覗き見よりも俺を見て?

かぎのえみずる

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罰は斯くして――イヅミ

第七話 罰は斯くして許される

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 次の日はね、紅玉ちゃんのボディーガードで、紅玉ちゃんはお友達くんと何かしら話してから、こっちにきたから、じゃあ帰ろうかって話になった。
「イヅミ兄、お待たせぇな~」
 紅玉ちゃんの可愛いとこは、明るいところとさばさばしてるところ。あと勝ち気なところかな。
 強いこういう人は結構俺好きだよ。
「なんやあいつ~、何でうちのこと仕事中に見てくんないん。意味ないやん」
「え、何が? 仕事中あのコが経理の仕事ほったらかしにしてたら、意味無いでしょ」
「せやかてぇ、うちあいつがうちの魅力的~ぃになってる姿見て欲しくて……あ……あかん! 今の忘れてぇな、イヅミ兄! あいつに口止めされとるんやった!」

 オレね、混乱すると、口元に笑みが出てくるの。え、待って待って待って!?
 まじで、ホントに、そうなの? って頭の中大混乱。
 でね、その後大抵、やっちまったって後悔するの。

 もしかして――、紅玉ちゃんがお友達くんの恋人?

「イヅミ兄~イヅミ兄~!」
「あ、あのさ、言わないよ? 誰にも言わないから確認して良い? 理のお友達くんの恋人って紅玉ちゃん?」
「せやで!」

 ――おにーさんは、人生で初めてはめられました。
 睡蓮以外に、オレをはめることが出来る奴がいるなんてね!
 やっぱりくせ者の部類じゃないかよ、あいつっ!

 ……あれ、でも何か今、すーってした。
 すっきりしちゃった。あいつ放置したあとでももやもやしてたのに、すーってしちゃったよ。
 どうして?


 答えは、意外と簡単に転がってる。

 処刑人が罪人に事もあろうに、惚れてるからだ。
 それで理由がつく。嫉妬してたんだよ、多分俺。

 オレの感情を悟っていたから、あのガキは罠を張り巡らして気づかせたんだ。
 すぐ簡単に転がっていて見つけられた理由は、すぐそこにあるように奴が巡らせていたからだ。
 ほんっとーくせ者。

 嗚呼! かといって、謝るわけにはいかない。オレは、知ってるんだ。あいつが、心から許しを求めてる訳じゃないって。

 はぁ……どうするか。

 とりあえず、今日は甘やかしてみるか。
 ――あいつが怒ってなければ、の話だがね。怒ってなかったら、少し自惚れて良いかなぁ。
 今まで罪人だった理由、オレなりに今、考えてみたんだけど。
 何て都合の良い解釈。




 とりあえず帰り道を誘い、自宅で飲まないかと酒で釣る。
 コスパのいい安い酒しか飲めない上にアル中寸前までいったこいつには、酷な誘いだと分かっているがそれでも誘わずにはいられない。
 車の中で黙ったままでいると流石に訝しげにされたが、それでもついてくるこいつなんて健気?
 オートロックのマンションにつくと、部屋に案内し、寝室に誘い。
 そこで理は気づく、酒は誘う口実ではなから飲ませる気などないと。
「シャワーでも浴びてくれば」
 いつもと違う出だしから、理は吃驚して目を丸くした。
「変な物食ったか?」
「うるせえ、早く行けよ」
 軽く尻を蹴りながら言ってやると、理は大人しく記憶が正しければ初めて風呂に浸かってからほかほかに仕上がって俺のベッドにやってきた。
 俺も風呂に入ってから奴のもとに戻り、ベッドの上で奴の頬を撫でて愛でてやる。

 吃驚した理ってば喉ならして俺をまじまじと見つめている。

 好きだの愛しているだのは、……俺からすれば。今の俺からすれば、きっと寒い冗談にしか聞こえないだろう。
 それに、この関係性にそんなもの必要ないとさえ思う。末期よね、ホント。
 でも、受け入れて貰えるか不安で。俺は理にキスをする、――理は驚いた様子で俺を受け入れ背中に怖がりながら手を伸ばした。
 俺が拒絶しないってだけで、理は涙目になった。

「何だよ、お前。ホント、どうした?」
「気分。そういう、気分。甘やかしてやるよ、何がされたい?」
「それは……どう、して」
「優しくしたくなる日もあるし、それもないといつか逃げ出すだろお前」

 なんてお前の所為にして甘やかそうとする。
 卑怯な俺はお前の口をキスでまた閉ざし、体中に痕をつけて今までより丁寧に触ってみる。ゆっくりと手に馴染むのを待つような触り方。
 胸に触れるだけで理は顔を赤らめ身をびくりと跳ねさせたから、舌で尖りを転がすと簡単に竿は猛った。
 強請って良いのに、と思いながら乳首を愛撫してやると理はいつもより感じやすくて。
 呆気なく果てたので「早漏」と笑うと、軽く蹴られた。
 蹴ってくる足を捕らえて舐めてから、ローションをたぐり寄せ、中を弄っていつもより丁寧に解す。内壁をすりすりと指で擦ると簡単に理は嬌声をあげた。

「あっ、ン、んん、だめ、ゆっくりされる、と、感じる……」

 そうさせてるから問題ねえのって言いたいけど癪なので行動で示す。
 すりすりと擦り続けてから指を増やし、中指で中のしこりを引っ掻くと身体がびくんと跳ねる理。
 ひたすらにそこを愛撫すると中だけで、理は達した様子。
 そこからは俺が理の中を弄る度に、女みたいな可愛いとは言いづらいけれど色っぽい声が聞けたので俺の大変な自身が猛っていく。
 我慢汁だらだらのころに、解されたので俺は指を抜いて埋めていく。
 宛がったときはこんなところに入るのかな、と初めて致すかのような思案してしまったが最初の雁さえ飲み込めばあとはするっと入っていった。

 挿入された俺の肉棒で貫こうとしても、一気に全部は入らない。
 だいぶ慣れた身体とはいえ、まだまだ全部埋めるにはきついだろう。

 でも、理も今日はいつもと違った。

「全部、く、れ」
「え、でも」
「い、いから」

 初めてのおねだりに高揚し、俺はゆっくりと時間をかけてキスをして宥めさせながら埋めていった。
 時折お腹を押させたり、声をあげさせることで身体を強ばるのをやめさせる行為に成功し何とか全部埋まる頃には温かくて。
 心まで温かくて満たされてやけに幸せな気持ちで、快楽より何か幸福感が勝っていた。
 俺が今している行為こそがセックスやエッチとよばれるもので、今までのは本当にオナニーだったんだなと思い知る。
 ゆっくりと腰を振ると、理は自分で前を擦り快楽を貪欲に欲しがった。


「俺がいるのにそっち欲しがっちゃう?」
「あっ、やめ、手、離せ、触りたい、触りたいんだ」

 手をひとまとめに頭上で纏めながら正常位で攻め立てると、理はアアッと果てていった。
 白濁をぴゅっぴゅと飛ばし、ぜぃぜぃと呼気を整えようとしていた。
 俺も遅れて中へ欲望を埋め尽くすように、注ぎ込んでやった。

 一回。一回しかセックスしあってないかのような未知の感覚に。

「はまりそ……」

 俺は少しにやけかけた。

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