いた。
退かない相手に、鷲座はため息をつき、獅子座を呼ぶ。
獅子座は中々陽炎から離れなかったが、今恐らく本気で怒っている鷲座のもう一度の一声にびくりとし、慌てて陽炎と水瓶座を纏めて抱えて駆け寄り、相手に巨大な剣を突きつける。
獅子座の目には、燃える闘志と今までの鬱憤が溜まってる。きっと今なら例えどんな善人と言われる人間でも殺せる気がした。
陽炎と柘榴と劉桜以外の人間ならば、実際幾度脳内で殺したか判らない。
獅子座は据わった眼をして、退け、と鷲座と同じ言葉を吐く。
そこで漸く相手は退き、四人は帰るのだった。勿論、その後遅れてこっそりと柘榴も帰ったのだが。
「ご助力有難う御座います」
「これくらい、いいって。別に気にしないでいいよ」
「――そうですね」
「ヒーローを、彼は望まないんだね。楽しい仔だ」
「ヒーローになれば、何もかも良い点しか見て貰えなくなりますからね」
遠くで柘榴に呪いを公にかけて解いた者たちが会話する。
遠くで呪いを操り、効果的に演出したのだ。
それがばれないうちに、裏方は去るべし――。
此処で、忘れてはいけない忘れ物をしたのが、少し失敗だったのだろう。
でも逆を言うと、この忘れ物のお陰で陽炎は、その忘れ物の逆鱗に触れずに済んだ。
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