27 / 358
第一部――第五章 太陽にお願い、月を助けて!
第二十六話 太陽と接点
しおりを挟む
「百の痛み虫、それにフルーティがまさか酒飲み仲間になろうとはおもわんかった」
劉桜は上機嫌に、また白ひげを作りながら、柘榴を見やる。
対する柘榴は、焼酎だ。濃いめの塩こしょうで焼いた砂肝を熱燗に入れて、これが美味しいんだよ、と劉桜に酒情報をリークする。
「柘榴でいいよ、るおー。おいらもまさか、赤鬼金棒とこうして話せるとは思わなかった。いつか狩るだろうたぁ思ったけどねぇ?」
「今はどうじゃ?」
「いまんとこは、そこまで金に困ってないかな。あんた、賞金低いし」
柘榴がそう言うと劉桜が二人に敵うわけ無いだろ、といわんばかりの不機嫌面になったので陽炎と柘榴は大笑いをする。
陽炎は久しぶりに、劉桜という昔からの親友以外と酒を人間と飲んだのだが、不思議と警戒心は強まることはなく、逆に楽しめた。酒の効果もあるかもしれないが、二人が接触してても友達を奪われるというより、この二人の輪に入れるのかという楽しさがあった。
――柘榴は何だかうち解けやすく、気軽に喋りたいときには丁度側にいて欲しいような人間だった。他の人間は柘榴をどう思っているか判らないが、少なくとも陽炎はそう感じた。簡単に言うと、悪い奴には思えない、という結論。
「……どったの、かげ君?」
「何でもない」
「――……かげ君。プラネタリウムの奴らと話すのもいいけどさ、こうやって人と話すのも偶にはいいでしょー?」
柘榴は陽炎の表情から少し警戒心が薄れているのを見計らって、そう微笑んで彼の人間への不信度を測る。
これで警戒したら、今もまだ最初に出会った状態のままだろうと、柘榴は思いながら。
陽炎は、少しだけ微笑んで「劉桜が居るから楽しいんだよ、ばぁか」と言った。
プラネタリウムと比較しても怒らなくなった辺り、少しずつ自分は彼を救えているのだとほっとする。
だがそこに現れるのは、鴉座に蟹座に大犬座。
一瞬蟹座と大犬座は火花を散らしてから、大犬座は人なつっこい笑みで陽炎の膝の上によじ登り、ちょこんと座る。
そこに座っても怒られないのは、大犬座の人徳故に。彼女はなんだかんだ言って甘やかしたい、可愛い妹のような存在なのだ、陽炎にとっては。
「貴方が柘榴?」
大犬座は自分を甘やかす陽炎に、にこっと笑ってから、顔を柘榴に向けて遠慮無く問うてみる。
柘榴は目を半目にして、からかうような体勢で挑む。
「おお、星座がきたー。何々、今度はどうやっておいら達を追い払う? るおーも追い払うの?」
「まさか。あたしと、そこのホモ変態二人を一緒にしないでよ。あたしは、……多分、貴方の考えに賛同出来ると思うのだけれど」
そう言って大犬座は微笑む。
微笑まれると柘榴は少し面食らって、そう有難う、とお礼にジュースを奢ることにした。
(――これは嘘か、それとも真か。でも、嘘だとしたら今一瞬だけ蟹座と険悪だった理由が分からない。主人を奪おうとするのに賛同する星座? そんなのは居るのか?)
柘榴はジュースを店員に頼み、小さなレディに奢ることを教えると、大犬座は有難うと微笑む。
それから視線をちらりと鴉座達に向けて、様子を見張っているような目つきをした。
その目つきで、大犬座の心は完璧に読めなくても、己に協力態勢となってくれる人物であろうことは理解できた柘榴は、星座にも色んな奴が居るのだなと思って、焼酎をちびりと飲んだ。
劉桜は上機嫌に、また白ひげを作りながら、柘榴を見やる。
対する柘榴は、焼酎だ。濃いめの塩こしょうで焼いた砂肝を熱燗に入れて、これが美味しいんだよ、と劉桜に酒情報をリークする。
「柘榴でいいよ、るおー。おいらもまさか、赤鬼金棒とこうして話せるとは思わなかった。いつか狩るだろうたぁ思ったけどねぇ?」
「今はどうじゃ?」
「いまんとこは、そこまで金に困ってないかな。あんた、賞金低いし」
柘榴がそう言うと劉桜が二人に敵うわけ無いだろ、といわんばかりの不機嫌面になったので陽炎と柘榴は大笑いをする。
陽炎は久しぶりに、劉桜という昔からの親友以外と酒を人間と飲んだのだが、不思議と警戒心は強まることはなく、逆に楽しめた。酒の効果もあるかもしれないが、二人が接触してても友達を奪われるというより、この二人の輪に入れるのかという楽しさがあった。
――柘榴は何だかうち解けやすく、気軽に喋りたいときには丁度側にいて欲しいような人間だった。他の人間は柘榴をどう思っているか判らないが、少なくとも陽炎はそう感じた。簡単に言うと、悪い奴には思えない、という結論。
「……どったの、かげ君?」
「何でもない」
「――……かげ君。プラネタリウムの奴らと話すのもいいけどさ、こうやって人と話すのも偶にはいいでしょー?」
柘榴は陽炎の表情から少し警戒心が薄れているのを見計らって、そう微笑んで彼の人間への不信度を測る。
これで警戒したら、今もまだ最初に出会った状態のままだろうと、柘榴は思いながら。
陽炎は、少しだけ微笑んで「劉桜が居るから楽しいんだよ、ばぁか」と言った。
プラネタリウムと比較しても怒らなくなった辺り、少しずつ自分は彼を救えているのだとほっとする。
だがそこに現れるのは、鴉座に蟹座に大犬座。
一瞬蟹座と大犬座は火花を散らしてから、大犬座は人なつっこい笑みで陽炎の膝の上によじ登り、ちょこんと座る。
そこに座っても怒られないのは、大犬座の人徳故に。彼女はなんだかんだ言って甘やかしたい、可愛い妹のような存在なのだ、陽炎にとっては。
「貴方が柘榴?」
大犬座は自分を甘やかす陽炎に、にこっと笑ってから、顔を柘榴に向けて遠慮無く問うてみる。
柘榴は目を半目にして、からかうような体勢で挑む。
「おお、星座がきたー。何々、今度はどうやっておいら達を追い払う? るおーも追い払うの?」
「まさか。あたしと、そこのホモ変態二人を一緒にしないでよ。あたしは、……多分、貴方の考えに賛同出来ると思うのだけれど」
そう言って大犬座は微笑む。
微笑まれると柘榴は少し面食らって、そう有難う、とお礼にジュースを奢ることにした。
(――これは嘘か、それとも真か。でも、嘘だとしたら今一瞬だけ蟹座と険悪だった理由が分からない。主人を奪おうとするのに賛同する星座? そんなのは居るのか?)
柘榴はジュースを店員に頼み、小さなレディに奢ることを教えると、大犬座は有難うと微笑む。
それから視線をちらりと鴉座達に向けて、様子を見張っているような目つきをした。
その目つきで、大犬座の心は完璧に読めなくても、己に協力態勢となってくれる人物であろうことは理解できた柘榴は、星座にも色んな奴が居るのだなと思って、焼酎をちびりと飲んだ。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
【完結】元魔王、今世では想い人を愛で倒したい!
N2O
BL
元魔王×元勇者一行の魔法使い
拗らせてる人と、猫かぶってる人のはなし。
Special thanks
illustration by ろ(x(旧Twitter) @OwfSHqfs9P56560)
※独自設定です。
※視点が変わる場合には、タイトルに◎を付けます。
超絶美麗な美丈夫のグリンプス ─見るだけで推定一億円の男娼でしたが、五倍の金を払ったら溺愛されて逃げられません─
藜-LAI-
BL
ヤスナの国に住む造り酒屋の三男坊で放蕩者のシグレは、友人からある日、なんでもその姿を見るだけで一億円に相当する『一千万ゼラ』が必要だという、昔話に準えて『一目千両』と呼ばれる高級娼婦の噂を聞く。
そんな中、シグレの元に想定外の莫大な遺産が入り込んだことで、『一目千両』を拝んでやろうと高級娼館〈マグノリア〉に乗り込んだシグレだったが、一瞬だけ相見えた『一目千両』ことビャクは、いけ好かない高慢ちきな美貌のオトコだった!?
あまりの態度の悪さに、なんとかして見る以外のことをさせようと、シグレは破格の『五千万ゼラ』を用意して再び〈マグノリア〉に乗り込んだのだが…
〜・Å・∀・Д・ω・〜・Å・∀・Д・ω・〜
シグレ(26) 造り酒屋〈龍海酒造〉の三男坊
喧嘩と玄人遊びが大好きな放蕩者
ビャク(30〜32?) 高級娼館〈マグノリア〉の『一目千両』
ヤスナでは見かけない金髪と翠眼を持つ美丈夫
〜・Å・∀・Д・ω・〜・Å・∀・Д・ω・〜
Rシーンは※をつけときます。
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。

どこにでもある話と思ったら、まさか?
きりか
BL
ストロベリームーンとニュースで言われた月夜の晩に、リストラ対象になった俺は、アルコールによって現実逃避をし、異世界転生らしきこととなったが、あまりにありきたりな展開に笑いがこみ上げてきたところ、イケメンが2人現れて…。

あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…
まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。
5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。
相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。
一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。
唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。
それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。
そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。
そこへ社会人となっていた澄と再会する。
果たして5年越しの恋は、動き出すのか?
表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる