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第四話 若旦那のえっち講習

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 この屋敷では洋服は用意されないらしい。
 紅い鳥かごの部屋に戻って、タンスを調べてみたら全部着物や長襦袢だった。下着だけは可愛らしいレースで満ちているお色気たっぷりの女性ショーツ。
色気と可愛らしさは相反しないな、と黒布に白いレースの着いた紐パンツを眺めて首を傾げた。
 中にはブラジャーまで入っているので、吃驚して久遠はタンスを閉めた。
 他に鏡台の近くには花が様々あるが、全部が造花だ。なぜ造花なのかはあとで聞いてみよう。
 瓶を見つけてふりかけてみれば、いちごの香りがする。香水だ。甘ったるい香りは不思議と馴染むし落ち着く。
 日記でもないかと家捜しすれば、確かにありはすれど字が達筆すぎて読めやしない。
 とにかく伝わるのは、記憶の無かった頃の久遠は無気力だった事実。
 身体を通して伝わるのは、斬を愛していたのだという話だが、これについては斬は知っているのかどうか判らない。
 それ以前に両思いだとしても、好きな相手をばりばり物理的に食べてしまう相手に告白してイイものではないなと感じる。
 もしもの話しでも夢がない話だ。

「……俺は望みのない人を好きになって、絶望したのかな」

 鏡の先を見てみれば、情けない顔をしている。
 ふ、と眉を下げ笑いかけてみれば、鏡の中の自分は情けない顔をしている。
 躾の準備をするために、今は斬は席を外している。広い鳥かごの中心にある円形のベッドに、横たわった。
 つたつたと廊下を伝う音が聞こえる。
 やってきた斬は、片手にローションボトルを持っていた。
 その瓶に注目していれば、斬は鳥かごの中に入ってくる。

「お客様を楽しませるために、お前だけ気持ちよくなるのは駄目だ。今から、快楽の調整をしてもらう」
「気持ちいい顔してるの見るの好きなんじゃないの」
「ばか、えっちってのは二人揃って気持ちよくならなきゃ意味ねえんだよ。とくに客相手なら、客の良さを優先したまえ」
「サービスの仕方、思い出せって話?」
「そういう意味だ」
 ローションボトルを傍らに置けば視線を投げかけ斬は続ける。
「中も自分で解しておくんだ」
「ええー、めんどいよ」
「そのめんどくさいのをお客様にさせるな、お前は与える側だ、貰える側じゃない」
「ちぇ、わかったよ」

 久遠はローションボトルを手に取ると掌に大量に載せて、ショーツをずらし中に指をいれはじめた。
 ゆっくりと身を震わせ、指を埋め中をかき回しながら、胸に触れる。
 ゆっくりと突起を抓みこりこりと捏ねていけば、斬の眼差しにぶち当たる。
 斬の眼差しは冷ややかに嘲る笑い。そうっと斬の手が伸びて、胸を弄る手に重なった。
 こりこりと捏ねる手つきがピンポイントでずれていく。
動かしたいのに時々止めるように手を制され、思うままに刺激を得られない。
 だというのに、中は火照っていく。
 中が蕩けていくのに決定的な刺激が足りない。
 斬をじっと見つめれば、突起を揺らしてから弾かれ、思わず身体が跳ねる。

「ああぅっ……♡」
「中が解れたらあとはお強請りだ。今のお前ならお強請りは得意だろう?」
「あ……挿入(い)れてくだ、さい」

 中をくぱあと久遠は指で開いて、ひくつく後孔を見せつけた。
 それだけじゃ足りないと斬は無言。
 久遠は斬に口づけ、舌を擦れ合わせると一生懸命舌を舐め回し、上顎を舌で撫で摩る。
 唾液を飲み込んで、唇を味わうと、その頃にお許しが出る。

「あ……」
「ここ、好きだろう?」

 ゆっくりと久遠を押し倒しながら宛がってくる、斬。
 斬は焦らしながら腰を揺らし、肉雄を菊孔に擦りつける。
 菊はひくつきながら収縮し、雄を待ち望んでいる。
 焦れた久遠は斬の胸板に指でなぞって擽り、円を描く。
 ゆっくりと指で相手の胸板から突起をちょんとつつき。胸板にキスをし見上げれば、斬はにやりと笑って、コンドームをくるくるとつけた。

「いいだろう、その所作覚えておきたまえ。実に興奮する動きだとおもう」
「んっ……はやく、シテ。堪えるの、つらい」
「焦るな、よ」

 ぐいと、腰を押さえつけられれば、斬の物が中を圧迫する。
 挿入された陽根は中を雁で擦っていき、浅いところを虐めてくる。
 浅いスポットにも弱い箇所はあり、身が波打つ。

「んっ、ねえ、もっと、身体。触って」
「勘違いするな。愛撫されるのを待つのではなく、愛撫されるようにするんだよ。お前はコントロールしなければならない」
「んっ……どうやって翻弄するか、考えろってこと?」
「そう。弱いところがあるなら、そこに誘うように。お客様を優先しながら快楽を調整すれば、お前にもイイトコロにあたる時はあるだろう。こうやってな」
「んああっ♡♡」

 気紛れに衝き上げられた最奥や、前立腺を虐めるかのような引っ掻きに久遠は乱れる。

「やめてえ、やめてえ、えっち♡ えっちなのお、えっちになるのお♡♡」
「そうそう、お前の鳴き声は変わっていないな。そこだけは安心だ。そうやって誘いたまえ」

 最奥をぐっぐっと押しつけられれば、身は捩れ、声は溢れる。
 涙がぽろぽろ零れてくれば、手をおでこに寄せる。

「久遠、顔を隠してはいけないよ。どんなときも。お前はこの店の鳥だ」
「と、り? んっ、やあ、アアッ♡」
「可愛い声で歌う、小鳥だよ」

 お客様のためにね、と斬は前立腺を引っ掻きながら、胸へ甘噛みを施した。
 胸への刺激で一気に、内壁が痙攣していく。
 びくびくと内股を締めて、中が一瞬力んでしまう。
 達したのだと判る。白い感覚に久遠はぼんやりとする。

「んっ、ああっ、きもちいいよお、こわいよ、こわいよ♡ それすき、やめないで」
「イってる間も突かれるの好きだね、お前は。少し興が乗ってきた」

 衝き上げ中をごりごりしながら、斬は尻を緩急つけて揉んでいく。ぐにゃぐにゃと内壁の感覚が変わっていく。無理矢理に感度を変えられているような錯覚。

「んっ、んっ。斬、きりい、も……また、くる……ッ」
「イくな、まだ許さないよ。今度は堪えてみなさい」

 動きを緩めていく斬。腰の律動が緩やかだ。
 緩やかな動きはじわじわと性感を理性的に教えてくれる。お前の気持ちいい場所はココで、ココで感じているのだと教える。
 前立腺ばかり狙われる、苦しい。前立腺を徹底的に避けた動きばかりだ。
 衝き上げる場所ももどかしい。苦しい。

「あっ……おねがあい、んっ、シテ、シテ♡」
「言葉だけじゃない。おねだりを覚えないとだめだよ」
「んっ、ああっ……きりい…」

 久遠は両足で相手の腰を挟むように、寄せて。かかとで腰をこん、と押した。腰をこんこん押していくのに夢中になれば、斬が満足そうに笑った。

「いいだろう、合格をくれてやるよ」
「あやく、も、つらい。いき、イきたい、きり……」
「ん、中々今のお前は愛らしいな」
「ああああああっ♡♡♡」

 斬が最奥をごりごりし、前立腺を引っ掻けば久遠と斬は果てた。
 
 ゴムの中に果てられれば、不思議な感覚だ。
 ふわふわと脳がまだ目覚めない。
 斬はゆっくり巨竿を引き抜くと、ゴムを縛ってゴミ箱へ投げ入れた。

「そのように客に強請れば良い。今のお前なら違う層の客にも気に入られそうだ」
「うるせえ、客のことしか考えてないのか」
「そうだよ、僕はお客様を食べない程度に愛している」
 斬の愉快そうな声は、脳に響き。不思議と斬の声が心地よかった。

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