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第一部――第七章 人間なんて信じたいのに
第四十話 教授
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ぼうっとした意識のまま目を開けば、そこには柘榴と鷲座しか居なくて。
先ほど暴れたのだと思い出し、二人に謝れば「しょうがないことでしょー」と柘榴は笑い、鷲座は「少しずつは無くなってます」とフォローしてくれた。
鷲座はずっと側にいてくれて、見張りのようだったが、それも今の状況ならば仕方がないと陽炎は苦笑していた。
柘榴は側にあったバナナを手に取り口にしながら、最近の自分の傾向を教えてくれる。
少しずつは回復しているようだ。陽炎はそう聞くとほっとする。
「あとねぇー獅子舞が、褒められたいみたいでさ、可哀想だから褒めてあげて。また狂った愛属性になられるのも困るから、偶にはそうやって愛情表現をあげてやってぇな」
「んー、嘘をつくみたいで、何か媚びを売るみたいで嫌なんだけど」
「じゃあ何かされてそれが自分にとって利益になることだったら、褒めたげなさい。わっしーだって、褒められたがってるかもしんないじゃーん?」
柘榴がちらりと見やり笑いかけるが、鷲座は自分に話題がいっても、否定もせず笑いもしない。
それは肯定と受け取って良いのか、陽炎は何となく鷲座の頭を撫でてみるが、鷲座は此方をちらりと見やって頬を少し赤らめるだけで、何も言わなかった。
「わんこにはいつも通りで平気。あの子はまともな星座だって今回判ったから。魚座の女王が暴走したらあの子ね。んで、獅子舞が暴走したら王冠。それで大丈夫」
「何で?」
陽炎が問いかけると柘榴はバナナを全て口に入れ終えて、苦笑いを浮かべて、引きつった顔のまま理由を教えてくれる。
「魚座の女王と、わんこってば猥談で盛り上がるんだよ……それで、気が合うみたいで。仲良くなっちゃってさ。……んで、獅子舞は王冠のファッションセンスを認めちゃって、師匠! って仰いでる。んでもって、やっぱり反則技したからか、呼び出せる限度がなくなったから。仕組み、ちょっと変わって、獅子座と魚座と鷲座はおいらの命令を、他の星座より聞くみたいデスヨ。おいらには大体忠実みたいっす。これで、もう誰がどうなった時は誰を呼べばいいか、判っただろう?」
嫌な理由だらけに陽炎は苦笑して、だけど何だかほっとしてしまった。
確かに暴走してしまったときに誰を呼べばいいか分かり、頷ける。そして、それと同時に少しだけ寂しさが溢れるが我慢をしなくては。
何故柘榴がこんな話をしているかと言うと、もしかしたら陽炎は母国へ戻るかも知れないからだ。
あれから赤蜘蛛に会ってよく話し合ってみると、本当に自分が第二王妃の息子であることが分かり、第二王妃は自分に会いたがっていると知った。
その話を聞いたとき居合わせた柘榴が少し寂しげな顔で「ほら、世界は暗闇じゃない」と笑いかけたのを覚えている。
柘榴は自分が居なくなっても大丈夫なように対処法を教えているのだろう。
「柘榴、でも赤蜘蛛は、一回会うだけでいいって言ってたから、俺、此処に帰ってくるよ。お前、この街にずっと居るだろ? 劉桜も」
「ん、だけどさ、賞金首だからいつ死ぬか分かんないし? 俺は賞金首やめるつもりないからさ」
その言葉は何処か悲しい響きを持っていた。そして、何か重みも。
一緒に行かないか、と誘いかけるのは陽炎はやめておく。柘榴はきっと他にも救いを求めている者がいれば駆けつけるし、陽炎は自分のような奴を見かけたら柘榴に助けて欲しいと願うからだ。
何より、柘榴には柘榴の狙いが、賞金首という生き方にあるような気がして。
でなくば、こんなにも平凡でただ優しい人間が、わざわざ名が上がればあがるほど危険になる賞金首なんてものになろうとはしない。
「まぁ、お互い頑張って生きていこうじゃねぇの」
柘榴は肩を竦めてそう言った。
その言葉に鷲座が反応して、読んでいる本のページを捲りながら、言葉を投げかけた。
先ほど暴れたのだと思い出し、二人に謝れば「しょうがないことでしょー」と柘榴は笑い、鷲座は「少しずつは無くなってます」とフォローしてくれた。
鷲座はずっと側にいてくれて、見張りのようだったが、それも今の状況ならば仕方がないと陽炎は苦笑していた。
柘榴は側にあったバナナを手に取り口にしながら、最近の自分の傾向を教えてくれる。
少しずつは回復しているようだ。陽炎はそう聞くとほっとする。
「あとねぇー獅子舞が、褒められたいみたいでさ、可哀想だから褒めてあげて。また狂った愛属性になられるのも困るから、偶にはそうやって愛情表現をあげてやってぇな」
「んー、嘘をつくみたいで、何か媚びを売るみたいで嫌なんだけど」
「じゃあ何かされてそれが自分にとって利益になることだったら、褒めたげなさい。わっしーだって、褒められたがってるかもしんないじゃーん?」
柘榴がちらりと見やり笑いかけるが、鷲座は自分に話題がいっても、否定もせず笑いもしない。
それは肯定と受け取って良いのか、陽炎は何となく鷲座の頭を撫でてみるが、鷲座は此方をちらりと見やって頬を少し赤らめるだけで、何も言わなかった。
「わんこにはいつも通りで平気。あの子はまともな星座だって今回判ったから。魚座の女王が暴走したらあの子ね。んで、獅子舞が暴走したら王冠。それで大丈夫」
「何で?」
陽炎が問いかけると柘榴はバナナを全て口に入れ終えて、苦笑いを浮かべて、引きつった顔のまま理由を教えてくれる。
「魚座の女王と、わんこってば猥談で盛り上がるんだよ……それで、気が合うみたいで。仲良くなっちゃってさ。……んで、獅子舞は王冠のファッションセンスを認めちゃって、師匠! って仰いでる。んでもって、やっぱり反則技したからか、呼び出せる限度がなくなったから。仕組み、ちょっと変わって、獅子座と魚座と鷲座はおいらの命令を、他の星座より聞くみたいデスヨ。おいらには大体忠実みたいっす。これで、もう誰がどうなった時は誰を呼べばいいか、判っただろう?」
嫌な理由だらけに陽炎は苦笑して、だけど何だかほっとしてしまった。
確かに暴走してしまったときに誰を呼べばいいか分かり、頷ける。そして、それと同時に少しだけ寂しさが溢れるが我慢をしなくては。
何故柘榴がこんな話をしているかと言うと、もしかしたら陽炎は母国へ戻るかも知れないからだ。
あれから赤蜘蛛に会ってよく話し合ってみると、本当に自分が第二王妃の息子であることが分かり、第二王妃は自分に会いたがっていると知った。
その話を聞いたとき居合わせた柘榴が少し寂しげな顔で「ほら、世界は暗闇じゃない」と笑いかけたのを覚えている。
柘榴は自分が居なくなっても大丈夫なように対処法を教えているのだろう。
「柘榴、でも赤蜘蛛は、一回会うだけでいいって言ってたから、俺、此処に帰ってくるよ。お前、この街にずっと居るだろ? 劉桜も」
「ん、だけどさ、賞金首だからいつ死ぬか分かんないし? 俺は賞金首やめるつもりないからさ」
その言葉は何処か悲しい響きを持っていた。そして、何か重みも。
一緒に行かないか、と誘いかけるのは陽炎はやめておく。柘榴はきっと他にも救いを求めている者がいれば駆けつけるし、陽炎は自分のような奴を見かけたら柘榴に助けて欲しいと願うからだ。
何より、柘榴には柘榴の狙いが、賞金首という生き方にあるような気がして。
でなくば、こんなにも平凡でただ優しい人間が、わざわざ名が上がればあがるほど危険になる賞金首なんてものになろうとはしない。
「まぁ、お互い頑張って生きていこうじゃねぇの」
柘榴は肩を竦めてそう言った。
その言葉に鷲座が反応して、読んでいる本のページを捲りながら、言葉を投げかけた。
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