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第一部――第七章 人間なんて信じたいのに
第四十三話 妖術の恐ろしさ
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柘榴は路地裏で人殺しをしてから、賞金首の相手の首をきりとって裏ルートでハンターに売り渡していた。それからハンターに念を押すように、自分は「フルーティ」だということを告げておく。これで、「誰かが」引っかかればいい――。遠い昔から願ってる「誰か」が。
手に入れたお金で何を買おうか、陽炎へまた見舞い品でも買おうか、星座が好きな彼なら星座について書かれた本を買うか、星形クッキーでも土産に渡して嫌がらせをしてみるか、とくすくすと笑いながら街を歩いていると、この街では聞き慣れぬ鳥の声が聞こえた。
この街では見かけたことのない大きな鳥で、遠い空で頭上を旋回している。それを凝視して鷲座なのだと感じると、とりあえず人がいなさそうなところへ行くつもりなのか鷲座は自分を誘導するように旋回をやめて、別の方向へ羽ばたいた。
柘榴は胸がざわつきながら、人混みをかき分けて、空を見上げたまま歩く。
よく見ると鷲の足にはプラネタリウムがあって、その瞬間柘榴はまさか、と呟き一気に血の気が引いた。瞬時にそれは怒気となって、血の気盛んに戻るのだが。
ひとまず、前に陽炎が塒としていた小屋につくと、鷲座は人の姿に戻り、事情を説明してくれた。事情を説明された柘榴は、拳に力を宿そうとしても宿らなかった。やるせない、そんな感情が胸を占めて。
「……――あんまりじゃないか。何で、何で人と関わる勇気を持ちだした途端に……」
「あの少年に報復は後でしましょう。とりあえず今は、どうするかが先だ。人間に裏切られたのだから、人間でまた信頼させればいい、人間が助ければいい」
「だけど、星座よりも影響のある人間って――ッ」
「魚座どのは黄道十二宮だからプラネタリウムへ招く力があります。だから、魚座どのを呼び出して魚座どのに頼んでプラネタリウムの世界に来て……――否、どうか来てください。お願いします、柘榴様……。貴方にしか頼めません。貴方は、きっと誰よりも小生らを悪い意味でも良い意味でも理解していて影響がある――」
鷲座はまっすぐと柘榴を見つめて、一礼をする。それでも戸惑ってるようなので、願いを聞き入れてくれるのならと、鷲座は柘榴に跪くが柘榴は慌ててそれをやめさせて、プラネタリウムの世界に入ることを承知した。だが、入った後をどうするか、を悩んでいた。
「こういうときさ、いつもだったら、わんこが泣きながら来てたと思うんだけど、何で今回は来ないの?」
「……――狂った愛属性、というのは考えられない。ここのところ、大犬座どのはあの人に甘えていて、あの人も甘やかしていたから満足していた。何か邪魔が入って居るんだ」
「だけど、邪魔って? 星座の世界に、邪魔って……」
「……それぞれの宮に閉じこめられているとか、ですかね? 本来、宮は一人一人にあるのですよ。とりあえず、君は魚座どのの力で共に先に水の宮に行っててください。小生は他の星座の様子を見に行きます。魚座どのの力でこれなかったら、小生も力を貸します」
鷲座の言葉に、柘榴はプラネタリウムを少し恐れながらも睨み、こくりと静かに頷いた。
「出来れば一番に助けてやって欲しいのは、わんこ! あいつは、今居る星座の中で一番鴉座に対抗できるよ! 本人自覚無いけど! あと鳳凰座には多分何か蟹座が苦手とする力が眠っている! 星座に力がないってありえないんだ!」
「……――承知。では、いいですね、覚悟は?」
確認するように慎重に鷲座は柘榴を見やると、柘榴は手にワイヤーを巻き付けて、短剣が腰にあることを確認してから頷く。
鷲座が何かを唱えると、プラネタリウムは小屋の中で輝きまた夜空を作り出す、小屋の中に。
夜空は醜いものを覆い隠すためにあるのだと思ったのだが、一番醜いのは夜空だったか、と柘榴は嘲り笑った。
(――だから、だから妖術にまつわる物にはろくな事がないんだよ。あんたは、妖術の怖さを知らないんだ、かげ君。綺麗に見えても、ほら、星の足りないあれは何処までも滑稽で逆に恐ろしい――それはおいらが一番知っている)
手に入れたお金で何を買おうか、陽炎へまた見舞い品でも買おうか、星座が好きな彼なら星座について書かれた本を買うか、星形クッキーでも土産に渡して嫌がらせをしてみるか、とくすくすと笑いながら街を歩いていると、この街では聞き慣れぬ鳥の声が聞こえた。
この街では見かけたことのない大きな鳥で、遠い空で頭上を旋回している。それを凝視して鷲座なのだと感じると、とりあえず人がいなさそうなところへ行くつもりなのか鷲座は自分を誘導するように旋回をやめて、別の方向へ羽ばたいた。
柘榴は胸がざわつきながら、人混みをかき分けて、空を見上げたまま歩く。
よく見ると鷲の足にはプラネタリウムがあって、その瞬間柘榴はまさか、と呟き一気に血の気が引いた。瞬時にそれは怒気となって、血の気盛んに戻るのだが。
ひとまず、前に陽炎が塒としていた小屋につくと、鷲座は人の姿に戻り、事情を説明してくれた。事情を説明された柘榴は、拳に力を宿そうとしても宿らなかった。やるせない、そんな感情が胸を占めて。
「……――あんまりじゃないか。何で、何で人と関わる勇気を持ちだした途端に……」
「あの少年に報復は後でしましょう。とりあえず今は、どうするかが先だ。人間に裏切られたのだから、人間でまた信頼させればいい、人間が助ければいい」
「だけど、星座よりも影響のある人間って――ッ」
「魚座どのは黄道十二宮だからプラネタリウムへ招く力があります。だから、魚座どのを呼び出して魚座どのに頼んでプラネタリウムの世界に来て……――否、どうか来てください。お願いします、柘榴様……。貴方にしか頼めません。貴方は、きっと誰よりも小生らを悪い意味でも良い意味でも理解していて影響がある――」
鷲座はまっすぐと柘榴を見つめて、一礼をする。それでも戸惑ってるようなので、願いを聞き入れてくれるのならと、鷲座は柘榴に跪くが柘榴は慌ててそれをやめさせて、プラネタリウムの世界に入ることを承知した。だが、入った後をどうするか、を悩んでいた。
「こういうときさ、いつもだったら、わんこが泣きながら来てたと思うんだけど、何で今回は来ないの?」
「……――狂った愛属性、というのは考えられない。ここのところ、大犬座どのはあの人に甘えていて、あの人も甘やかしていたから満足していた。何か邪魔が入って居るんだ」
「だけど、邪魔って? 星座の世界に、邪魔って……」
「……それぞれの宮に閉じこめられているとか、ですかね? 本来、宮は一人一人にあるのですよ。とりあえず、君は魚座どのの力で共に先に水の宮に行っててください。小生は他の星座の様子を見に行きます。魚座どのの力でこれなかったら、小生も力を貸します」
鷲座の言葉に、柘榴はプラネタリウムを少し恐れながらも睨み、こくりと静かに頷いた。
「出来れば一番に助けてやって欲しいのは、わんこ! あいつは、今居る星座の中で一番鴉座に対抗できるよ! 本人自覚無いけど! あと鳳凰座には多分何か蟹座が苦手とする力が眠っている! 星座に力がないってありえないんだ!」
「……――承知。では、いいですね、覚悟は?」
確認するように慎重に鷲座は柘榴を見やると、柘榴は手にワイヤーを巻き付けて、短剣が腰にあることを確認してから頷く。
鷲座が何かを唱えると、プラネタリウムは小屋の中で輝きまた夜空を作り出す、小屋の中に。
夜空は醜いものを覆い隠すためにあるのだと思ったのだが、一番醜いのは夜空だったか、と柘榴は嘲り笑った。
(――だから、だから妖術にまつわる物にはろくな事がないんだよ。あんたは、妖術の怖さを知らないんだ、かげ君。綺麗に見えても、ほら、星の足りないあれは何処までも滑稽で逆に恐ろしい――それはおいらが一番知っている)
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