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第十四話 満たされた聖夜
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当たり前だけど透夜と別れたんだから、透夜に言い寄る人もきっといる。
はっきりと誰だかは判らないけれど、なんとなく透夜の側に誰かいる匂いはするのに、「誰ともつきあってねえよ」というからきっとオレのような関係なんだろう。
つまり誰かと共有する透夜、やだね吐き気がするね。
お前がオレで満ちればとても幸せなのに、お前は相も変わらずかっこいいアラフィフやマッチョの男狙いだから、少しだけ意地悪したくなる。
クリスマスを二人で迎えることができそうだったから、クリスマスプレゼントを用意する。
恋人同士なら指輪とかアクセサリーなのだろうけれど、オレとお前の今の距離にそれは重すぎるから。可愛らしいどでかい透夜のお気に入りのキャラクターぬいぐるみを用意しておく。
人気すぎるキャラクターは世間では流行の二番目系列の好かれ具合で。手に入れるのにとても苦労した。あらゆる人脈を使って何とか手に入れたけれど、それを欠片でも見せたらかっこつかないから。さらっと偶然手に入ったふりしとこ。
クリスマス当日にオレの家に集まることになったので、フライドチキンはデリバリーにしておいて、あとは小松菜のお浸しやクラムチャウダーとかを作っておく。
厚焼き卵も透夜が好きだから作ってはみたが、混んだけ胃に入るかなと笑いながら、出来上がった量をテーブルに並べた。
やがてインターフォンが鳴り響き、玄関に出れば少し洒落た格好の透夜。扉を開けて中へ引き入れる。
「寒いな、おかえりさん」
「あったかいなお前は」
「お前が冷たすぎるんだ、外に長くいたのか」
「仕事だからな! 営業マンは大変だ」
笑って中へ入って手を洗ってから戻ってくればコートをハンガーにかけ、透夜は席に着く。
酒を透夜も買ってきてくれたのか机に置くと料理に目を輝かせた。
「うまそおおお! 早く食おうぜ!」
「まあまあ、フライドチキン先に食ったらプレゼントべたつくだろ。先にサンタさんがおいといたから、あそこ」
透夜のおねだりで置いといたクリスマスツリーに指さすと、包装紙に包まれたぬいぐるみがそこにある。
透夜のおねだりでひとつずつオーナメントを集めたり。ご褒美であげたりしたんだっけ。
「うおおお、これすげえうれしい! ありがとうな! オレからはこれだ」
透夜の手渡してきた物はコンパクトな小箱。面くらい開けてみれば、ピアスが入っていた。
宝石の可愛らしいピアスは、オレの期待をくすぐるものだった。きっと。透夜は、深い意味なんてないんだろうけれど。ピアスは、アクセサリーは、いつも貴方の側にいたいと思わせる意味だと勘違いしてしまいそうになる。
お前はほんっとう! そういうところだよ!
透夜にのし掛かり、キスをすればぺしぺし叩かれた。
「飯はあったかいうちに食おうぜ、逃げねえよ」
「すまん、感極まった」
発情期の猿みたいだよなオレはまるで。微苦笑しながら、透夜を抱き起こせば一緒にシャンパンを乾杯し宴の開始。
和やかな時間を過ごせてとても嬉しかった。それと同時に優越感だった。透夜のそばに誰よりもそばにいて、この特別な日に選んで貰えたことに。
歪んでいると思うよ自分でも。別れておきながら、嫌だと駄々こねてる。この人はオレのだと拾いに行きたがっている。馬鹿な男だな。
透夜とケーキを食べ終わってお腹が落ち着いてきたら、ふわふわしてきて。酒をあまりのまないほうが勃起しやすいのに、酒を飲んでしまった。
だってとても楽しい日だったんだ。
つつ、と項をくすぐってじゃれつく。ふにゃふにゃとしながら、透夜の項に噛みついて。
じゃれながらそうっと肌を舐め。ふーっと吐息を吹きかける。
透夜はびくっとしてからこらっとたしなめ、頭を撫でてくるものだから。透夜から撫でられると蕩けるんだ頭が。ふわふわとしていた心地がよりいっそうふわふわしてきて。
ひたすら透夜にキスをしていて、そこから先は少し記憶が戻らない。
判ったのは次の日酒の酔いで頭が痛いことと、多分抱いたんだろうなっていう事後の証。乱れたベッド。すややかに穏やかな顔で、裸ながら眠る透夜。
堪らなく愛しい聖夜を過ごしたことだけは、判った。
はっきりと誰だかは判らないけれど、なんとなく透夜の側に誰かいる匂いはするのに、「誰ともつきあってねえよ」というからきっとオレのような関係なんだろう。
つまり誰かと共有する透夜、やだね吐き気がするね。
お前がオレで満ちればとても幸せなのに、お前は相も変わらずかっこいいアラフィフやマッチョの男狙いだから、少しだけ意地悪したくなる。
クリスマスを二人で迎えることができそうだったから、クリスマスプレゼントを用意する。
恋人同士なら指輪とかアクセサリーなのだろうけれど、オレとお前の今の距離にそれは重すぎるから。可愛らしいどでかい透夜のお気に入りのキャラクターぬいぐるみを用意しておく。
人気すぎるキャラクターは世間では流行の二番目系列の好かれ具合で。手に入れるのにとても苦労した。あらゆる人脈を使って何とか手に入れたけれど、それを欠片でも見せたらかっこつかないから。さらっと偶然手に入ったふりしとこ。
クリスマス当日にオレの家に集まることになったので、フライドチキンはデリバリーにしておいて、あとは小松菜のお浸しやクラムチャウダーとかを作っておく。
厚焼き卵も透夜が好きだから作ってはみたが、混んだけ胃に入るかなと笑いながら、出来上がった量をテーブルに並べた。
やがてインターフォンが鳴り響き、玄関に出れば少し洒落た格好の透夜。扉を開けて中へ引き入れる。
「寒いな、おかえりさん」
「あったかいなお前は」
「お前が冷たすぎるんだ、外に長くいたのか」
「仕事だからな! 営業マンは大変だ」
笑って中へ入って手を洗ってから戻ってくればコートをハンガーにかけ、透夜は席に着く。
酒を透夜も買ってきてくれたのか机に置くと料理に目を輝かせた。
「うまそおおお! 早く食おうぜ!」
「まあまあ、フライドチキン先に食ったらプレゼントべたつくだろ。先にサンタさんがおいといたから、あそこ」
透夜のおねだりで置いといたクリスマスツリーに指さすと、包装紙に包まれたぬいぐるみがそこにある。
透夜のおねだりでひとつずつオーナメントを集めたり。ご褒美であげたりしたんだっけ。
「うおおお、これすげえうれしい! ありがとうな! オレからはこれだ」
透夜の手渡してきた物はコンパクトな小箱。面くらい開けてみれば、ピアスが入っていた。
宝石の可愛らしいピアスは、オレの期待をくすぐるものだった。きっと。透夜は、深い意味なんてないんだろうけれど。ピアスは、アクセサリーは、いつも貴方の側にいたいと思わせる意味だと勘違いしてしまいそうになる。
お前はほんっとう! そういうところだよ!
透夜にのし掛かり、キスをすればぺしぺし叩かれた。
「飯はあったかいうちに食おうぜ、逃げねえよ」
「すまん、感極まった」
発情期の猿みたいだよなオレはまるで。微苦笑しながら、透夜を抱き起こせば一緒にシャンパンを乾杯し宴の開始。
和やかな時間を過ごせてとても嬉しかった。それと同時に優越感だった。透夜のそばに誰よりもそばにいて、この特別な日に選んで貰えたことに。
歪んでいると思うよ自分でも。別れておきながら、嫌だと駄々こねてる。この人はオレのだと拾いに行きたがっている。馬鹿な男だな。
透夜とケーキを食べ終わってお腹が落ち着いてきたら、ふわふわしてきて。酒をあまりのまないほうが勃起しやすいのに、酒を飲んでしまった。
だってとても楽しい日だったんだ。
つつ、と項をくすぐってじゃれつく。ふにゃふにゃとしながら、透夜の項に噛みついて。
じゃれながらそうっと肌を舐め。ふーっと吐息を吹きかける。
透夜はびくっとしてからこらっとたしなめ、頭を撫でてくるものだから。透夜から撫でられると蕩けるんだ頭が。ふわふわとしていた心地がよりいっそうふわふわしてきて。
ひたすら透夜にキスをしていて、そこから先は少し記憶が戻らない。
判ったのは次の日酒の酔いで頭が痛いことと、多分抱いたんだろうなっていう事後の証。乱れたベッド。すややかに穏やかな顔で、裸ながら眠る透夜。
堪らなく愛しい聖夜を過ごしたことだけは、判った。
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